マルタ大学からバレッタへの散歩

新しい宿となったNSTS キャンパス レジデンス & ホステルから首都バレッタまでは、もちろん、たくさんのバス便があって、20分程度で行ける。しかし、歩くのが趣味の私は、よく歩いて行った。45分程度で行ける。下記にそのコースを紹介する。別に特に有名な散歩コースというわけではないが、マルタの普通の街の様子を感じ取って頂くにはいいだろう。

GPSアプリなどで、一番の近道を調べることもできるが、大切なのは実際に歩いてどうか、ということだ。風光明媚か。交通は激しくないか。マルタの場合、急坂がないかどうかも考慮する必要がある。

私の宿からのルートより、マルタ大学からのルートを説明した方が一般性があり、汎用的だろう。写真はマルタ大学の正面(南)ゲート。
正面ゲートから左手の道(エスペラント通り)にお店やレストランなどがあり、「大学町」という感じがする。しかし、こことその先のパオロ・デボノ通りの狭い一角だけだ。
その先に、若者が集まるスケートボード公園がある。イムシーダ・スケートパークというらしい。この狭いスケートボード公園の周りに国道1号線をはじめ、高速道路的な幹線路が何本か交差している。公園というより、高速道路間のすき間という感じ。路線バス停留所がいくつもあり、交通の便は素晴らしくよい。
Achille Ferris通りに沿って東に進む。高台になっており、見晴らしがよい。前方にこれから向かうバレッタの街が見える。高台の下は高速道路になっているのがわかる。
小さな児童公園があった。その右側はイムシーダ小学校。
イムシーダ小学校をぐるっと回って、Johnny Catania通りを降りていく。車の通れない細い道だ。
すると、そこに現れるのがセントマリア教会。小さな湾(エムシダ・クリーク)に面しており、昔は漁港だったと思われる。港のあるところ教会あり。常に航海の安全を祈る必要があったのだろう。
教会の前の通りを渡って海岸側に。ちょっと交通の多い通りだが、教会の前だと(?)車はよく止まってくれる。この通りをまっすぐ行くとスリーマで、観光開発の進んだ地域に出る。バレッタ行きのフェリー波止場、大型ショッピングモール「ザ・ポイント」などもある。そちらに行くのもいいが、バレッタ行き散歩コースとしては右に進む。
ヨットハーバーとなった湾(クリークと言っているが)に沿って快適な散歩道が続く。
小さい半島の突端を越えると、バレッタの街が見えてくる。マルタ騎士団要塞の街。また小さな湾(ピエタ・クリーク)をぐるっと回ってあの要塞監視塔の下の方に行くのだが… 
ずっと突き進むと、このように海軍基地に入ってしまい、行き止まりとなる。ここをまっすぐ行けると、さらに風光明媚な散歩道になるのだが。
まっすぐ進まないで、ここを右に入る。
巨大な要塞の壁に沿って進む。どうです、この偉容は。
壁はこんな感じ。マルタの要塞都市は建物も壁も、マルタストーンと呼ばれる蜂蜜色の石灰岩を使っているとのこと。壁には、一旦粉にして塗っているらしい。
いよいよ城門をくぐります。ここが難所と言えば難所。急坂だというだけでなく(諸君の健脚ならなんということもないでしょうが)、見てわかる通り歩道がない。交通の激しい時はあまり快適な散歩にはならない。
上まで登ってきました。振り返るとこんな感じ。このまままっすぐ進んでもいいのですが、左手に見える門を入るのが通の技。あまり人の居ない公園(セント・フィリップ公園)があり、眺めがよいのです。
マルタ大学のあるイムシーダからビルキルカラ(マルタ第二の都市)、さらには遠く丘の上に、古都イムディーナの城塞都市も見えます。真下の道路は今登ってきた道。
夕暮れ時はこんな感じ。
セント・フィリップ公園の内側。ほとんど人が居ない。マルタ大学のアーゴティ植物園と一体になった公園だ。 
その植物園を右手に見ながら、南側のゲートから出ます。17世紀につくられたウィナコート給水塔がある。古都イムディーナの高台からサイホンの原理でバレッタに水を供給した。現在でも使われているという。
右手には、カトリックのサリア教会。なお、この地域はバレッタと同じ高台にあるが、首都バレッタの外側の街フロリアナに属する。17世紀の大包囲戦以後、内陸側から攻撃に備えるため、イタリア人技師フロリアナの助言に基づき、バレッタ城壁の外側に一連の城壁(フロリアナ・ライン)が構築された。フロリアナの街はその中にある。世界遺産バレッタがあまりに有名で陰に隠れているが、歴史的建造物が多い地域だ。フロリアナ遺産トレイルを設定して歴史的建造物を保全・紹介している。
ここでも、公園の中に猫が多い。
公園を出ると、続いて、長さ400メートルの公園「ザ・モール」。かつて騎士たち専用の憩いの場だったという。
ザ・モールの右手には、フロリアナ教区の中心となるセント・プブリアス教会が立つ。プブリアスは1世紀のマルタ最初の聖人。西暦60年頃に使徒パウロが、ローマに送られる途上マルタに流れ着き、キリスト教を伝えたとされる。そのときの最初の改宗者がプブリアスだったという。
やがてトライトン噴水のある大きな公園に着く。旧市街はちょっと先だが、この辺からバレッタ市域となる。
その右手にはバレッタのバスターミナル。バレッタ行きの路線バスは皆ここに着く。バレッタまでの散歩もここが終点としてよいだろう。ここまで、写真など撮らず、速足で歩けば45分。帰りはバスで帰ってもよい。
しかし、せっかくここまで来たのだ。バレッタを散歩せずに帰る手はなかろう。世界遺産指定の記念碑が旧市街入口の横に立っている。それで、この散歩には続きがある。次の記事がバレッタ市内散歩