旅とは

旅、それは厳しい生活に耐えながら、その土地の風土・文化を学ぶこと。実際に足を踏み入れて学ぶこと。

旅、それは外に出て歩くこと、前に進むこと。外で犬も歩けば棒に当たる。それが旅、かつ人生。人生は、とにかく外に出て歩くことからはじまった。考えて人生を理解してはじまったのではない。

旅、それは電車に乗ること、バスに乗ること。乗れば一人でに前に進む。進んでいると錯覚できる。

旅、それは認知症予防策。忘れ物なく宿を引き上げ、遅れないでバス・ターミナルに着く。それだけでも多くの神経を使い、認知機能が活性化される。

旅、それは社会貢献。老人が元気よく活動し、さらに元気になり、医者の世話にならず社会負担を減らす。年金の有効活用。年金負担を上回る社会的効用。

旅は散歩。毎日、近所の公園や土手を歩きかすかな季節の変化を味わうのもいいが、どうせならと世界遺産の街を散歩するのもいい。

旅はスポーツ。朝が明けてから日が沈むまで歩き、はがねのような足腰をつくる。

旅とは宿に籠ること。各種サイトで学び思索する。暗闇の中でも脳はGPSのように自分の場所を知り、そこでだけ可能な思考を生む。思索は旅の不可分な一部。

旅とは、旅が終わっても続く知の探訪。未知の文献と異なる思考を求めて放浪する。出会いを求める旅が観念の中で継続される。

旅は仕事。仕事はさぼってはならない。毎朝、自分に鞭打ち「観光」に出ねばならない。旅は人々の日常に触れることだが、基本たる「観光」をおろそかにしてはいけない。毎日、必死に観光し、その途上で人と出会い日常に触れる。

旅は生活。食べて出して寝て起きて掃除洗濯し風呂に入り健康に生きる。日常の生活を、移動しながら行う。若者よ、世界冒険旅行をするため、まず衣食住掃除洗濯を自分でやれ。女性にやってもらう「日本の男」を止める。

旅は日常からの脱出。日常に疲れ行き詰った者が、新しい環境で新しい生命を得る。逃避だと言うなかれ。逃避で新しい生命を得て日常に帰る。

若いうちはそうだった。しかし、老いると旅は日常になり、普通の生活に帰れななくなる。友人が、それを美しい言葉で表現してくれた。「永遠の旅に近づいているのだな」。