どうなってる、ニューヨークの自治体制度

ニューヨーク市には「区」が5つあるが…

アメリカの自治体制度は、日本から見れば「めちゃくちゃ」だ。日本なら国に地方自治法があって、自治体は人口の多い順に市、町、村、でだいたいの説明が終わる。ところがアメリカは州が集まった「連邦」なので、国が決めた地方自治法というのはない。それぞれの州が勝手に自治体法をつくる。が、一つの州内でも均一な自治体制度にはならず、過去の経緯からいろんな制度が交じり合い、州内でも「めちゃくちゃ」に感じる。

ここではニューヨーク市を例に説明するわけだが、難しいことを言わず、簡単に言ってしまえば、ニューヨーク市にはマンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドという5つの区がある、ということで終われるだろう。他の州や街は考えず、ニューヨーク市だけを考え、それで終わりにしてあまり実用上問題はない。だから、細かいことは本当は無視した方がいいのかも知れないし、そんなこと考えている暇はないという方は、以下の議論は読まなくてよい。

ボーローとは何か

5つの区があると言っている「区」は英語ではボーローのことだ(borough、またはその短縮スペルでboro。アメリカ英語ではボーロー、イギリス英語ではバラと発音)。boroughとは、ゲルマン系言語のハンブルク、ハイデルベルク、ストラスブルク(ストラスブール)、ルクセンブルク、サンクトペテルブルク、ヨハネスブルグなどのburg、bourgに当たる。つまり、都市(城市)のことだ。それをニューヨークの場合、便宜上、「区」と日本語訳しているにすぎない。boroughは英国など英語圏で伝統的に小規模自治体の名称に使われ、大都市の区の意味でも用いられている。アメリカでは、州により、これを町や村の意味で使う場合があり、例えばお隣のニュージャージー州がそうだ。最も一般的な自治体形態がこのボーローで、その他、city、town、township、villageなどもある(何だそりゃ、と思うだろうが、今は深入りなし)。

ちなみに、アメリカの都市では、ニューヨーク市の「区」のように、ある程度行政的に意味のある区分を設定している例は他にない。ましてそれを「ボーロー」と呼んでいる例はない。(ほとんど無限に多様といえる米国の自治体についてこのように断定してしまうことは危険なのだが、例えばフィラデルフィア市にもかつてボーローがあったが今は廃止されている。バージニア州チェサピーク市には今でもボーローがあるが、行政的機能はなく単なる地域名になっている。また都市の下部区分として市議会議員の選挙区、統計集計上の地域、近隣委員会(町内会)などは他市にもあるが、ニューヨークの区は、区長が公選され、ある程度の行政事務も行う。)

アメリカで市町村合併はほとんどない

アメリカでは市町村合併が嫌われる傾向があり、大都市圏でも通常、多数の小都市に分かれている。改めて区に分けなくても十分細分化されている。例えば私が以前住んでいたサンフランシスコは、都市圏(ベイエリア)全体では780万人の大都会だが、9つの郡、101の市に分かれており、中心のサンフランシスコ市本体の人口は87万人にとどまる(2016年)。同市は1856年に市と郡を統合した自治体となったが、以降、150年以上に渡り市域はほとんど変わっていない(California Historical Survey Commission, Guide to the county archives of Californiahttps://archive.org/details/guidetocountyarc00cali)。米国の自治体は、戦前の「帝国主義時代」は別として、戦後は、新たな創設・分離独立はあっても合併することはほとんどなく、自治体数は1942年の16,220から2012年の19,519まで一貫して増え続けている(U.S. Census Bureau, “General-Purpose Local Governments by State: Census Years 1942 to 2012 (Municipal Governments),” 2012 Census of Governments 。)。

この点で、ニューヨーク市は例外的だ。1898年の大規模合併で現在のブルックリン地域、クイーンズ地域、スタテン島を合併するなど市域を拡大してきた。1898年合併の前は、現在ニューヨーク市になっている地域に、当時人口100万になっていたブルックリン市を始め数十の自治体が存在していた(” List of former municipalities in New York City,” Wikipedia)。サンフランシスコ市でも、このニューヨークの例に習い、1912年に大規模合併都市をつくる運動が起こった(Shane Downing, “That Time San Francisco Tried To Annex Oakland, Berkeley And Most Of The Bay Area,” Hoodline, March 19, 2017)が、周辺自治体の抵抗で実現しなかった。アメリカ的自立自尊の精神があれば普通、合併提案などつぶされる。

