
わーお、キリマンジャーロ!
7月17日朝7時17分。ついに姿を現したキリマンジャロ。アフリカ最高峰の標高5895メートル。それを私は、宿の部屋から拝ませて頂いているのだ。
ああ、もったいない。何たる贅沢をしているのだ私は。この興奮をすぐあなたに伝えたくて、このブログを書いています。
モンバサから来た
実は昨日から興奮している。インド洋岸モンバサから鉄道で北上してきて、左側(北西側)にずっとキリマンジャロを探してきた。かすかに見えたようにも思う。しかし、かなり遠かった。しかも、この極端に警備の厳しい高速鉄道2等は、車体洗浄の不備で、どこの窓からも外がよく見えない。エマリ付近まで乗っていけば、途中で5000メートル峰はよく見えるはず、と行ったのだが、アフリカの広大なサバンナはその標高を無にしてしまう。はるか彼方にそれらしい山景が確認できるのみ。それも昼近くになると雲に隠れた。
1泊1200円のお勧め宿
エマリからさらにキリマンジャロに接近するよう方針転換。地元民用ミニバス450ケニアシリング(500円)でタンザニア国境近くのマサイ族集落ロイトッキトク(Loitokitok)へ。バスを降りると、すぐ前に3階建ての眺めのよさそうな「レンタダ・ゲストハウス」が建っていた。迷わずその最も眺めのいい部屋を要望。この際、出費は惜しまない。
が、何と、この外見に似合わず小ぎれいな3階窓側部屋が、1泊1000ケニアシリング(約1200円)という。今回の旅の最低レベル。1ヶ月居ても惜しくはない(月換算3万6000円)。
*その後、2週間滞在を申し出ると割引で14泊計13000ks、つまり1泊1100円相当にまで下がった。
この時期、霧が多くンジャロ様はほとんど雲に隠れている。しかし、2週間居て、部屋からずっと山を見てれば、一瞬くらいは見えるときがあるだろう、と思っていた。ところが、翌朝、さっそくにもその輝く全容を私の前に現してくれたというわけだ。(キリマンジャロKilimanjaroの語源については諸説あるが、現地の古スワヒリ語で「輝く山」(Kilima山+njaro輝く)の意だとする説がある。)
午前7時、朝日が昇る頃にはまだ雲に隠れていた。しかしその15分後には全容を見せた。そして8時までにはまた雲に隠れてしまった。早朝のたった30分程度しか姿を現さない。こんな山を見るには、この宿に泊まる以外ない。(強力推薦。New Latenda Guest House, Loitokitok、070-255-4107をよろしく。)
避暑地
さらに、もう一つ昨日から興奮していたこと。ロイトッキトクは標高1600メートルで、涼しい。このところダルエスサラーム、モンバサとインド洋岸の熱帯湿潤気候の中に居た。日本の夏と同じだが、安宿では冷房もない。蚊もハエも室内を飛び放題。かといって少しでも外気が欲しく窓は閉められない。(寝る時は辛うじて蚊帳があって救われた)。外に出れば赤道直下の太陽、そして尋常でない湿気。洗濯すると乾く前に微生物の繁殖かで臭くなる。体力的に参っていたのだが、ここに来たら、まるで軽井沢だった。庶民色満載のマサイ族の村だが、確かに「高原の避暑地」だ。この自然の冷房だけでも何物にも代えがたい価値がある。何も急いで同様に酷暑の日本に帰る必要もあるまい。ここでゆっくりと…。

昨日のからの旅程・詳細
7月16日の行程図。モンバサからエマリまで鉄道。そこから乗り合いタクシーでロイトッキトクまで。Map: OpenStreetMap
モンバサ・ナイロビ間には、2017年に、中国の援助で完成した標準軌鉄道が通っている。1日2本のマダラカ特急があり、途上のエマリに停まるのは朝8時発の便のみ。駅に行って乗るだけ、と思っていたが、とんでもない。前日に下見に行ったが、モンバサ中心部の駅ではなく、十数キロ離れた郊外の新駅(写真)まで行かねばならない。空港より遠い。中央駅ならどのバスに乗ってもそっち方向に行くが、こんな辺鄙な所では行くバスは限られている。交通手段を探すのも苦労した。新駅は写真の通りモダン建築で、警備が物々しい。荷物検査であやうく果物ナイフを押収されるところだった(帰りの飛行機便に乗るまでは使えると買っていた果物ナイフ)。前もって予約して駅で切符をプリントアウトして、その切符を何回かチェックされて中に入る。警備要員だけで相当数に上るのではないか。もうかっているのか。2等運賃はナイロビまで1500ケニアシリング=約1800円(エマリまでは1100KS)と比較的安価だ。
