アストリアからマンハッタン、自転車ツアーの野次馬

きょうの日曜日、いい天気だ。こんな日に家に閉じこもってはいられない。どこに行くか。南東部ロッカウェイ・ビーチから北部ブロンクスまで、ニューヨークはもうあらかた乗り回してしまった。そうだ、アストリア(クイーンズ北西部)周辺は行ってなかったな、と、必見の地というほどでもないが、出かけた。

例のごとく、広い緑のプロペクト公園を北上し、若者の街ウィリアムズバーグ周辺へ。よく行く息子のアパート(レゴパーク)はここから右にまがってしまうので、まっすぐ行くアストリア地区には来てなかった。閑静な住宅街を横切り、ロバート・F・ケネディ(トライボロー)橋まで来ると、サイクリストたちが自転車を担いで鉄橋側道に上がっている。もっぱら歩行者用で、自転車走行は考えてなかったようだ。

サイクリストたちの数が目立つ。皆、ゼッケンと番号をつけている。聞くとセンチャリー・ツアーという自転車ライドだという。面白い、ついて行ってみよう。

クイーンズのアストリア地域。
クイーンズのアストリア地域。平凡な住宅街。日本人も多い。
トライボロー橋の階段を上ってくるサイクリストたち。
ゼッケンを付けたサイクリストたちが次々とトライボロー橋に上ってくる。

NYCセンチャリー自転車ツアー

後知恵だが、「NYCセンチャリー自転車ツアー」というイベントだった。ニューヨークでは、ほとんど毎週末、何かしらの自転車ツアーが行われている。今回のツアーは、「交通オルタナティブ」という市民団体が主催し、今年で28回目。6000人余りが参加するという。体力に応じて15マイル(23キロ)から100マイル(160キロ)まで4つのツアーコースがあり、市内各所を通る。トライボロー橋で出会ったグループは100マイル組だったようで、朝7時にセントラルパーク北端を出発し、ブルックリン海岸部をまわりクイーンズ南端のロッカウェイビーチまで行き、クイーンズ内陸部とブロンクスを大回りして出発点に戻るルートだ。マラソン終盤のようなもので、とても数千人規模には見えず、まばらにべダルを漕ぐ十数人を見ただけだった。足の筋肉むきむきの人たちばかりだが、吐息をついてかなり疲れているようだった。

いっしょに走っていると、私も参加者の一人だと間違えたのだろう、公園で、沿道のアジア系男女グループが「おじいちゃん、いいぞー」ってな感じで声援を送ってくれた。

しかし、イーストリバーにかかるトライボロー橋はちょっと怖い。橋の中央部分に来ると金網がなくなり低い欄干だけになる。高いサドルの自転車に乗っていると50メートルはあるだろう橋げたから川に転落しそうだ。その代わり、眺めは最高だが。

トライボロー橋からのイースリバーの眺め。
トライボロー橋の欄干は低く、落ちそうで怖い。北側に鉄道のヘルゲート橋が見える。
トライボロー橋の下の芝生。
欄干の下は50メートルくらいある。芝生でピクニックをする人たちが見える。
イーストリバーにかかるトライボロー橋。下からの眺め。
トライボロー橋の下からの眺め。ランダルズ島側から。トライボロー橋(正式名ロバート・F・ケネディー橋)はマンハッタン、ブロンクス、クイーンズの3地区を結ぶ3本の橋の総称。確かに、上空から見れば3橋はつながった一つの構造物になっているのがわかるが、橋の部分はそれぞれ形も違い別の橋に見えるのでまぎらわしい。この橋(の部分)はイーストリバーにかかり、マンハッタンとクイーンズを結ぶ。
スケートボードをする人。
ランダルズ島はサッカー場などスポーツ施設が充実。スケートボードをする人も。

ツアー終点地点

途中、あちこち見まわっているうちにサイクリスト集団とはぐれたが、野次馬根性で、終点のセントラルパーク北端まで行ってみる。テントがたくさんあり、食べ物や情報ブースを出していた。160キロを走り終えた人たちが芝生に倒れこんでいたりしていた。ここも人出は数千人規模ではない。短距離組はとっくに終わって帰ってしまったらしい。朝7時からはじまり、すでに午後5時半だ。

