トシとのたたかい、怪我とのたたかい(その4、真夏編)

熱中症やコロナで苦労した人の手記を読み、今、灼熱の中でバスケをしていられる私は何て恵まれているのだろう、と感謝する。

「その3」で報告した右大腿部肉離れは直った。4ヵ月のブランクを経て、ここ1カ月バスケやジョッギングなどに復帰している。いや、「直った」わけではないだろう。ちょっと無理すると再び痛み出す。しかし、きつめのサポーターを太ももに着けるとかなり動けることがわかった。痛みがぶりかえさない。肉離れというより「筋膜炎」だったようだ。筋肉のまわりの膜の障害。こういう場合はサポーターがかなり効果を発揮するようだ。筋膜の代わりになる。お相撲さんが太いももに大きいサポーターを巻いて相撲をとっているのを思い出した。

それで運動に復帰できるようになったのだが、もしかするとこれからずっとサポーターを着けてやらなければならないかも知れない。

こんな風に、老人のスポーツはあちこち故障するのをだましまし対策を工夫しながら続けるものだ。

膝がこわくて長距離走があまりできなくなった。その代わり、急坂ダッシュを20本から30本に増やした。これが私の老人運動の秘訣。これでかなり俊敏に若えもんらのバスケについていける。なぜか坂を走ると膝が痛くなく、しかし膝周辺筋肉が鍛えられるので膝痛も改善する。

「本当に72歳ですか」と言われる。このしわくちゃ顔と白髪禿げ頭を見ればわかるだろう! 「僕の3倍ですね」と24歳に言われ、「俺の歳の反対だ」と27歳に言われる。今のところ心配なのは、私が年寄りだと思って手加減して対戦してくれているのではないか、という点だ。無理しない方がいいというアドバイスも受ける。しかし、バスケやるなら死ぬ気でやらないと意味ないだろう。(まねしてはいけません。あくまで個人の心構えを述べただけです。)

うだるような暑さの体育館の中で2時間、3時間、彼らと同様にがんばれるのはうれしい。猛暑の夏は、熱中症の危険はあるものの、寒い時のような筋骨関係のケガをしにくい。筋肉や筋が寒さでかたくなることがないからだ。老いも若きも相対的に動きも鈍くなっているだろう。この猛暑の中で動ける時間が戻ってきたのは私にとって幸運だったかも知れない。

故障といえば、今のところ「50肩」(70肩?)だけだ。腕を上げると肩が痛く、シュートがやりにくい。しかし、これは何度も経験済みの症状で対策もわかっている。意外にも50肩はある程度肩を動かした方がいいのだ。症状をみながらだが、腕を上にあげる肩の柔軟体操を充分する。シュートやテニス打ちなども避けてばかりでなく、少しずつやった方が痛みが消えていく。動かさないと肩関節が委縮してかたまり、それで痛くなるように感じる。

断っておくが、私が特別に恵まれた体だということはない。子どもの頃私は虚弱体質でしょっちゅう胃腸をこわしていた。途上国なら5歳まで生きられなかった子だ。20代からは腰痛・ぎっくり腰が始まり、ずっと1年のうち1カ月程度は床に伏していた。歳取ったらどうなるのか。腰痛にはイスにすわるのが特に悪い。車イスでの外出もできなくなり、ベッドに伏せた切りになるのか、「車ベッド」で外出することなどできるのかと将来を悲観した。が、不思議なことに50歳を越すと腰痛がでなくなり、激しい運動ができるようになった(腰痛の原因は椎間板ヘルニアだが、歳を取ると骨の中の軟骨が老化でかたまり、飛び出さなくなるという)。それからずっと体を鍛えている。

若いうちは何もしなくても体力があるが、老年の体力は本人が積極的に努力しないと維持できない。雨が降っても寒さの中でも自分を鼓舞し、ジョッギングに出る。その努力、努力で辛うじて獲得している72歳の健康体力なのだ。

これがどんなに貴重なものか、故障とたたかい続けた私自身がよく知っている。何としても維持したい。忙しくても苦しくても毎日のトレーニングだけは続ける。二日以上さぼるとテキメン影響がでるので、この猛暑の中でもがんばる。明日、お盆で実家に帰郷するが、元高校テニス部キャプテンの甥と巌流島テニス決闘をする予定だ。