ロイトッキトク案内 どうやったらキリマンジャロを見られるか

ロイトッキトク町のレンタダ・ゲストハウスに滞在してそろそろ2週間になるが、この間、日中キリマンジャロが見えたのは1日だけだった。その他は早朝や夕刻にわずかに顔を出すことがあるかも知れないという状況(早朝の短い時間なら7割の確率で見れる)。時期によっても違うだろうが、少なくとも今7月で乾季のはず。それでもこの状況ということは、よほど現地に貼り付いて、特に朝早起きして見ていないとキリマンジャロの雄姿は拝めないということになる。 全体的に見た上での最良の場所を推薦するわけではないが、少なくとも私が体験してこれは行ける、と判断したこの場所について、詳しく解説しておきたい。後から来る人に役立てられれば。

ケニア側国境に近いロイトッキトク町という選択

キリマンジャロはタンザニア側にあるが、実はケニア側からの方がよく見えるようだ。特にアンボセリ国立公園からは野生動物の姿とキリマンジャロの織り成す「これぞアフリカ」決定版の風景が見られる。むろん、タンザニア側を体験していないので客観的判断とは言い難いが、しかし少なくとも、ケニア側からは、山が見えやすい朝方に朝日に輝くキリマンジャロが見られる。キリマンジャロは現地語で「輝く山」という意味らしいが、やはりこの光輝くキリマンジャロを見られるに越したことはない。タンザニア側からは朝方、山影の部分が見えることになる。むろん、夕方見えるときは輝く山になるだろうが。

アンボセリ国立公園がベストだとしても、同公園周辺の宿は高い。金銭的に余裕のある方ならそういう選択もあるが、そうでない私らのような人たちには、やはり周辺の村に安宿を探した方がよい。そしてできるだけキリマンジャロの近く、となればこのロイトッキトクが最有力候補に上がる。次に近いキマナや、あるいはずっと南のタベタその他にもいい場所はあるかも知れない。だが、ここでも全体を見渡した上での評価ではないが、少なくとも私が体験して推薦できる場所としてこのロイトッキトクを推す。村から離れた自然環境の中にも安宿はあるが、車無しで長期滞在する場合、生活上の都合からも集落内に滞在した方がいい。 ロイトッキトクまでは、ナイロビからも安い運賃(800Kシリング=9500円)の乗り合いミニバスが1時間程度おきに出ている。あるいは私がたどったように鉄道でエマリまで来て、そこから乗り合いミニバス、あるいは乗り合いタクシーで来る手もある(運賃450ケニアシリング=約500円)。いずれも終点がロイトックトキなのでわかりやすい。

中心部幹線路北側のゲストハウス街

ロイトッキトクのどの宿に泊まるべきか。キリマンジャロがよく見える宿でないと意味がない。高級宿でも木立、地形その他の条件で見えにく場合もあるので、現地でよく検討すること。これも私の狭い経験の範囲から言って、村中心部、幹線道路北側並びのゲストハウス街が眺望に優れる。乗り合いミニバスの終着バス停の目の前だからわかりやすい。その中のどこでもいいが、3階建てで比較的高層のレンタダ・ゲストハウスなら……うーむ、ここばかり推薦して申し訳ないが、別にリベートはもらっていないのであしからず。自分が体験したので間違いなから言うだけだ。別稿で書いたように1泊1200円程度で安い。ケニア、一般にアフリカでは、booking.comなどオンラインサイトに出ていない宿に安くて掘り出し物がある。

ただし、一応村の中心部なので雑踏の騒音が聞こえるし、すぐそばが鍛冶屋なので、日中、金づちの音や溶接、金属削りの音が常にしている。私は気にならないが、気になる人も居るかも。その他、何か問題があれば、数日してから移動すればよい。

これら宿に入る際も、できるだけ眺めのいい部屋を要望すること。私の宿でも、景色がほとんど見えない暗い部屋もある。だいたいにおいて上の階の方が眺めがよいし立派なようだ。部屋を見せてもらって眺望その他を確認すること。