セントラルパーク北端のゴール地点。160キロを走ったサイクリストたちが次々入ってくる。
セントラルパーク北端のゴール地点。160キロを走ったサイクリストたちが次々入ってくる。
ゴール地点のテント。
テントで食べ物や情報のブースが出されている。
ゴール地点で芝生に横たわる人たち。
疲れて芝生に横たわる人たちも。
コース説明地図。
この日のコースを説明する地図。左の小さい図でわかるように、160キロコースは、ニューヨークをほぼ1周している(黄色線)。

マンハッタンの夜間走行

帰りは、マンハッタン夜間走行訓練になった。セントラルパークを乗り回してゆっくりしすぎた。しかし、前灯と後灯の「完全武装」をすれば、夜間走行も怖くはない。

あまり通ってなかったウェストサイド側の自転車レーン、9番街を南下することにしよう。チェルシー、グリニッジレッジ、ソーホーあたりを通り、マンハッタン橋に抜ける。

途中で、名古屋の中心街を走っている錯覚に陥った。まっすぐな道路が似ているのか。名古屋よりも混雑し、人も車も多い。しかし、きちんと分離された自転車道が通っているので走りやすい。アメリカの都市の自転車走行は、大きい車の多い車道を走るので最初は恐い。しかし、慣れると、自転車道・自転車レーンさえ走っていれば安全で走りやすい。車も自転車道を尊重してくれて入って来ない(バス、大型トラックははみ出しすので注意)。日本だと自転車レーンがあまりないので、都市街路走行は車、人に注意し、ハンドルをさばきながら進まなければならないので、疲れる。時間がかかる。しかし、こっちでは交通ルールさえ守って自転車レーンを走っていけば、楽にかつ速く進んでいける。あまりわき目を振らずまっすぐ前を見て進む。「動体視力」で左右の動きもある程度とらえられる。きょろきょろ見回していると返って危ない。特に前から来る自転車は、不安になってベルを鳴らしてきたりする。

ただ、歩行者には注意しなければならない。自転車レーンなどおかまいなしの人がたまに居る。それと、後から来る自転車。変な話だが、皆が赤信号で止まらない中で私だけ止まっていると危険なのだ。すぐ横をスピードを上げて追い抜かれる。赤信号を突っ切る自転車のためのスペースを空けて止まるなど余計な配慮をしなければならない。走行中も後ろからかなりのスピードで追い抜かれることがあるので、街路のデコボコなどで左右に急なハンドルを切ったりしない方がいい。電動自転車は、ニューヨーク州では、アシスト型も含めて禁止されているはずだが、全自動の「自転車」に乗っている輩が結構居る。かなりのスピードで自転車レーンも走る。

ベテラン・サイクリストでもあるまいし

「橋はどっちだ?」

交差点ですれ違いざまに別のサイクリストから道を聞かれ、「ウィリアムズバーグ橋か。こっちだ」とどなる。私に道を聞くなんて、変な話だ。偉そうに答える自分もおかしい。ベテランのニューヨーカー・サイクリストになってしまったとでもいうのか。しかし、瞬間的に感で答えただけだが、後で確認するとほぼ正しかった。橋の近くまで行けば見えるので、多少の誤差は修正できるだろう。

一番近道になるマンハッタン橋を通り、ブルックリンに入ってからはいつものルート。夜は車も少ないのですぐアパートにたどり着いた。

自転車事故

帰ってからウェブ・ニュースを見ると、何と、センチャリー自転車ツアーで事故が起こっているではないか。飲酒運転の車が、赤信号で止まっている自転車集団につっこみ、4人が重軽傷。一人は車の下敷きになって重篤な状態だという。ユダヤ人街ボーローパークで、私の家の近く、しかも朝9時ごろだ。私がまだ家に居た時間じゃないか(家を出たのは午後2時過ぎ)。知らなかった。それでなくても血気盛んな自転車アクティビストたちだ。今後、何か激しい動きが出てくるのではないか。