「ご自身で乗り換え」便チケットは安く、やはり捨てがたい
9月26日に、トリビシ(ジョージア)から日本に帰ることになった。前に別切り発券チケット(予約サイトで「ご自身で乗り換え」などと書いてあるチケット)で失敗して、これからは乗り継ぎ保証のあるチケットにしようと決心した、と書いた。しかし、やはり先立つものは何。安便にしようとするとどうしても「ご自身で乗り換え」チケットになる。接続保証便より、少なくとも数万円割安になる。
乗り換え時間の短い便にしたから失敗したのだ。十分時間を取って乗り換える便を選べば別切り発券チケットでも大丈夫ではないか、と考えた。私の人生、それほど急ぐ人生でもない。途中経由地でゆっくり時間をとり、可能ならそこでおまけの観光でもして行った方がいいのではないか。で、題字のような便にした。
(詳しい説明)乗り換え保証のない別切り発券チケットとは
普通乗り継ぎ飛行便というと、航空会社が直行便を飛ばしてないので、途中の空港で乗り継ぎして行くようなフライトを指すでしょう。乗り換え地では、すぐに空港内のトランスファー領域に案内され、その国の入国・出国手続きを経ず、次の便に乗れます。最初の出発地で、すでに2枚の搭乗券(ボーディング・パス)を受け取っているでしょう。荷物がある場合、最初の出発地でカウンターに預け、最終到着地でそれを受け取ることになります。それと異なり、乗り換え保証のない別切り発券チケットとは、別航空会社の便などを別々につなぎ合わせて発券した航空券で、ネット予約サイトなどで販売される安便のかなりがこれです。「ご自身で乗り継ぎ」などの注意マークがついたりしています。そのサイトで買った一連の予約切符としての体裁はありますが、実態は顧客が勝手に別々に買った切符となります。ですから、一つの便が遅れて次の便に乗れなかったりすると、完全にその人の責任になり、以後の便がすべて無効になってしまいます。預ける荷物もいちいち中継地で受け取り再度預け直さなければなりません。前記の「普通の乗り継ぎ便」であれば、あくまでその航空会社の責任で売っている連続チケットですから、乗り換え保証があります。万一遅延で次の便に乗れなくとも、別の便を無料で手配してくれたり、中継地で宿泊が必要になれば無料のホテルや食事代を出してくれることもありま。ですから、この「ご自身で乗り継ぎ」便の利用には十分注意が必要です。しかし、とにかく安いので、私やあなた?のようなバックパッカーにはやはり無視できない存在なのです。
買ったのは次のようなチケットだった。

予約番号、PNR番号、フライト番号を明記したので返ってわかりにくいかも知れないが、後の説明のためなのでご了承を。普通は何日何時にどこを何航空で出てどこに着く、くらいしか見ていないと思う。
私は最初、多くの予約サイトを横断的にチェックするSkyScannerサイトでチェックしているのだが、これを見ると、トビリシからの安便はだいたい中東地域を経由していることがわかる(日本への直行便はない)。ならば、これまで行ったことのないリッチな中東産油国あたりを経由し、可能なら短い観光でもしてみるか、という色気が出てきた。それで検索を繰り返すと、上記のクウェートとドバイに1泊ずつ寄れて、しかも安く行ける便が見つかった。根気の要る作業ではあったが。
別の予約便に分けてもよい
ここで注意すべきは、最初から「複数都市」選択で、クウェ-ト、ドバイなどを「周遊」する便を検索すると、そんな便はない、と出てきてしまうことが多い。特に効率よく回れる到着・出発時間の便はなかなか出てこない。その際は、切符を2に分けて検索してみる。私の場合、ドバイまでの切符と、ドバイから日本までの切符を完全に別の予約として検索したら、十分に観光時間も取れそうな2予約が出てきて、しかもその合計料金が、単一の「複合都市」周遊便とあまり変わらないものだった。(同一の予約サイトで2つの予約便を取ってもよいが、今回の場合、少しでも安い便ということで、MyTripとkiwiの2つの異なる予約サイトでの予約になった。)
注意すべきこと
乗り継ぎ保証のない別切り発券チケットを購入する上でいくつか注意しなければならないことがある。まずは、安便の常として、その中に格安航空会社(LCC)が確実に含まれることだ。チェックイン荷物(チェックインの再、カウンターで預ける荷物)が有料になるので、機内持ち込みの荷物(通常7キロ程度)にのみ限定する必要が出てくる。思い切った断捨離が必要になる。これを満たせないと高額の追加料金が取られる。またLCC航空会社によっては、オンラインチェックインをせず空港カウンターでチェックインするとこれまた追加料金が取られることもある。その他にもいろいろありえるLCC追加料金の罠を十分チェックして対応しなければならない。
「経由」国にビザ必要なことも