警備の物々しさに関わらず、列車は普通の車両だった。運行速度も時速100キロ程度で普通。しかし、それまでの1m狭軌鉄道で24時間以上かかっていたモンバサ・ナイロビ間が4~5時間で行けるようになったのだから高速鉄道であるには違いない。
列車がモンバサを出るとすぐサバンナ景観になった。「熱帯湿潤」は海岸部だけらしい。アフリカはどこに行ってもサバンナが広がるものだな、の感慨再び。キリマンジャロ方向がよく見える左側窓際に座れたが、車体洗浄の不備で窓が汚れ、外がよく見えない。冷房している関係上、窓も開かない仕組みだ。
すぐそばを古い1m狭軌の鉄道が走っていた。日本の狭軌1.067mより狭い。新鉄道で採用された標準軌は日本の新幹線と同じ1.435m。ケニアではこれを大陸横断鉄道にまで拡大・連携していく計画らしい。
地平線あたりにキリマンジャロらしい山が見える。しかし、かなり遠いし、窓ガラスの汚れで明瞭に見えない、撮れない。
12時40分頃、ほぼ予定通りエマリ着。この辺に泊れば、キリマンジャロもよく見えるだろう、と思っていたが、全然ダメ。急遽予定を変え、タンザニア国境に近いロイトッキトクまで向かうことにする。キリマンジャロはタンザニア領内の山だが、ケニア側からもよく見える。特にこのロイトッキトク近くのアンボセリ国立公園からの眺望が優れている。象やキリンが行きかうサバンナの向こうにキリマンジャロがそびえる写真をよく見たはずだ。例えばここ。
駅を出て、激しいオートバイタクシー勧誘をかわし、「マネー」「マネー」と迫る子どもたちに「ケニア人としての誇りを持て!」と叫びながら、左手約500メートルのミニバス発着場まで歩く。写真のT字路付近が乗り合いミニバス、タクシーの発着場だ。モンバサ・ナイロビ間の幹線路A109(トラックの並ぶ道路)から西に行くC102(写真手前方向)の分岐T字路だ。右の小型車に10人が乗り、タンザニア国境に向けて出発。ロイトッキトクまで運賃450ケニアシリング(約500円)、行程約2時間。
これから行くC102号線ロイトッキトク方向。かなたにキリマンジャロがあるはずだが、雲に隠れて見えない。
途中、キマナの集落を通った。少し大きい街らしい。この街のはずれに、右に折れるアンボセリ国立公園方向への道がある。
ロイトッキトクの村に入ってきた。この4キロ先がタンザニアとの国境だ。
車を降りてすぐのところに見晴らしのよさそうな宿レンタダ・ゲストハウスがある。すぐ隣にポア・ゲストハウスというのがあるが、怪しい界隈ではない。この辺のゲストハウスはいずれもキリマンジャロ眺望がよいと思われる。
外見によらず、3階窓際部屋は清潔で立派だった。トイレ・シャワー付き。お湯も出る。私はあまり見ないがテレビもある。Wifiはないが、1ヶ月データ17GBのSafaricom SIMカード(2000ks=2400円)を入手したので大丈夫だ。この日は曇っていたが、窓いっぱいにキリマンジャロの山体が見えるはず。ケニアに限らずアフリカでは、booking.comやagoda.comなどのオンライン予約サイトに載ってない宿を現地で探すのが一つの手だ。外見は頼りないが、意外と安くて質のいい宿が見つかる可能性がある。
そして翌日。日が昇った午前7時ちょうど。窓から見るキリマンジャロはまだ雲に隠れている。
それからわずか17分で、このような眺望が開けた。キリマンジャロ(右手)のすぐ左(東)にも、マウェンジ峰が見える。厳密に言うと、これもキリマンジャロ山体の一部で、通常、キリマンジャロ山と言われているのはその最高峰のキボ峰(Kibo、5895m)のことを指す 。マウエンジ峰(Mawenzi、5149m)はキリマンジャロ山体で2番目に高い峰。アフリカ全体で言うと、キリマンジャロ・キボ蜂が最高峰で、それに次いでケニア山(5199m)、3位がマウエンジ峰ということになる。
午前8時には、かなり雲がかかってきていた。
そして昼には、深い霧に覆われた。この日はこの後霧雨にもなった。