マルタの第一印象

マルタ着

船の揺れが収まり、動力音が静かになった。湾に入り、ゆっくり進んでいるようだ。船窓から外をのぞくと、そこには巨大な中世の城壁がライトに照らし出されていた(後で考えるにあれは聖アンジェロ砦だった)。徐行する大型船から、岸壁側の壮大なお城が次々目に入る。これはすごい。歴史的建造物の観点からも南イタリアをしのぐぞ。

12月8日、夜中の11時にバレッタ港に着いて、そこから予約したマルタ大学近くの学生ホステルまで約3キロを歩いた。GPS地図ソフトが使えないので(携帯通信に入っていない)、グーグルマップのスクリーンプリントをスマホにダウンロードしてきた。これが効果的だった。重い荷物を抱えながら、夜道をあまり迷わず、大学近くまで行けた。

余談だが、大学近くの、大学関係宿舎に宿をとるのは良策だ。人に聞く際、だれも知らない安宿より、大学の場所を聞けばだれでもわかってくれる。目立つ建物なので近づけば自分でもわかる。タクシーを使うときでも「〇〇大学まで」と言えば、大学関係者かと誤解してドライバーも悪さを控えるだろう。

坂の街

マルタ。夜でも安全。坂が多い。そこら中でこぼこだ。サンフランシスコも坂が多いが、それでもノブヒルとかツインピークとか一定の丘の形状がある。マルタは訳もなくそこら中でこぼこがある。道路がイギリス的だ。つまり、歩道が狭く、車優先。狭い街の空間で、しかし、車の効率性を最大限保証し、かつ歩行者も何とか歩けるスペースは確保されている。その上、でこぼこ地形に合わせて道が複雑に入り込み、すぐ迷子になる。方向感覚が簡単に狂う。東に進んでいると思っていたのがいつの間にか南西に進んでいる。ある程度慣れた所を歩くにも地図が必要。

天然の海港

マルタは小さい島国だ(淡路島の半分程度)。世界地図どころか、ヨーロッパの地図を見ても点にしか見えない。だから、そこに、これほどまで入り組んだ複雑な海岸線があるとは想像しない。入り江が幾重にも入り込んでいる。細かい半島がいくつも海に突き出している。松島やフィリピンの海域のように、島がたくさんできているわけでもない。急な岩山が海に沈没したリアス式海岸で、すぐ深い海になる。

だから、直線距離にしたら近い所でも、歩いて行くと遠い。半島や入り江を複雑に大回りして行く。まるで多数の埠頭をもった港のように、細かい半島が多数海に突き出ている。地図で数えれば少なくとも10以上の「埠頭」がある。だからこれは、自然がつくった格好の港だ。地中海のど真ん中に、この願ってもない自然の港が存在する。マルタが地中海の要として発展してこない訳がなかった。

人々は南欧風の大らかさがあると同時に、几帳面なアングロサクソンの文化も受け継いでいる。南イタリアより街がある程度きれいなのはそのせいだと理解した。

GDP6%成長

GDP成長がEU諸国最高の年間6%だという。それは感じる、というより「見える」。至る所で見る建設工事、スカイラインに突出する大型クレーンの動き。一時期の中国の10%ほどではない。しかし、確かに6%程度の「喧騒」が街の中に「見える」。

風が強い

天気は良いが、風が強い。気温は最高17度、最低14度程度。温暖なのだが、ほぼ毎日のように強い北西風が吹いて寒い。風が強いと体感温度は10度違うという。冬でも日差しは強いので帽子やサングラスは必需品だ。

アラブ系の人たちを多く見る。チュニジアなど北アフリカから人たちか。宿のスタッフにはレセプションを含めてフィリピン系の人が多い。皆英語を話す。第二言語としての英語のようだ。それで互いに話し、結構通じて、生活ができてしまう。不思議な感覚。

マルタの中心都市バレッタの港の入り口。左手がバレッタ。こちら側、湾をはさんで対岸の聖アンジェロ砦からの眺め。
バレッタの北側の湾からの眺め。
バレッタの中心街レパブリック通り。 
湾の中に湾が複雑に入り込む。聖アンジェロ砦裏手の小規模な湾(ドッキーヤード・クリーク)。ヨットハーバーやバレッタ行きのフェリー発着所がある。
ホテルの屋上から街路を見る。バレッタの北に行った郊外の新興商業地区セントジュリアン。
近くの海。これぞ地中海。
近くにアジア系の食料品店がある。 
「ロシア系のカラオケ」も。一体どういうものか。