マルタの安宿紹介

余計なことをした

「1泊13ユーロで安いので助かりますよ。」

12月に入った安宿のマネジャーと言葉を交わしていた。

「え、そんなことはない。23ユーロだろ。」

そうマネジャーが言って、何やら雲行きが怪しくなった。いや、確かに13ユーロだ。ちゃんとそのレートでカード引き落としもされている。マネジャーが不審に思って調べ出す。

「おお、You are right! 確かに13ドルにしていた…。」

ぼう然とした様子。なんだ、間違えていたのか。真相は不明。深く追求しなかった。しかし、その後、予約サイトで1月の予約をしようとしたら23ユーロ、日によって27ユーロになっていた。やはり何かの間違いで13ドルにしていたのだろう。

余計なことをしてしまったかも知れない。サンジリアン・パーチャビル地区の「パーチャビル・アコモデーション」。13ユーロで一人部屋、トイレ・シャワー・キッチン共同と、とても安く喜んでいたのだが、消滅してしまった。

しかし、いいだろう。将来的なことも含めてどれくらい安い宿があるか、試験的な宿泊をしている。例外的な安宿にありつけても意味がない。別の安宿を同じく予約サイトbooking.comで探したら、すぐ近くに1泊18ユーロのパーチャビル・ホテル(下記参照)を見つけた。こちらはトイレ・シャワー専用、朝食付きだから、やはり同じくらいの安さだ。

以下、私の体験した安宿を紹介する。booking.comに出ていた最安一人部屋の情報だ(つまり、ホステル、ドーミトリーではないということ)。あくまで2018年12月~19年1月段階の情報で、特に料金は、これからどんどん上がるようで、かつ夏などもっと高いと思われる。

旅行者の拠点、パーチャビル

安宿は競争の激しいところをねらえ、だ。ここ、サンジリアン(セント・ジュリアン)のパーチャビル地区は、観光客の拠点とも言うべきところで、レストラン、バー、茶店、旅行社、土産物品店、スーパーが立ち並び、ホステル・ホテル・アパートも高級から最安まで多数そろっている。この近辺を探せば必ずお得な宿が見つかるだろう。

首都バレッタには安宿はなかった。かなり北に行ったセント・ジョージにも、バーチャビル並みの安宿はあるのだが、バレッタからやや離れすぎている。サンジリアンは、バレッタ北隣のスリーマにも安めの宿はあったが、そのすぐ北のバーチャビルに最安の宿が集中していた。観光開発が進んでいるが、散歩やジョッギングするにいい場所は確保できる。

スリーマからサンジリアン湾を挟んだ対岸にパーチャビルの街。今も建設ラッシュで観光開発が進む。
パーチャビルのホテル、アパートが多い一帯。
夜も人出が多い。

 

新宿・歌舞伎町的なところも。 

Paceville Hotel

Triq Ball, STJ 3120 St Julian’s, Malta

前出「パーチャビル・アコモデーション」に次いで、最安一人部屋はこのパーチャビル・ホテルだった。「2-star hotel」というだけあって、ホステル的ではなく、ホテル的な宿。したがって共同キッチンはないが、一人部屋でトイレ・シャワー専用、朝食付き。ベランダもあり、眺めもよかった。24時間レセプションに人がいる。私が2週間予約した時は18ユーロだったが、曜日や滞在期間によっても違うようだ。看板(電子式)には20ユーロと出ていた。

18ユーロでこれだけの条件なら何の文句もない。スタッフも親切で好感が持てる。暖房がなくちょっと寒かったが、言ったら簡易暖房を入れてくれて解決。唯一の不満はワイファイが不安定だったこと。廊下のルーターをリセットしてもらって数時間は順調なのだが、次第につながらなくなってくる。これまで経験したことがない不具合で、私の力では対応できなかった。ただし、ロビーに行けは高速ワイファイがあり、確実につながる。

ここにずっと泊まっているつもりだったが、予約した2週間を越えて延長しようとしたら、できなかった。土曜の夜が満員で、私は、とりあえずの予約をちょうど金曜夜までしかしていなかった。とりあえず予約はぜひ土曜夜までしないといけない。日曜夜からは宿が空くので延長できる。勉強になった。

