ジブラルタルーセウター西サハラ
ジブラルタル海峡の北側(スペイン南端)にジブラルタルというイギリスの街がある。スペインが言う通り、これは英国の植民地であり、ヨーロッパ大陸に残る恥ずべき最後の植民地だ。香港を中国に返還したように、ジブラルタルもスペインに返還すべきだろう。
だが、そう言うスペインが、海峡の南側(モロッコ北端)にセウタという植民地を有している。地中海側に突き出た小さい半島だが、1415年にポルトガル王国が奪い、1580年にスペイン・ハプスブルク朝が受け継いだ後、ずっとスペイン領になっている。スペインだからヨーロッパ連合(EU)領域だ。EUがアフリカ大陸にまで張り出している。モロッコがこのセウタを返せと主張するのは当然だろう。
だが、そう言うモロッコはどうか。同国南の西サハラを実質支配し、同地域を「サハラ・アラブ民主共和国」として独立を目指すポリサリオ戦線と対立している。
皆それぞれ自国内から外国勢力を追い出そうとしながら、外の自分の植民地は手放さない。いろいろ理屈はあるが、罪深い強欲の連鎖を見るようだ。
2月14日、テトゥアンを出て、その中の一つ、スペイン領セウタに向かった。
セウタは意外と遠かった
セウタはテトゥアンのすぐ先と錯覚していた。実際には40キロ程度あった。国境の町フニデクまで路線バスで1時間近くかかった。そこからタクシーに乗れとガイドブックには書いてあるのに、すぐ近いだろうと重いバックパックをかついで歩きだしてしまった。何キロあったのか、やはり1時間近くかかった。こういう所で体力を消耗している。
しかし、前方に見えるセウタを眺めながら海岸沿いを歩くのも悪くない。セウタは本土と狭い低地でつながって(運河で切れているが)、半島の先に小高い丘のある地形だ。