市の中に郡がある

不思議なことに、ニューヨーク市には5つの区(boro)だけでなく、その同じ区域に郡(county)もある。マンハッタン区がニューヨーク郡、ブルックリン区がキングズ郡、クイーンズ区がクイーンズ郡、ブロンクス区がブロンクス郡、スタテン島区がリッチモンド郡でもある。同名の場合もあれば異なる名称の場合もある。郡は元来、州の下部機関という位置づけで、市の下部機構である区とは別組織だ。ニューヨーク州には62の郡があり、通常はこの郡の中に市や町や村が存在するという形になる。ニューヨーク市以外のニューヨーク州域、米国の他の州も普通はそうなっている。しかしニューヨーク市の場合は、市の中に郡が5つも存在するという異例の形。大規模合併を行ってきたことの名残と言える。

ニューヨーク市内5郡の機能はほとんど市の下部機構たる区に肩代わりされている。区は、公選される区長の下、当初は、市予算編成や都市計画で重要な役割を果たしていたが、現在の区長は諮問機関的な役割にとどまるとされる。郡はさらに名目的になっているが、その重要職である地方検事district atterneyが存在し、郡役人として公選されている。

ニューヨーク市は本当にアメリカ最大の街か

人口854万(2016年推計、以下同じ)のニューヨーク市は本当に全米一の大都市なのだろうか。合併で市域を拡大していけば人口が多くなるのは当然だ。例えばロサンゼルスは人口398万人で、全米2位。1位のニューヨーク市に2倍以上の差を付けられている。しかし、ロサンゼルス市もカリフォルニア州の中では活発に合併を行ってきた都市だが、それでも単一郡(ロサンゼルス郡)内に納まっている。このロサンゼルス郡の人口は1014万人で、ニューヨーク市5郡の人口を超える。ロサンゼルス郡には今でもロサンゼルス市を始め88もの自治体がひしめき合い、その他、都市部でありながら自治体を構成しない未法人化地域が広大にひろがる。

サンフランシスコも市としては人口87万で全米13位にランクされるだけだが、「ベイエリア」と呼ばれるサンフランシスコ都市圏全体(9郡)では768万、ニューヨークと同じく主要5郡としても634万だ(サンフランシスコ郡、サンタクララ郡、アラメダ郡、コントラコスタ郡、サンマテオ郡)。ニューヨーク市とさほどの違いはない。

公平な都市の比較

行政上の市域がばらばらでは、都市の規模を正確に比較できない。そこで米行政管理予算局 (OMB)では、通勤者の動きなど経済的結びつきの観点から大都市圏の「合同統計地域」(Combined Statistical Area、CSA)などを設定している。つながりのある複数都市をまとめて都市圏として見るわけだ。計166のCSAが設定され、人口の多い順に上位10都市圏は下記の通り。

全米上位10位CSAの人口(2016年推計)

順位  CSA名  人口
1 ニューヨーク・ニューアーク 23,689,255
(ニューヨーク州・ニュージャージー州・コネチカット州・ペンシルバニア州)
2 ロサンゼルス・ロングビーチ 18,688,022
(カリフォルニア州)
3 シカゴ・ネイパービル 9,882,634
(イリノイ州・インディアナ州・ウィスコンシン州)
4 ワシントン・ボルチモア・アーリントン 9,665,892
(DC・メリーランド州・バージニア州・ウェストバージニア州・ペンシルバニア州)
5 サンノゼ・サンフランシスコ・オークランド 8,751,807
(カリフォルニア州)
6 ボストン・ウォーセスター・プロビデンス 8,176,376
(マサチューセッツ州・ロードアイランド州・ニューハンプシャー州・コネチカット州)
7 ダラス・フォートワース 7,673,305
(テキサス州・オクラホマ州)
8 フィラデルフィア・レディング・カムデン 7,179,357
(ペンシルバニア州・ニュージャージー州・デラウェア州・メリーランド州)
9 ヒューストン・ザウッドランズ 6,972,374
(テキサス州)
10 マイアミ・フォートローダーデール・ポートセントルーシー 6,723,472
(フロリダ州)

