ソウルから日本へ7000円 仁川空港第2ターミナル前夜泊

え、こんなに安いの。ソウルから名古屋までの飛行機代が7,520円だ。9月25日(水)早朝のジンエアー便、trip.comで6日前に購入。日を選ばなければ6,500円程度のもある。他の都市までの料金も、同25日大阪まで6,240円(エアソウル)、東京まで11,930円など。福岡までだと日によって5,000円台もある。東京から浜松までの新幹線料金(8,240円)より安く、名古屋・大阪間の新幹線料金(6,480円)といい勝負だ。(ただし、日本からソウル行きの航空券は、通常、これらの2倍近くになるようだ。)

ソウルから釜山まで電車、そこから船で福岡へ、などと考えていたが、それだと名古屋まで3倍くらいの料金になってしまう。韓国内をどうしても見て回りたいのでなければ、直帰する一択だ。また、格安航空会社(LCC)便は通常、チェックイン時に預ける荷物は別途高料金が取られるが、今回の便は15キロまでの荷物を無料であずけられる。(私はいずれにしてもバックパック一つだけで、別に預ける荷物はない。)

今回の旅最後の挑戦

今回の便は、ソウル仁川(インチョン)空港午前7時30分発なので、空港に朝5時頃には行っていなければならない。空港そばのホテルに泊まるか。しかし、へたすると航空運賃と同程度の宿代になる可能性がある。空港で寝ることにした。かつて乗り換えの際、仁川空港第1ターミナルのベンチで寝た記憶がある。今度は第2ターミナルだ。第2ターミナルでの空港「野宿」の可能性を探る。それを今回の旅の最後の挑戦とすることにした。

前夜にチェックインできなかった

インチョン空港は大空港で、中の環境も整っているはずだが、出口でつまづいた。オンライン(セルフ)チェックインができなかった。最近は通常24時間前からオンラインチェックインできて搭乗券がもらえる。それさえあれば、私のように預ける荷物がない人は、セキュリティチェックとイミグレーションを通って中(エアサイド)に入っていける。しかし、今回使ったLCCのジンエアーは、片道航空券の場合はセルフインチェックインできない、という不思議なルールがあった。第2ターミナルに来てセルフチェックイン機でチェックインしようとしてできず、がっくりした。外(ランドサイド。チェックインカウンターのあるエリア)だと「野宿」の環境はあまりよくない。長いすはあるものの板だ。床や堅い長いすに寝る他ない、と思った。

最近はチェックインカウンターの近くに自分でチェックインできるセルフチェックイン機が複数置いてある。通常24時間前からチェックインできる。宿などでのオンラインチェックインも可能。そしてそれさえ済めば、(預ける荷物がない場合)前の晩などに搭乗ゲートのある内部(エアサイド)に入っていける。ジンエアーの場合、片道航空券ではこれができなかった。
したがって、エアサイドの外(ランドサイド)で夜明かししなければならない。このような硬い板の長いす、あるいは床の上で寝なければならない、と覚悟したが…

到着フロアーには柔らかい長いすがあった

きつい夜明かしを覚悟したが、空港(のランドサイド)を隅々まで見て回ったら、到着エリア(Arrival Area)に柔らかい長いすがあるのを見つけた。仁川空港では、1階が到着フロアー、3階が出発フロアになっている。出発フロアのランドサイドには堅いイスしかなかったが、1階の到着フロアに降りると、安楽に寝られる長いすがあった。

仁川空港第2ターミナル1階到着フロアの到着ゲートA。到着して出てくる人を待つ場所だ。第2ターミナルには到着ゲートがA、B二つあり、到着便が混む昼には両方を使うが、夜になるとAだけしか使わなくなる。
到着ゲートBは、夜になるとまったく使われず、閑散としている。周囲の長いすは柔らかいクッション付きのイスで、これもがらがら空いている。
同上。

これは大きな発見。感動した。出発エリアなら早朝便に備えて前の晩から泊まり込むということがあるが、到着エリアで着いてそこに寝るということがあるのか、と不思議だった。しかし、確かに深夜に着いたら外に出て宿を探すのは大変だから、そこに留まり明るくなってから外に出ようとする人も居るだろう。

