安宿の評価基準

過酷なカミさん案内の課題を無事に終え、一人旅に戻った。まず住むところを決めなければならない。滞ったブログ書きなど書き物、そして調べ物や各種勉強のため、若干の間こもる。どこにするか。安くて暑くない(標高が高い)ところ、できれば魅力ある土地がいい。が、タシケント近くでそういうところはあまりない。タシケント内の手近な安宿を探した。エアコンさえ効けば、40度近い気候も恐れることはない。

結局、カミさんの出発前に泊まった空港近くの安宿(アビア・ホステル)にそのまま居座ることにした。トイレは共同(しかも建物外)になるが、シャワーが室内にあり、エアコンもある。空港近くだが、決して産業地域ではなく、平民の住居・ソ連式団地の一角だ。緑多く人々の日常生活がある安全な地域。団地だからスーパー、お店、食堂なども一定程度ある。

以下に私が安宿を選ぶ際の評価基準を記す。()内は今回のアビア・ホステルの評価(A~C)だ。

  • 安いか(B)

安宿を探している。これが主要な評価基準になるのは当然だ。日本円にして1泊2000円台、できれば1000円台があれば理想。今回の宿は2600円程度でまあ中程度の評価となる。これより下げると専用トイレ・シャワーがないなど問題がでる。地方都市でもネットを検索すると意外に高い。タシケント内の方が格安が見つかる。

  • 個室か(A)

タコ部屋方式(ドーミトリー)では自由が効かず、勉強にもふけれない。個室であることがほぼ絶対条件。ヨーロッパや米国ではこの基準を貫けず、一時的にはドーミトリーに泊まることもあるが。

  • トイレ・シャワー付か(B)

もちろん専用トイレ・シャワーが部屋に付いていることが望ましい。しかし、これは値段との相談事項になる。今回の宿はトイレは屋外共同だが、シャワーだけは部屋に付いているという珍しい形になった。シャワーがあれば洗面や果物洗い、選択などの用事もそこで変則的にこなせる。共同トイレも、客が少ない宿では専用に近い利用ができる。ただし、屋外の共同トイレとなると、厳寒の冬は考え直さざるを得なくなるだろう。

  • シャワーからお湯はでるか(A)

シャワーからお湯が出ない宿は、宿として条件を満たしてないと言えるが、そういう宿が今回も1軒あった。夏であれば猛暑からの帰宅直後に浴びるという手で我慢することはできる。他の条件がそろっているなら、そういう宿に泊まることもなくはないが、今回の宿はちゃんとお湯が出た。立派。か?

  • 水洗トイレの水は出るか(B)

トイレに水がでないというのは、これも宿として致命的だが、他の条件が概ねそろっているなら、こういう宿を選ぶ場合も時にある。水道の水をバケツに溜めてザバッとぶっかければブツは流れる。今回の宿はちゃんと水が出た。ただし、共同トイレのカギがかからないという別の問題が。が、まあいい、適応。

  • エアコンはあるか(A)

40度前後になる中央アジア諸都市の夏は、エアコン付きが必須事項になる。ただし、乾燥した土地なので、日陰の宿なら、エアコンなしでも暮らせないことはない。今回の宿ではエアコンがあった。冬はどうなるかはまた別の話。

  • 停電で熱暑にならないか(A)

エアコンがあっても停電になってはどうしようもない。特に西日が強烈に差すような宿だと、それこそ生き死ににかかわる。停電になっても死なない部屋を選ぶ。タシケントでもサマルカンドでも昼間に毎日のように停電があった。サマルカンドの宿はエアコンがなくてもある程度涼しかったが、タシケントの他の宿は西向きで危険な暑さになった。外出してエアコンのあるところ、ショッピングモールや市バス乗りなどで危険を回避する。

停電があるかどうかは最初のチェックではわからない。サマルカンドやタシケントの他の宿では毎日のように停電があったが、今回の宿は、不思議と停電がない。貧しい団地地域だが、空港に近いからではないかと思う。空港とその関連施設がたくさんあるところで毎日昼間停電していてはまずいだろう。

  • 清潔さ(B)

安宿はこの点で下限がないので要注意だ。最初に見せてもらって、「ウエ、こんなところは住めない」と思う所はむろん避ける。特に明らかにシーツを取り換えてないようなところは忌避。逆に、安宿でも意外と清潔なところはあるので、いろいろあたる価値はある。ネット予約では、あらかじめ現物を見ることができないが、多くの場合、1泊だけ予約して気に入れば複数泊にするという作戦をとっている。

  • 広さ(A)

これはあまりこだわらない。日本の住宅環境に慣れた身なら、狭い部屋でも清潔でありさえすば快適に住める。しかし、こちらの(つまりソ連式の?)広いホテル部屋に慣れると、確かに部屋での自由が効いて住み心地がよい。

  • ちゃんとしたWIFIがあるか(A)

これは宿で仕事をする私にとって必須に近い。Wifiがあっても接続が悪いこともあるので、ルーターからの距離などを考慮し、接続がよい部屋に変えてもらうこともある。地方の安宿を利用していくような旅では、SIMカードを買って単独でネット接続・テザリングできるようしておく。SIMカードは高くない。1ヶ月最低限のネット利用ができるSIMで1000円程度。

  • 机とイスがあるか(A)

これも仕事の環境を大きく左右する。ない場合は少なくともイスはマネジャーに言えば持ってきてくれるだろう。ベッドに座ってベッドサイドテーブルにPCを置いて、などと工夫する場合もある。その他部屋の中をよく見て、机・椅子代わりになる環境づくりを工夫する。

  • キッチン・冷蔵庫・電子レンジ、洗濯機はあるか(A)

キッチン設備があると便利だ。自分で好きなものがつくれ、腐りやすいものもしまっておける。意外と、ちゃんとしたホテルだとこれらがない場合が多い。ドーミトリー主体のホステルだと必ずこれらがある。ホステルの中に個室部屋があるようなところは狙いどころだ。今回の宿ではそれがあって重宝した…と思っていたのだが、ある日キッチンに行ったらコンロがすべて撤去されていた。改修工事だという。

洗濯機まで使わせてくれる宿は少ない。シーツ洗いなど業務用に使うからだろう。今回の宿ではこれが洗剤付きで自由に使えた。街のコインラウンドリーなどに行くと1000円は取られる。これは大きなポイントだ。

  • 便利な場所か(B)

駅の近く、バス停の近く、観光スポットの近く、次の行動予定によっては空港の近く、などに考慮するのは当然だろう。生活していく上で必要なお店、スーパーなども近くにあるかも見極める。

  • 安全な地域か

住んだ感じでは中央アジアはそれほど危険なところは思われない。しかし、工場地帯と倉庫街とか、かひとけのないところに住むのはやはりまずい。今回の宿は空港の近くなのでそういう場所である可能性を危惧したが、意外と団地の中で、生活の臭いがして安心できた。

  • その他環境(C)

バスケのできるコートが近くにあるか、散歩できる公園、カラオケできるところは、図書館は、などなど、その他環境は別次元の話なのでここでは割愛。

以上を総合的に判断して、この宿に今、入っている。