(出典:US Bureau of Census, “Combined Statistical Area Totals Dataset: Population and Estimated Components of Change: April 1, 2010 to July 1, 2016“)

都市圏により異なる合併状況の差異を越えて客観的な都市圏規模を表したのがこのCSA人口統計だと理解できる。これによってもニューヨーク都市圏の優位は明らかなので、誇り高きニューヨーク市民も安心されたい。ただし、現行市域を基礎にした人口統計ほどのダントツの優位ではないことには留意しておきたい。特に西部・南部諸都市圏の人口増加は目覚ましく、今世紀の間にランキングに変動があることは想定できる。

ブルックリンとシリコンバレー

前記CSA都市順位表の5位に「サンノゼ・サンフランシスコ・オークランド」都市圏が載っている。「ベイエリア」と呼ばれているサンフランシスコ圏だが、その名称のトップにサンフランシスコでなく、サンノゼが出ている。略して言えばサンノゼ圏ということになる。日本の人は「サンノゼ」と聞いてもあまり知らないだろう。「シリコンバレー」と言えばよくわかる。そのシリコンバレーの中心に位置する自治体がサンノゼ市だ。サンフランシスコが狭い市域にとどまっているのに対し、サンノゼ市は広い郊外型の街(市域面積はサンフランシスコ122平方キロに対してサンノゼ460平方キロ)。人口もサンノゼ市の方が多くなってしまった(サンフランシスコ87万、サンノゼ103万)。実質的にはサンフランシスコ圏だが、人口から言えばサンノゼ圏とせざるを得ない。

ベイエリアでは市町村合併があまり進まなかった。サンノゼ市も独自自治体として成長し、現在ではシリコンバレー起業家経済の中心として世界的影響のある経済地域となった。

これに対し、1898年にニューヨーク市に組み込まれて影が薄くなったのがブルックリン市(現ブルックリン区)だ。ブルックリン区は現在でこそ、ニューヨークからはみ出してきたスタートアップ企業が集積し始め、シリコンバレーと同様の起業家経済都市の方向を向いているが、さほど名の知れた街ではない。人口的にはマンハッタンをしのぐ263万人で、実は独立すればシカゴに次いで全米4位の大都市だ。シカゴと違って現在でも人口が急増しているので2020年には全米3位となる可能性もある。

ニューヨークに組み込まれる前、ブルックリンはマンハッタンと並ぶ「ツイン・シティー」(双子の都市)だった。自由の女神像の台座にある「疲れし者、貧しき者を我に与えよ。自由の空気を吸わんと熱望する人たちよ」と続くエマ・ラザラスの詩(Emma Lazarus, The New Colossus)にも、「雄大な橋のかかるツイン・シティーの港」がそうした人々を受け入れるのだ、という趣旨の文言が入っている。この詩がつくられた1883年に、両都市を結ぶ最初の橋、ブルックリン・ブリッジが完成している。

しかし、1898年合併後の歴史の中で、ブルックリンをマンハッタンと並ぶ「双子の都市」とはだれも考えなくなっただろう。マンハッタンの周辺に潜む貧しい郊外地域になっていた。アメリカでは自治体を設立すれば、その地域を中心とした都市計画をつくれるし、資金調達(市税、公債発行)もできるし、交通を始めその街を中心としたインフラ整備がしやすくなる。例えば合併後整備されたニューヨーク地下鉄網を見ると、マンハッタンを中心に張り巡らされており、ブルックリン区から北隣クイーンズ区に行くのに、わざわざ川向うのマンハッタンを回って行かねばならない。ブルックリンでは「1898年の大失敗」(Great Mistake of 1898)という言葉が長らく語り継がれていた(Keith, “The Great Mistake of 1898: The Consolidation of a Dozen Towns into 5 Boroughs,” Keith York City, October 5, 2012)