第2ターミナル夜明かしは、到着フロアBゲート周辺柔らか長いすで

二つある到着ゲートのうち、到着便の少ない夜はAに一本化され、Bはまったく使われなくなる。しかも夜12時頃から朝4時ごろまでは到着便自体がほぼなくなる。だからこのゲートB周りの柔らかい長いすは絶好の「野宿」場所だ。あまりに閑散として女性は怖くて近づきにくいかも知れない(その場合はゲートAの周りに行けばいい)。冷房が効きすぎて寒くなることもない。ジャンパーを持っていたが使うことはなかった。トイレもすぐ近く、私が今まで居た安宿より恵まれている。しかもとびっきり清潔で多人数対応(つまりガラガラ)のトイレだ。館内アナウンスもほとんどなく、雑踏の騒音もなく、静かすぎて返って落ち着かないくらいだ。朝4時を過ぎると照明が明るくなった。夜のうち照明を暗くしてくれていたらしい。そしてその4時頃には到着ゲートBも使われるようになるので周囲が騒がしくなる。早朝便に間に合うよう早く起きる必要がある。自然に目が覚めて好都合だ。

午前4時を過ぎると到着ゲートBも使われるようになり、騒がしくなる。ちょうどいい具合に目覚められる。

空港を宿泊施設に

私は、多少の雑踏・騒音の中でも寝られるタチだ。空港の中でも柔らかい長いすさえあれば、まずぐっすり寝られる。バックパックを枕に熟睡して早朝に目覚めてから、そこで真剣に考えこんでしまった。空港を宿泊施設にかなり使えるのではないか。ここの野宿エリアにも、明らかに旅行客でないと思われる人が約1名寝ていた。荷物もなく、いかにもここに寝に来る風のおじさんだ。さすがにそれはまずいだろう。そんな人が増えれば警備員も追い出しにかかる。しかし、早朝出発便の前夜、深夜到着便の当夜などは、無理して外のホテル泊を追求しなくても、ただで空港に泊まればいい。

世界2位の「寝やすい空港」

仁川空港は、権威ある航空関連格付け会社SKYTRAXの「ワールド・ベスト・エアポート」で常に最上位にランクされる空港だ。2024年評価では世界3位だった(ちなみに、1位はカタールのドーハ・ハマド空港。2位シンガホールのチャンギ空港、4位日本の羽田空港、5位同成田空港、とアジア勢が健闘している)。わざわざ「寝るのに最もよい空港」をランク付けしてくれているサイトもある。前回2016年のその調査で、仁川空港は世界2位だった(1位シンガポール・チャンギ空港、3位エストニア・タリン空港、4位日本・羽田空港、5位同成田空港と、やはりここでもアジア勢が健闘)。現在、最新の調査をしている最中で、今年末までに結果を発表するという。なお、このSleeping in Airportsサイトでは世界の空港で寝るための環境を詳しく解説をしてくれているので大いに参考になるだろう。

出国エリア(エアサイド)にさらに多様なサービス

早朝5時に航空会社カウンターでチェックインを済ませ、 長蛇の列のセキュリティー・チェックを何とか通り、それと対照的に非常に簡単な自動出国手続き(自分でパスポートをスキャンして指を指紋認証装置にかざすと扉が開く)を経て、「エアサイド」の中に入る。ここに入れば野宿環境はさらに優れている。乗り継ぎ客などが仮眠をとる場合もあるから、寝るための環境は必須だ。

VIPラウンジは満員だった

私はtrip.comで安便を予約したのだが、そのプラチナ会員になっていると、空港ラウンジ(Sky Hub Lounge)が無料で利用できる。正式に利用すると39ドルかかるVIPラウンジだ。7,000円の飛行機に乗るのに6000円のラウンジが無料で使えるというのはすごい、と思いながらそこに行くと満員だった。

5時間まで利用できるので、エアサイドに入ったらそこで寝ようと思っていた。しかし、前述の通り、24時間前からのオンラインチェックインができず、ここまで来れなかった。朝の短い時間だけでも経験するため行ったのだがなかなか入れない。楽するためVIPラウンジを利用するのに、列に長く立たされては本末転倒。あきらめた。

ラウンジ外にも仮眠エリア

このラウンジは、第2ターミナル・出国エリア・エアサイド、268番ゲート付近の上階(4階)奥にある。そこでカネを払うなり利用資格をチェックされて入るのだが、その隣にNap Zone(仮眠ゾーン)という部屋があり、寝やすそうなリクライニング長いすがたくさん並んでいた。一般客もチェックなしで入れ、ここで寝るのも可能のようだ。他にもWork Zone、Kid Zone、シャワー(有料)などがあり、トランジット客のため無料市内ツアーなども組織している。

VIPラウンジは満員で待ち列があり、入るのをやめた。
VIPラウンジに入る前にNap Zoneの部屋があった。
このようなリクライニング式の長いすがたくさん置いてあり、安楽に寝られそうだ。
かくして、空港内探訪を終え、午前7:30発のジンエアー機に無事乗ることができた。この格安便は、広い第2ターミナルの一番端、ゲート270まで相当の距離歩かされ、そこからさらにバスで写真の飛行機まで送られる方式。大いに結構。7000円ならどんな苦労もいとわない。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です