新型コロナ検査の遅れ

「風邪ぎみ」になれない

冬になるとだれでも1回程度は風邪を引くものだ。しかし、今年は簡単に「風邪ぎみ」にもなれない。会社を休まなければならない。暮らす部屋を分けなければならない。食事を出す人など世話係を限定しなければならない。トイレ、風呂などを別にしなければならないなどは無理だ。家族も感染している可能性がある。会社に行ってよいのか。

かと言って医者にも行けない。病院を感染をさせてしまう可能性がある。検査もしてもらえない。症状が4日続くなど、ある程度症状が重くならないとだめだ。コロナだか何だかわからない状態で家でもんもんとする他ない。最近はそれで自宅で死亡するコロナ感染者も出ているようだ。症状がなくなっても出社せず、14日間は様子を見るべきなのか。平均して3人の家族が、次々こんなになったら一家機能停止。身動きが取れない。困り果てている家庭は多いだろう。

感染との戦いで前線に居る医療関係者には敬意を惜しまない。できるだけ家でじっとする、それが我々一般市民にできる唯一の協力だ。だが、検査はもう少し拡大する必要があるだろう。医療崩壊は防がなければならないが、検査のキャパがないと言われてもう2カ月以上たっている。民間活用、ドライブスルー方式、抗体検査、抗原検査、その他いろいろ知恵は働かす余地はあるはずだ。

「羽鳥慎一モーニングショー」健闘

午前8時からのテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」というのを見た。なかなかよくやっている。政府が2ヵ月以上前から「PCR検査のキャパが少ないから検査制限」と言っていながら、未だに態勢整備ができてないことを鋭く批判していた。まったくその通りだ。よく言ってくれた。時に感情的すぎと批判される白鴎大学の感染症専門家、岡田晴恵センセーが議論にバランスを取るため、別の考え方をちょっと添える配慮まで見せるくらい。そして何よりも、周辺取材がしっかりしている。自宅待機で取材どころではない一般市民にはできないこと。コメンテーターに自由に言わせるだけでなく、番組制作側がよく取材し、具体的なデータをわかりやすく出す。なるほど、これなら天下のNHK朝イチを視聴率で追い抜く健闘も理解できる。視聴者が求めている点を取材に基づいて明らかにし、専門家の言を通して正確に代弁してくれている。

マスメディアがこれだけよく取材し、分析し、理路整然と主張してくれるところで、その上この素人がマイナーなブログ上で何を言う必要があるだろう。せいぜいボヤキでも言っていればいいだけか。

言うことの順番を変える

同じことを言っていることになるのかも知れない。しかし、言う順番を変える必要があるだろう。「統計的に見てBCG接種とコロナ抑止は相関があるように見える。しかし、証明されてはいない。大人への接種が安全かもわからないし、本来の小児接種分がなくなる危険もある」と言うより、こう言って欲しい。「むろん、BCG接種の対コロナ有効性はまだ証明されておらず、高齢者接種の安全性、小児への本来接種分の確保にも十分留意しなくてはならないが、BCG接種の有効性、つなぎとしての有効活用を検討していく価値がある。」

治療薬候補としてのアビガンについても、「可能性はあるものの、十分な治験が行われていないし、催奇形性など副作用も十分注意しなければならない」というより、次のように言ってほしい。「アビガンの有効性にはさらなる治験が必要だし、副作用に十分な注意を払うのはちろんだが、つなぎの治療薬として積極検討・活用したい。」

人間が開発で自然界の奥深くまで侵入するようになり、動物から感染して広がる「新興感染症」が次々発生する時代となった。今回の新型コロナはまだ序の口だろう。これからさらに超弩級の新興感染症が出て来る可能性がある。それらに対抗できる戦略を確立することが焦眉の課題となっている。2-3年後にはワクチンができます、ではだめだ。すぐに対抗できる戦略。未知の感染症でも自然免疫レベルである程度抑えられるような手法が有効だろう。他の疾病向けの既存治療薬を、つなぎとして早急に「オフターゲット投薬」できる体制も不可欠だ。今後、そのような体制づくりを模索していく必要があるし、現況下でも、それを最大限追求する姿勢が求められる。BCGについては、獲得免疫でなく、より基礎的な自然免疫の強化、あるいは今生物学界で注目されている「エピジェネティック」なレベルでの機作も指摘されている。こうした基本となる科学研究を、現在の危機が去った後でもいいから、究明する課題が学界に課されているだろう。