経由地・北京のプチ観光 ー路線バスで安く街に出る方法

アメリカから日本に帰るとき、安便を使うと中国経由になることが多い。10時間から1日以上の待ち時間になる場合もある。そこで、経由地での過ごし方を考え、有効活用したい。

今回の帰国は北京経由で、行きも帰りも10~12時間の待ちがあった。街に出ることにした。何回も来ている北京だから、普通の観光ではつまらない。できるだけ安く街に出られる方法探しに挑戦。「中国鉄道雑記帳」ブログ氏の書き込みに刺激された。

北京空港から街に出るには、通常は、空港地下鉄で25元(約400円)、高速バスで20~30元(約350~450円)かかる。これを、ローカルな路線バスと一般地下鉄にすれば数分の一にできる(2014年末の料金値上げ以前なら10分の1レベルだったから、メリットが薄らいだのは否めない)。下記報告にある私のとったルートでは、地下鉄国展駅までの路線バス3元、天安門東までの地下鉄6元、計9元(170円)だった。

国際トランスファーでなく、普通の出国の列に

行き(帰国時)は、北京空港で「国際トランスファー」の列に並んでしまった。これだと外に出られず、空港の中で10時間、時間をつぶすことになる。失敗だ。そこで帰り(米国への帰り)は、通常の出国手続きの列に並ぶ。荷物をニューヨークまでのスルーにしたまま、同じ日に入国・出国することが可能か。ちょっと不安だったが、まったく問題なかった。滞在日数も聞かれず、簡単に出国スタンプを押してくれた。私らの若い頃は中国に入国不能で、入れるようになっても審査が厳しかったことを考えると隔世の感。ブース内で交代待ちの入国審査官があくびをしていた。

ターミナルを出て路線バスに乗る

空港に着いてInformationなどで、細長い青色の小冊子Ground Transportation Guideを入手する。その最後の方のVII. Airport Busの項に空港に寄る路線バスの案内が出ている。20~30元するIII.Airport Shuttle Bus and Coachとは違うので注意。これを見ると、ターミナル2からは2番、3番、7番のバスが、ターミナル3からは5番、7番、8番、10番のバスが一般地下鉄に接続していることがわかる。空港のやや北を通る地下鉄15号線の駅名が経路リストに乗っている。

私の使ったエア・チャイナは第3ターミナルに着く。2008年に完成した世界最大のターミナルビルで、スターアライアンス、ワンワールド系の航空会社が利用している。このターミナルを出て左端(1番入り口付近)に路線バス乗り場がある。中央部には通常の空港シャトルバス(機場巴士)がたくさん待機しているが、これと間違わないように。あくまですみの方の路線バス発着場だ。

地下鉄駅に接続するのは5番、7番、8番、10番だから、このうちすぐ出発しそうなバスどれにでも飛び乗ればいいだろう。私の場合、ちょうど10番が出発するところだったのでこれに乗った。

北京空港第3ターミナルの路線バス発着場。
第3ターミナルの路線バス発着場。ターミナル出て左端。空港1路などの路線番号が出ている。5,7,8,10番が地下鉄に接続している。
空港10番の路線バス。
ちょうど出発するところだった10番のバスに飛び乗った。行先表示に地下鉄の駅名(地鉄国展駅)も出ている。

北京空港は世界2位

観光は市内に行ってからだけではない。この北京空港(北京首都国際空港)も十分観光対象になる。第3ターミナルはターミナルとして世界最大だが、空港全体としても、利用旅客数で世界2位(1位は米国のアトランタ空港、5位に羽田空港)。躍進する中国経済のエネルギーを見せつけてくれる。この規模でも需要に追い付かず、さらに北京南方により巨大な北京大興国際空港を建設中というから驚く。

