東京安宿の決定版

東京(23区)はホテル代が高く上京の際困るが、安宿の決定版はラブホテルだ。

例えば一つだけ例を出して申し訳ないが、先日夫婦で泊まった鶯谷(うぐいすだに、山手線・上野の次の駅)の下記ラブホテルは予約で入れて2人で6000円だった。5000円の部屋もあったがあいにく埋まっていた。普通のホテルだと23区内だと最低1泊1万円ぐらいする。

HOTEL RUNA&C-Heaven鶯谷

(ここは、予約でなく現地で直接入るならば、クーポンで5000円がさらに4000円になるが、当日行くとだいたい埋まってしまうようだ。)

ラブホテルは昼間も「休憩」などでビジネスを回しているから結構儲かっているらしい。その分「宿泊」を安くできる。ただ、宿泊する場合は夜10時からとか0時からなどというところもある。しかし、中には午後8時くらいから入れるホテルもあるので、そういうところを選んだ方がいい。上記はそういうホテルだった。逆にラブホテルのチェックアウト時間は昼12時くらいの場合が多く、ゆっくりできる。朝からラブホテルに「休憩」に来る人はあまり居ないかららしい。また、ラブホテルは予約ができない場合も多いが、上記は予約もできた。予約できるラブホテル専用の予約サイトなどもある。

鶯谷という穴場

新宿など主要な繁華街だとラブホも高いようだ。穴場の一つは鶯谷。あまり降りる機会のなかった駅だが、駅東にものすごい数のラブホが密集している。競争が激しく安くなるのだろう。特に北口周辺がお薦め。上記ホテルはラブホ街のほぼはずれにあるが、面白いことに、そのほとんど隣に書道博物館や、正岡子規が住んでいた子規庵など史跡的名所がある。この落差がすごく、感動的ですらある。さらに線路を越えて西側に行くと上野公園で、国立博物館や寛永寺など名所がたくさんあり、観光にもうってつけだ。

JR鶯谷ホームから東側。ロマンチックなホテル街のながめ。
典型的ラブホ街の風景。
その北隣に子規庵がある。日本の代表的近代文学者、松岡子規(1867年~1902年)が最晩年の約8年間ここに住んだ。母、妹を呼び寄せ、弟子とともに句会歌会などを催しながら作品をつくった。この辺は近くを音無川が流れ(今は暗渠化して消滅)、風流好みの文士が集まったとされる。
同じく北隣、子規庵の向かいにある台東区立書道博物館。洋画家で書家の中村不折(子規の友人)が1936年に設立した。彼が収集した中国・日本の書道に関する古美術品、考古出土品を展示。
山手線を越えた西側には上野公園、寛永寺、東京芸大キャンパスなどが広がる。写真は寛永寺。寛永2(1625)年に建てられた天台宗の寺。後に徳川家の菩提寺に。広大な敷地があったが、幕末の上野戦争後、その大部分が上野公園になった。
上野公園内にある東京国立博物館。1872年(明治5年)設立の日本最古・最大の博物館。写真の本館は1881年、上記寛永寺の本坊(本寺)跡に建てられた。

ラブホの良い点

ラブホテルというのは雰囲気で勝負する宿泊施設だから、部屋は大きくデラックスで高級感がある。清潔でもある。設備もなかなか整っている。ベッドはゴージャス、ライトも細やか。シャワーだけでなく浴槽も必ずある。石鹸、シャンプー、歯ブラシその他小物も至れり尽くせり。テレビは大画面でビデオ映画の種類も多い。カラオケができるところもある。受付などであまり対面がおおくならないようにとの配慮からか、チェックイン、清算、施錠など様々な面で合理化が徹底している。こうなっているのか、と感心する点もあるだろう。

そして1部屋いくらの料金体系だから、2人で入れば絶対割安だ。逆にけちってカプセルホテルなどに入ると、2人の場合4000円 X 2=8000円などとかえって高くつく。

ラブホの欠点

ラブホテルに入るのが恥ずかしい、ラブホに泊まると口外しにくい、などを気にする御仁は本ブログ読者にはおられまい。ラブホテルの大きな欠点は、連泊ができないことだ。昼~晩の「休憩」で稼いでおられるので、1日中滞在するわけにはいかない。連泊したい場合は、昼に一旦出て、また夜チェックインすることになる。1、2泊など短期宿泊にはいいが、長期滞在には不向きだ。

一人旅の場合は

一人で泊まる場合は、むろん、もっと安い選択肢がある。前述の通り普通のホテルだと1万円ぐらいだが、トイレシャワー共用の宿にすれば5000円くらいのがある。昔は南千住近辺に多かったが、今は、探せばいろんなところで見つかる。後述のアパート型ホテルもこの料金帯で見つかるが、最初に同料金程度の「清掃料」を追加チャージされるので短期滞在には向かない。

その他ドーミトリーで3000円。カプセルホテルで4000円。ネットカフェや漫画喫茶の「フラット」(マットスペース)夜10時間で3000円程度。カラオケ店夜フリータイム2000~3000円。カラオケ店は本来寝るところではないが、トラブルを起こす酔っ払いが多い中、静かに寝てる客はむしろ歓迎されると聞く。

昔はネットカフェ宿泊をしたものだが、最近はこれが少なくなったと感じる。以前よく泊まっていた新宿、新大久保、上野のネットカフェで廃業したのを今回確認した。鶯谷の近くでは、上野駅の南(中央口先)にこうした宿がある程度見つかるだろう。

なお、これらと比べても、ラブホに5000~6000円で泊まれるなら、ある程度の競争力がある。ラブホでも一人で泊まってまったく問題ないことをお忘れなく。

長期滞在の場合はアパート型ホテル

東京に長期滞在する状況というのは私の場合あまりないが、その際はアパート型ホテルがいいだろう。これは一般のホテル予約サイトに出てくる。一般予約サイトの「個室」で安いのはだいたいこのタイプだ。1泊4500円くらいからのがある。バストイレ、キッチン、電子レンジ、時には洗濯機などが付き恵まれている。ただし、前述の通り、こういうところは「清掃料」として入るとき1泊料金程度の付加料金がかかるので、あくまで長期の宿泊向きだ。