ナイロビでロイトッキトク行きバスに乗れれば勝負あり

ナイロビでロイトッキトク行きのバスに乗るのが難しいのだ。これにさえ乗れてしまえば、後は約束されている。上記の通り、ナイロビからロイトッキトク行きの乗り合いミニバスが1時間程度おきに出ており、運賃は800Kシリング(9500円)。これに6~7時間乗って、終点で降りれば、目と鼻の先にロイトッキトクの眺望のよい安宿がある。

しかし、ナイロビのバス停というのは混乱の極みで、どこにどのバスがあるのか、初心者はまずわからない。特に大きなターミナルがあるわけでもない。道路上にいろんな方面行きのバス、ミニバスが停まっている。この界隈に臆せず入り込み目的地に行けるのは相当の熟練バックパッカーと言ってよい。

下記写真の通り、Ronald Ngala StreetとRiver Roadの交差点付近にLoitokitok行きのミニバスが複数停まっている。車の屋根に行先看板が出ている。近くにガソリンスタンドやスーパーマーケットがあるところだ。ここに行って「Loitokitok!」と叫べば、次に出るロイトッキトク行きのバスに乗せてくれる。満席になるまで待たされるが、ほぼ1時間ごとに出ると思っていいだろう。特に朝の方がよく出る。6~7時間で着くが、ナイロビ市内の混雑が激しく、市街地を出るまでに1時間以上かかるかも知れない。

ロイトッキトク町の案内

ロイトッキトクはナイロビから南東255キロ、タンザニア国境沿いの人口1万人の街。標高1622メートルで、赤道直下にしては涼しい。マサイ族の人々が住む。伝統的衣装の人を見ることもあるが、だいたいが現代風の服装で、特に原始的な暮らしをしているわけではないので、お間違いなきよう。

町というより「村」の雰囲気だが、ある程度店も多く、生活する上で特に問題はない。外部と舗装道路でつながり、ネットもつながり、長期間の停電や断水もなかった。ナミビア「サン族の首都」ツムクェではATMがなくて、現金が入手できないという問題で苦労したが、ここには少なくとも2カ所にATMがある。本格的スーパーはないが、雑貨屋的な店はあり、一応、何でも買える。狩猟採集民の村と違い、ここでは農業も行わている。野菜・果物など生鮮食料品も豊富だ。こういうものはお店より、市場や街路の屋台の方が安い(そして新鮮だろう)。