上記は、一般的なLCC利用上の注意だ。別切り発券チケットの場合には、さらに別の注意が必要となる。中継(トランスファー)ではなく、勝手に別々の航空券を買っている扱いになるのだから、中継空港に着いてTransfer(またはConnecting Flights)のエリアに案内されることはない。自分でその国に入国し、空港カウンターで改めてチェックインして、再び出国手続きの後次のフライトに乗らなければはならなくなる。余計に手間と時間がかかる上、国によってはビザがなければ入国できない(そもそも飛行機に乗せてもらえない)とか、あるいはアライバル・ビザ(到着ビザ)を取得できるとしてもビザ代がかかる場合もある。この点を出発前によく調べておかないと、結局、高い出費になる可能性もある。費用はかからないもののバンコク(タイ)の事前TDAC登録など、いろいろ余分な手続きが必要になることにも注意。
私の上記フライトの場合、高額料金でないにしても、クウェートがビザ代で余分な出費が必要になる例だった。日本を含め多くの国の旅行者がeビザやアライバル・ビザを取れるが、その料金が3ディナール(約1500円)かかる。(ただし、米英パスポートなどの場合はこれが無料だった。1990年にイラクに侵攻された際助けてもらったこと(湾岸戦争)の「恩義」という意味なのかも知れない。)
また今回意外だったのは、クウェートの宿泊料金が高かったことだ。普通に調べると最低でも1万円くらいからの宿しかない。これでは、やはり中継すると高くつくことになる(同じ中東産油国でもドバイには1000円台のドーミトリー宿があった)。私の場合、奇跡的に6500円の宿が見つかったが、クウェート基準では「そんな安い宿があるのか」とびっくりされるくらいのものだったと思う。
そうした各種条件を事前に調べて、そこに中継して予想外の出費が必要にならないか十分注意する。なお、別切り発券チケットでも、中のすべての中継が乗り継ぎ保証なしになるわけではなく、保証付きトランスファー扱いになる部分もあったりするので、そこもよく調べる必要がある。
トランスファーになるかどうかの見分け方
トランスファーになってスムーズに乗り継ぎできるか、それともいちいち入国して出国する手続きになるかは、チケットの中の「PNRコ―ド」を見ればわかる。これは「PNRナンバー」「航空会社予約コード」「キャリアの予約番号」「航空チェックイン参照」などいろんな名称で表記されるが、要するに6桁の英数字なのでわかる。予約サイトの予約番号とも、フライト便名とも異なる記号だ。上記例でいえば、VC7UHNなどがこれに相当する。これが同じであれば連続する2うの便がトランスファー扱いになる。
同一航空会社でもトランスファーにならないことも
私は当初、同じ航空会社の便であれば自動的にトランスファー扱いになると思っていた。実際そうである場合が多いが、同一航空会社便に乗り換えるのでも、このPNRコ―ドが異なるとまったく関係ない別便、入国・出国手続きが必要な便になってしまう。例えば上記例では、トビリシからクウェートまでとクウェートからドバイまでの便は共にJazeera Airwaysだが、PNRコ―ドが異なるのでトランスファー扱いにならない。おそらく中継時間が21時間と長すぎるので別切り発券扱いになったと思われる。こうなると、同一航空会社便でも、クウェートですんなりとトランスファー・エリアに移行できず、入出国審査を通らねばならなくなる。(それに対して、ドバイからバンコクまではAir Indiaで、バンコクから名古屋まではVietJet Airで同一航空会社。それが中継するニューデリーとホーチミンシティはトランスファー扱いだった。)
トランスファーになれば、乗り継ぎは航空会社の責任なので、すぐ乗り継ぎ便のゲートエリアに入れるか、特設トランスファーエリアに入れるか、あるいは宿泊が必要になる場合はそこに簡易ベッドが用意されていたり、本格的なホテルに無料で泊まれたりする。クウェート空港の場合も、そうした豪華なホテルが用意されているという情報があったので、楽しみにしていた。エアサイド内の豪華ホテルに泊まり、翌朝起きてから空港外にも一時的に出してくれるのではないか、と想像していた。が、着くなりとっとと入国審査に回され、次の便などお前が勝手にチェックインしろ、となったわけだ。クウェートの場合、アライバルビザの取得も必要で、米国籍の場合幸い無料だったが、結構1時間程度足止めをくらった。さらにクウェート空港は外国人は3時間以上空港内に滞在できないという決まりがあるらしく、空港内に「野宿」することもできない。夕暮れが近づいてから外に追い出され自分で宿を探さねばならなくなった。
前回一度失敗している。今回は以上のことを事前に入念に調べ、対応することができた。日本まで観光含め5都市経由90時間、7万8000円で行くことができた。
