コロナ禍の中でも、幸い健康的な生活を続けさせて頂いている。週1で、アルバニー(バークレー隣)まで自転車で行き、友人とテニスをする。コンコード自宅から往復100キロ。行きは3時間半だが、帰りは疲れて4時間になる。イーストベイの山並みが続くので結構きつい。
そんなある日、コヨーテと遭遇した。いや、コヨーテだとは思わなかった。景色がいいところで写真を撮ろうと自転車を停めたら、ちょうど目の前に動物が現れた。悠々と道路を渡る。「殺気」はまるで感じなかった。これはいい写真になるとシャッターを押した。道路を渡ると彼は枯れた草むらに消えて行った。
きつねなのだろう、と思っていた。しかし、後で詳しい友人に写真を見せたら、「どう見てもコヨーテ」と言う。そう言えば、つい最近もこの地域で、住人がコヨーテに襲われてケガをしたという記事や、駐車場に現れたというニュースを見た。
コヨーテは集団を組み、夜活動することが多いと聞いた。この時は午前中の10時頃だった。仲間が居るようにも見えなかった。群れからはずれた単独行動者だったのか。(とすると、私と同類ということになる。)
コロナ禍になって、サンフランシスコ都市圏では人出が少なくなり、都市部にもコヨーテが進出している。サンフランシスコの住宅街やゴールデンゲート公園、どころかコイトタワー周辺やリーバイス本社付近など市中心部でも目撃情報がある。私たち家族が昔住んでいたサンフランシスコ住宅街の近く、プレシディオ(金門橋ふもとの公園)には、一定数のコヨーテが棲息するようになった。現在、同地域に住んでいる方によると、夜、コヨーテの遠吠えが聞こえるという。
プレシディオのコヨーテたちは、海峡を越えたマリン郡の方から金門橋を渡ってやってきたというから大したものだ。今、そこを拠点にサンフランシスコ市内に出没し、遠くシリコンバレー方面の山地帯にも活動・生息地を広げているという。
昔はプレシディオ周辺では夜になると、金門橋からの霧笛が「ぼー、ぼー」と聞こえていた(下を通る船の霧による座礁を防ぐ)。今でも聞こえるだろうが、コヨーテの遠吠えという新たな音色も加わったのかと思うと、なかなか味わいがある。
が、もちろん適切な警戒は必要だ。コヨーテはあくまで野生の肉食動物。人間はあまり襲わないというが、状況により行動に予測不能なところもある。エサは与えない。エサとなるような物は置いておかない。犬の散歩時には、コヨーテとの敵対を避けるため、リードでつなぐ。幼児は狙われやすいので外遊びの際に目を離さない。遭遇して危険な状況になったら、声や動作で脅し、目をにらみながら後ずさり。決して後ろを見せて逃げない。私も、昔はよくプレシディオをジョッギングしていたが、今はあまりお勧めできないだろう。動物は逃げる者を追う習性がある。