ニューヨーク州には1607の自治体がある

ニューヨーク州には郡、市、町、村といった自治体組織がある。全ての州域が62の郡に分けられ、それがさらに(たまたま同数だが)62の市、932の町に分けられている(以下、New York State, “What do Local Governments do?“参照)。ここまではわかりやすいが、「村」は、ある所とない所があり、その地域の住民が村設立を決議すれば設立され、解散を決めれば消える。2011年に4村が解散して現在551の村がある。州人口の約1割が村域内に居住する。村も町と同様、法人化された自治体(local government)であり、郡、町と役割を分担して行政サービスを提供している。必ずしも農村地帯にあるとは限らず、むしろ都市郊外地域に多い。最大の「村」は人口5万を超えるヘムステッド村(ニューヨーク市郊外のナッソー郡内)で、ほとんどの市の人口より多い。ニューヨーク州の市で最も小さいのは人口約3000人のシェリル市だ。

62郡、62市、932町、551村で、計1,607の通常自治体(general-purpose local government)が人口2000万人のニューヨーク州に存在することになる(人口1億2700万人の日本には1,718市町村)。それぞれが公選された議決機関をもち、条例・規則を制定する権限をもち、課税権をもち、自治権(ホームルール)を保証され、警察、教育、社会福祉、道路・交通、上下水道、経済開発、などの行政サービスを選択的に提供することができる。

62郡が州域全体をおおい、その中に62市と932町がこれまた全ての州域を分割して存在し、町の一部に(重複して)村が存在する。市や町に住んでいる人は郡にも住んでいる(両方からサービスを受けるし両方に税金を払う)。村に住んでいる人は、郡、町、村に住んでいる。かなり複雑だ。課税や行政サービス分担を巡って異なるレベルの自治体間で紛争になることもある。この自治体説明を書いた(おそらく)州務省の人は次のように言っている。

「住民は、公選された代表に物理的に近いところに居たいと思うのでこのような制度が発展した。遠くまで行くのは時間がかかり大変だった。しかし、デジタル情報時代にはこうした考慮もあまり必要なくなっているかも知れない。それでも我々は、こうした細分化され持続不能な統治システムを維持し続けている。」

ニューヨーク州の制度はまだ整っている方

しかし、敢えて言えば、ニューヨークの自治体制度はまだ整っている方だ。カリフォルニア州では、例えば市、町、村の区別がない。自治体は自分たちをどう呼んでも構わない。一般的には「市」と呼んでいるが、人口数百人の自治体もあるので、「市」とは呼びにくいこともある。カリフォルニア州の市(自治体)はニューヨーク州の村に似ていて、住民が住民投票で設立を決議して初めてできる。決議しなければない。もともと州の下部機関だった郡は州全土をおおうが、自治体(市)は、存在しないところが少なくとも面積的には圧倒的に多い。

中西部の州に行けば、自治体設立の要件はさらに緩くなり、人口数百人、数十人の自治体も多数存在する。ジョージア州では4種類の行政サービスを提供すれば自治体をつくれるので、人口22人のエッジヒルは、街灯、水道、ゴミ収集、消防(消防車1台)の4サービスを提供。ゴミは、町長の夫が小型トラックで13軒の家をまわって集めるのだという(Dennis Kitchen, Our Smallest Towns – Big Falls, Blue Eye, Bonanza, and Beyond, Chronicle Books, San Francisco, 1995, p.31)。極端な場合は、前に紹介したように人口1人の自治体も存在するわけだ。

インディアン居留区

ニューヨーク州の自治体制度は、他州に比べると比較的整っているが、詳述したようにニューヨーク市は例外的で、市の中に区(ボーロー)と、ほぼ名目的になった郡が存在する。同様に例外的な存在として、州内10カ所のインディアン居留地がある(Native Heritage Project, “New York Indian Reservations” March 22, 2012,)。内9カ所は連邦政府承認部族が統治する地域で、これは州認定の自治体でさえなく、連邦政府が認めた「国」(nation)だとの建前。複数の郡、町にまたがる居留地もあり、州法枠外の諸権利を行使する。例えば、州法で禁じられる狩猟権やギャンブル営業権を有し、タバコ、酒類、ガソリンの販売などに州課税が適用されない。セントレジス・モホーク居留地のように、カナダの同族居留地と接して存在し、1794年ジェイ条約により、国境を越えた自由な往来が認められている場合もある。

