


観光しようとは思わなかったが
英領ジブラルタルで観光しようとは思わなかった。依然としてスペインの中の英国植民地だ。近代史の中で列強が覇を争ってきた歴史に思いを馳せ、ただ街を静かに歩こうと思った。しかし、思いのほか、ジブラルタルは面白いところで、結構楽しんでしまった。
天然の要害。狭い海峡もそうだが、あの切り立った崖はなんだ。そそり立つ山がほぼ垂直に落ちて、そこにジブラルタル空港がある。垂直の崖のすぐ横がまっ平ら。どうやったらあんな地形ができるのか。ギリシャ神話では、船が通れるようにヘラクレスが巨大な山塊をぶち破った残骸とされるようだが(「ヘラクレスの柱」)。
そのまっ平らな地面の滑走路を歩いて渡り、街に入る。世界でここだけというジブラルタル名物の空港だ。狭いが趣のあるメイン通り(まさに名前も「メイン・ストリート」)が繁盛していた。そこを抜けるとケーブルカーの乗り場があり、登りだけでも13ポンド。両替が面倒くさいのので歩いて登ることにした(ホントか。カネが惜しいのでは)。頂上までは大変なので、中腹まで行き景色を眺めれられればいい、と思った。が、ほぼ頂上まで登ってしまった。

岩山を登る
一番つまらない岩山の端を登ってしまった。帰りは街に近いあたりを降りたが、するとそこにアトラクションがたくさんあった。
何よりも猿。人に慣れ、まったく逃げない。人を人とも思わず、通りかかっても見向きもせずに、仲間と毛づくろいなどをしている。エサを期待して近寄ってくる猿も居る。
使われなくなった大砲陣地が公開されている。ジブラルタル海峡に入ってくる敵の軍艦を容赦なく砲撃できる高性能大砲の実物が展示されている。大砲の仕組みを分かりやすく説明し、ビデオも上映されている。岩山の奥深くに掘られた砲撃コントロール室は見事だ。ここから大砲を動かし、岩山の影から海峡を行く敵艦に砲弾が飛ぶ。
急斜面アトラクション
そして急斜面にせり出す多くの展望台。ガラス張り展望台の「スカイウォーク」もある。残念ながら天気は悪いが、眺めは恐ろしく良い。ジブラルタル湾に多くの船舶が錨を降ろすのが見える。湾の対岸にアルヘシラス(人口12万)の港。晴れていればアフリカ側も見えるはずだ。急斜面には、高所恐怖症になりそうな吊り橋が架けられ、歩くと揺れる。同じく急斜面に1200年代の城壁が復元され、それに沿って階段が続いている。これも、下りると高所恐怖症になる。そして崖に咲く花々。乗らなかったが、ケーブルカーもアトラクションの中心だろう。
と、このように、思いのほか英領ジブラルタル観光を楽しんでしまった。
























