紙の地図は絶滅危惧種か。昔は、どの国に入っても空港の案内所にかならず市街地図がおいてあり、それを手に市内観光に向かえたものだ。ところがタシケント空港に着いても、地図がどこにもない。なるほどお店も少なく、案内所も見当たらないが。
空港のWifiでだいたいの街の地図を確認して市内に出た。突然タシケントに来たので、グーグル・オフラインマップもこの街についてはダウンロードしてくるのを忘れていた。そもそも私の中古スマホはバッテリーがすぐ切れるので、ずっとこれを見ながら市内をさまよい歩くのはまずい。
そもそも書店が絶滅危惧種か
まず市内の書店で地図を、と思ったのだが、書店自体がどこにもない。大型ショッピングモールに行けば、その中の一つくらい定番として書店がありそうだが、なかった。後日、態勢を整えてから、検索で探した書店にいくつか行ったのだが、そこにも市街地図はなかった。そもそも「タシケント最大の書店」といのが、日本でいう街の本屋さん程度のものだった。テーマパークのようなところにあった子ども用本屋さんの中に壁に貼る大型厚紙の市街地図はあったが、ちょっとこれでは。ロシア語の書籍店に、子ども用の小型地図帳があって、その1ページに中央アジアの地図もあったので買った。中央アジアに来れば(特にその最大都市に来れば)中央アジアの詳細地図も入手できるだろう、と思ったのだが、見当外れだった。
先進諸国でも本屋さんは苦戦しているが、しかしそれなりにはあるのはある。しかし、途上国では、グーグルマップやYandex(この地ではこれが主流)が普及してしまったので、今更、時代遅れの紙の地図を充実させるインセンティブがなくなったのだろう。確かにネット地図は便利だ。現在位置もわかるし、バスがあと何分で来るかも表示される(Yandex)。なのに、だれが紙の地図など買うか…。
私もネット地図を大いに使っている。放浪の旅をする上で、便利というより必須だ。じゃあ、なぜ紙の地図を求めているのか。……バッテリーが切れる心配をしなくてよい……ネットにつなげないときがある……。そして、大きな紙の地図を広げて見ていると街や地方の外観がストンと来るし、「ああ、あそこに行きたい」「この界隈の向こうはこんなところがあるのか」「まだ行っていないここは、どんな所なのだろう」などと旅心が湧いてくるのがいい。ネット地図は、あくまで効率的に目的地を探せるために使う。技術的な手段として便利なだけだ。逆に言うと、旅心が起こらないような地図(例えば地形など自然地理がない地図)はあまり欲しくない。