居留地に部族政府があり、「憲法」があり、議会が存在して法律を制定し、独自の部族裁判所も存在する。部族政府が課税権を行使し、各種行政サービスを提供する。しかし、実際上は「信託」を受けて支援する立場の連邦政府(インディアン局、BIA)の役割が大きい。必要に応じて州(郡)、町などと行政サービスの協力・役割分担も行う。例えば、居留地が部族警察を有する場合、逮捕できるのは容疑者が居留地所属先住民の場合だけで、容疑者が部外者で被害者が居留地民の場合は連邦警察が逮捕し、容疑者、被害者とも部外者の場合は州(郡)警察が担当する。逮捕しても部族裁判所がさばけるのは容疑者、被害者がともに居留地民の場合だけで、しかも禁錮3年以内の刑を下す場合に限られる(Sierra Crane-Murdoch, “On Indian Land, Criminals Can Get Away With Almost Anything,” February 22, 2013, The Atlantic Daily)。

特別区

アメリカには特別区(Special District)という自治体もある。日本の教育委員会や一部事務組合などがこれに近いが、代表が公選され、独自の議決機関をもち、領域も通常自治体(市町村)と無関係に引かれている場合があり、別個の独立した自治体とされる。「通常自治体」が複合的な行サービスを提供する自治体だとすれば、特別区は単一の行政サービスを提供する自治体だ。学校区、消防区から、水道区、下水区、灌漑区、資源保全区、図書館区、鉄道区その他多様な特別区自治体がある。

この種の自治体は、独立性が薄く通常自治体の下部機関的なものから、民間の非営利組織に近いものまで様々なものがあり、線引きが難しい。米国勢調査局(U.S. Census Bureau)は、それを一定の基準で判別し、自治体数などの統計Census of Governmentsを5年ごとに出している。企業数、市民団体数の「国勢調査」ならわかるが、自治体数が調査しなければわからないというのがいかにもアメリカらしい。それだけ自治体が多様・多数で、設立や消滅が絶え間なく行われているということだ。同局の2012年の最新統計によると、米国内には38,910の一般自治体と51,146の特定目的自治体、計90,056自治体があるという。一般自治体の内訳は、3,031郡、19,519市(municipalities)、16,360町(townships)、特定目的自治体の内訳は12,880の独立した学校区、38,266の特別区だった。

ニューヨーク州は国勢調査局の分類によると57郡、614市、929町、679学校区、1,174特別区が存在する。学校区という名称でも、自治体としての独立性や政府性を考慮して、ニューヨーク市など5大都市の学校区は単なる市の下部機関として単独自治体には数えず、同市域外の委員が公選される学校区は自治体として数えるなど、個別に検討している。ニュージャージー州のボーローは独立した自治体だが、ニューヨーク市のボーロー(区)は市の下部機関とし、ニューヨーク・ニュージャージー港湾オーソリティー(PATH)は独立性が強いので自治体(特別区)とするが、ニューヨーク市交通オーソリティー(MTA)は単なる市の下部機関とする、などなど。こうして厳密に検討した上での「特別区」自治体が、学校区679、その他1,173で、計1,852あるということだ。

さらに詳しくは

このように複雑なアメリカの自治体制度についてさらに知りたい方は、下記を参照のこと。ヨーロッパ、アジアを含めてそもそも自治体とは何だったのかに迫っている。

岡部一明『市民団体としての自治体(御茶の水書房、2009年) 

また、ニューヨーク州の自治体制度については、次の翻訳が日本語としては最も参考になるだろう。

ニューヨーク州州務局『ニューヨーク州地方政府ハンドブック第 6 版』(2009年、2011年再版)、自治体国際化協会ニューヨーク事務所訳、2013年