ロイトッキトク(オロイトッキトクとも)の街の入口。ナイロビ方面から来ると、この標識に迎えられる。背景のキリマンジャロが見えることはめったにない。
ナイロビ方面からは、右手の道路からロイトッキトクに入ってくる。目前の交差点がロイトッキトク町の中心部。左前方(南方)に抜ける道路の両側にミニバスや乗り合いタクシーの発着所がある。特に右側、写真中央にミニバスが多数停まっている。ナイロビからのミニバスもここに着く。
上記交差点あたりから道路の対岸(北方)を見ると、ゲストハウス街。このどこかに泊れば、確実にキリマンジャロが見えるだろう。私が入ったのは左側黄色い宿の3階部屋。上記写真もそこから撮っている。
何やらマーチングバンドの行進があったのでワン・ショット。中央前方(南方)に向かう道路にいろいろ役に立つお店がある。
その南方に向かう道路。この並び中ほど両側に1軒ずつ雑貨屋的なお店があり、一応、生活に必要なものは手に入る。左側雑貨店はクレジットカードも使える。
その道を進むとすぐつきあたり(左折路)になる。この右手、写真中央黒っぽいお店がDiplomat Cafeという食堂。この街では一番しっかりして、私はほぼ毎日ここで昼食を食べていた。ゲストハウスなどでも1階部分は食堂になっているが、この食堂の方が質がよかった。値段もほぼ同じ。料理の図も出ているので、指さして注文できる。
この通りの行き止まり部分に、建設中の教会がある。大きな建物なので目立つ。左手ピンク色の建物が旧教会。このペンテコステ派教会が繁盛して、巨大な新築教会を建てることになった。
上記を左折してガソリンスタンドのところを右折すると、このような街路がある。この並びの左手入ったところに市場がある。この突き当りには、街で一番スーパーに近いと思われるお店がある。
つきあたりのスーパー的なお店「イルハン・スーパーマーケット」。ただし、客はそんなに多くない。クレジットカードも使えない。
奥に野菜市場があるはずなのだが、早朝に行ってもやってない(写真)。日中もやってなくて、おかしいな、と思い、聞いたら毎火曜日にしか開かないのだという。「七日市」ということか。月曜日も少しやっているという。周辺の屋台は常にやっているので、野菜・果物を買うのには困らない。
七日市の様子。
このような街路の屋台は常にやっているので、野菜・果物には困らない。  
市場の通りの突き当りを左折して行ったT字路近くにケニアの主要銀行KCBの支店がある。ここにクレジットカードの使えるATMがある。
ATMは、街の中心、ゲストハウス街の並びにもある。このSnowline Towersという宿の1階がEquity銀行で、そこにATMがある。こちらの方が、何かと宿に近いだろう。しかし、私はここで、クレジットカードが誤作動し、機械から返却されないというトラブルに見舞われた。幸い銀行が開いているときだったので何とか取り出してもらえたが、本人証明その他何かと面倒だった。再度試したら普通に使えたので、たまたま偶然の誤作動だったかも知れないが、一応そういうことがあったというご報告。ATMは、そこの銀行などが開いているときに使った方がいい、という教訓でもある。
ここで、夕方、子どもたちとバスケを楽しませてもらった。看護系地域短大(Loitokitok Campus, Kenya Medical Training College)のグランドだが、一般にも開放されている。青年たちは皆サッカーに熱中し、バスケは子どもたちの遊びのようだった。晴れていればこの背景にキリマンジャロが見える。「でこぼこ土のコートで(ドリブルほぼ不能)、バレーボール球を使い、ダブルドリブルやトラベリングの反則ばかりの遊びバスケだが、ふと汗をぬぐうと背景に雄大なキリマンジャロが見える、という最高クラスのバスケだ。」
もう1カ所、上記にも近い市民グランドのバスケコート。やはりサッカーが人気で、バスケをする人はまずいない。でこぼこ土コート、こわれたゴール、など環境はよくない。
町の公立病院。この病院敷地内に看護系地域短大があり、そのグランドのサッカー場やバスケ場が使えるということ。
その他街の風景。
街の風景。かすかにキリマンジャロ。
遠くの街まで出発しようとする乗り合いミニバス。
ロイトッキトクの標高1622メートルは、軽井沢(900~1000メートル)より高く、富士山で言えば2合目くらいに相当する。キリマンジャロの裾野をある程度の高さまで登ってきたところだ。裾野の方を見ると、ケニアの平原や、その向こうのチュル山地が見える。
北西方向にはアンボセリ国立公園があるはず。
郊外の田舎道をいろいろ歩いてみるのも面白い。
田舎道は舗装されておらず、土の道だ。日本でも江戸時代まではこんな街道が各地にあったに違いない。(いやいや、我らが昭和時代でも……)
キリマンジャロからはいくつもの小川が流れだしている。その一つ、ナレモル(Nalemoru)川が近くを流れている。キリマンジャロ頂上付近の氷河に源を発するという。下流でツァボ川、さらにガラナ川に注いでインド洋に。ツァボ川は、キリマンジャロ北側の水系を集めた川。南側の水系を集めるのはタンザニア側のパンガニ川だ。
ロイトッキトクの街に夕暮れが迫る。