たった1日でも別の宿に移らなければならないのは面倒なので、どうせなら、ということで次の宿に移った。

NSTS Campus Residence and Hostel

60 University Street , MSD 1653 Msida

三色に色分けしてあるNSTS キャンパス レジデンス & ホステル。マルタ大学に近い。

NSTS キャンパス レジデンス & ホステル(以下、NSTSレジデンス)は、パーチャビルでなく、イムシーダのマルタ大学近くにある宿だ。パーチャビルが観光開発されすぎていて、こんなところに居ると自分が何やっているかわからなくなる、という気がしていたので、ちょうどよかった。マルタ大学周辺は「大学町」というほどでもなく、普通の住宅街だ。首都バレッタにも近い。

(マルタ大学は400年の歴史をもつ伝統校。14学部で学生数は 11,500人。留学生約1000人。マルタは小さい島国なので、マルタ島居住者ならどこからでも通えるようだ。下宿しているのは、別の島、ゴゾ島からの学生と外国人留学生が中心らしい。)

NSTSレジデンスは、実は私がマルタに着いて最初に入った宿だった。大学の近くに宿をとることのメリットについてはすでに触れた。その後、13ユーロの前記パーチャビル・アコモデーションが見つかったので移ってしまったが、再び帰ってきたということだ。正解だった。

この宿泊施設は、1950年代に学生たちが設立した国際交流・国際教育の非営利団体National Student Travel Service (Malta)が運営している。NSTSはマルタ初の外国人向け英語学校も運営し、この分野の草分け的存在。

連続した3階建て3棟に98室があり、ドーミトリーもあるが、一人部屋もある。朝食付き。簡易キッチンあり。廊下の向かいになるが自分専用トイレ・シャワー付き一人部屋が1泊16.5ユーロとリーズナブルだ。冷房だけでなく暖房もあり、洗濯機利用4ドル、ファイルのプリントアウト1枚20セント、飲料水が無料で常時利用可、など細かい所がフォローされている。何と敷地内に野外プールまである(冬は無理だが)。

私にとっては、朝食に野菜(トマトとレタス)が付いているのがありがたかった。外食や簡易自炊をしているとどうも野菜が不足がちになる。朝食付きの宿でも果物だけで野菜がないところが多い。

さらに「全館禁煙」がまたすばらしい。安宿だとこの辺のポリシーがしっかりせず、室内で喫煙する輩がいる。廊下、そして自分の部屋もかすかに大気汚染を感じてまいることが多い。ここはそういう苦労がない。

こうしてみると、NSTSレジデンスはあらゆる点から素晴らしく、最高のお勧めかも知れない。

NSTSレジデンス周辺の様子

レジダンスのすぐ前にこんな大学グランドがある。だれでも使える。夜も開いている。スポーツ好きには最高の環境。
宿近くに駄菓子屋的なコンビニ店はいくつかあるが、5~6分歩くと、このようなスーパーがある。外見からはあまりスーパーとは見えないが、中はそれなりに大きい。
マルタ大学。正門付近。マルタ大学には、絵になるシンボル的建物がないようだ。いい写真を撮るのに苦労。
大学の裏側が谷になっている。高台の建物群がマルタ大学。非常におもしろいのだが、地中海地方では、街は高台もしくは丘の上にできる。谷間の低地はほったらかしで自然地域になってしまう。マルタでも、高台(半島に連なる尾根部分)の都市と、谷間の自然地域が交互に現れる。
谷間が自然保護地域になり、大学の野外観察コースとして使われている。
花が咲き乱れる草原区域もあった。
自然地域との境となる塀付近には猫たちが。大学関係者が与えたエサを食べている。マルタの人は猫にエサをやるのが本当に好きだ。
大学の南側に行くと、高速道路をはさんで農業地帯がある。イムシーダは都会の真ん中なのだが、なぜかここに農業地帯がある。
高台で眺めもいい。
馬車も見た。街の中で時々見かけるが、数年前まではもっとたくさん走っていたと思われる。あと数年もたつと見なくなるか。急速に近代化、モータリゼーションが進むマルタ。
馬小屋まであった。