H3ロケットの打ち上げは「中断」でしょう

H3ロケットの打ち上げが「失敗」なのか「中止」なのか、かまびすしい議論が日本で起こっているようだ。カイロの喧騒の中で、そんな議論を聞いていると、なんかどうでもよいように感じてしまうが、正しくは「中断」でしょう。

確かに無傷のまま地上に留まって、再打ち上げ可能なのに「失敗」というのは強すぎる。かと言って、第1段エンジンに点火して爆音とともに煙を吐き次の段階に行こうとした時に止まってしまったのを「中止」というのも違和感がある。途中で停まったのだから「中断」でしょう。「中止」は確かに漢字では「中」で止めると書くが、実際は「やることになっていた中でやらない」こと、全然やらなかったことだ。途中で止めるのは日本語で「中断」という。JAXAのだれかが言ったのかどうかはわからないが、実際に初期の段階でいくつかのメディアが「中断」と言っていた。後で修正して言い換えてしまのかも知れないが、今の段階でも例えば日経クロステック東海テレビ山陽新聞soraeのサイトで「中断」を使っている。

英語圏のサイトを見ると「abort」を使っているところが多かった。例えばspace.comの見出しは「Japan’s new H3 rocket aborts 1st-ever launch attempt」となっている。非常に正確な物言いと感じる。アボートとは途中で止めてしまうことだ。まさに「中断」だ。「中止」というと日本語では最初からやらないこと、キャンセルのように聞こえる。天候や資金難でやめたかのような。悪天候でその日の打ち上げを中止したならむしろ「延期」か。いずれにせよ、中止というのは、何も始めてない段階で止めること、やらないことだろう。