バルト三国の一つ、エストニアのタリン。確かに物価が安い。ヘルシンキでは街中のトイレが1ユーロ(130円)したのに驚いたが、こちらは20~30セントだ。(それでも公衆トイレに料金を取られるというのはヨーロッパ的だ。中国もその方式だが、日本や米国では普通取られない)。
宿もトイレ・シャワー付き個室に26ユーロ(3000円)で入れた。しかも、観光名所のタリン旧市街の入り口近く、いかにもヨーロッパ風の静かで古風なホテルだ。床がきれいで自然に靴を脱いで素足になってしまうほど。観光繁華街の反対側にあたるので店がなく、不便と言えば不便。だから安いのだろうが、歩くのが趣味の私にはまったく問題ない。
「バルト三国は、東南アジアの価格でヨーロッパが体験できる」と言われる。が、そこまでは行かない。スーパーで買う商品はだいたい他のヨーロッパ諸国と同じだ(輸入しているから当然だろう)。EU加盟、ユーロ採用で、経済事情は急速にヨーロッパ・スタンダードに近づきつつある。
現代の街もある
タリン2日目の午後になって、ようやく新市街地の方に出てみた。ガラス張りの四角いビルと広いアスファルトの道路。ふるさとに帰ってきたようでほっとした。この2日間居たタリン旧市街はまるでおとぎの国で別世界だった。尖塔の教会や中世風の建物が並び、石畳の道が複雑に入り込む街は愛らしいが、こうして「現代」に帰ってきてほっとするのは、やはり私はこちら側の人間だということだ。
健康第一を確認
同じくこのタリン2日目、昼ごはんを食べて、うとうとしたら驚くほど深い眠りについてしまった。カーテンを開けた明るい所で寝ていたので幸い目覚めたが、それでも体の中は「深夜」。体調がおかしく、「体が起動しない」という感覚。こりゃいかん。これからの長旅で体を壊す危険がある。
以後、健康な旅を第一目標にした。つまり、感動その他は二の次で、規則正しい旅生活をする。旅を仕事のように粛々とこなす。重い体に鞭打ち、まずは、明るいうちは外を歩かなければならない。



タリンの新市街。中世都市との違いがよくわかる。