空港に帰ってきてからでよいので、出国手続きを済ませてから第3ターミナル内を歩き回り、その規模をとっくり味わうのも観光の一部。

第3ターミナルの中からみた北京空港。
第3ターミナルの中からみた北京空港。

中国の路線バスは乗りやすい

さて、第3ターミナルから乗った空港10番の路線バスは、近隣の庶民の街をゆっくり走りながら約30分で地下鉄15号線国展(国際博覧会センター)駅に着く。料金は3元。他のバスでも、同じく15号線の石門駅、順義駅、俸伯駅などに行くようだ。

中国の路線バスはなかなか乗り心地がよい。真新しく冷暖房も効き、各バス停の看板にはルート上停留所名がすべて書かれ、その中の現在どこの停留所なのかが赤で表示されている。漢字が読める(少なくとも識別できる)我々には分かりやすく、安心して乗っていられる。ただ、運賃が定額でなく距離制になったので、乗るとき行先を言わなければならず面倒になった。

アメリカと違ってここで私は、言葉を発しない限り異邦人と見られない。バス停でも同国人と間違われ行先だか乗り方だかを聞かれた。地元の長老のような大きな顔で位置の高い優先席に座り、車内を悠々と見回す。2年前に中国を長旅した。周囲の中国の景色が懐かしく何か妙な気分だ。

地鉄国展駅に着いたら、地下鉄に乗り換えるわけだが、そのバス停から東直門行きなどのバスも出ているから、余裕のある人はそれに乗ってゆっくりと外を眺めて旅するのもよいだろう。

同駅バス停には第2ターミナル行きの空港3路バスの表示があった。上記「中国鉄道雑記帳」ブログ氏が書いているように、これに乗れば、空港の第2ターミナルに行ける。(そこから第3ターミナルまではターミナル間の無料バスで行ける。)

地鉄国展駅前のバス停。
地鉄国展駅前のバス停。すぐ後方が駅。
地下鉄15号線国展駅。
地下鉄15号線国展駅。この向こう側に国際博覧会センターの建物がある。
地下鉄国展駅のホーム。
この辺は地下鉄が高架になっており、国展駅のホームも高いところにあった。ガラスで覆われ、北風は入って来ない。
地下鉄15号線の高架を走る電車。
電車がやってきた。左手に国際博覧会センターがあるが、この辺はまだ開発が進んでおらず、林が多い。

天安門付近をプチ観光

北京で半日程度の時間しかないプチ観光客では、まあ、天安門広場あたりに行くのが順当だろう。国展駅から天安門東駅までの地下鉄料金は6元。時間のある人は、天安門の後にある故宮(紫禁城)を見学したらいい。付近をいろいろまわりたければ市バス124番や公共観光バスでまわる。下記が参考になる。

1、浜井幸子「旅行者にとっても便利! 北京観光に使える124路バス路線

2、原田純子「公共観光バスで巡る北京

私は新しくできたという2の公共観光バス(観光1線,2線)を試してみた。

北京最大の目抜き通りの長安街。
天安門付近に至る長安街は北京最大の目抜き通り。北京飯店付近。
天安門。
言わずと知れた天安門。紫禁城の正門にあたる城門。1949年、ここから毛沢東が中華人民共和国の建国宣言を発した。
天安門広場。
道路(長安街)をはさんで天安門広場。警備が厳しくなったようで、入るにはセキュリティチェックを通る。
公共観光バスが停留所に来るところ。
天安門の近くに公共観光バスの停留所があった。レトロなバスがやってきた。2元の市バスよりかなり高く15元。
故宮北側の神武門。
公共観光バスは、故宮の裏側(北側)にまわっていった。北門にあたる神武門。故宮全体がお堀に囲まれている。 (これ以降は、暗くなり写真撮影が難しくなった。)

寒くなってきた

ニューヨーク行きのエア・チャイナ便は午後11時25分発。時間はあるのだが、暗くなってきた。それに寒い。11月下旬の北京だ。帰りも一般地下鉄と路線バスを試そうと思っていたが、早々とあきらめ、さっさと空港地下鉄で空港に帰ることにした。ニューヨークもこれからこんな風に寒くなるのか、と思うと憂鬱になった。