ディアブロ山麓一周 サイクリング

普段から見慣れている名峰ディアブロ山(1,173m)。この山麓一周自転車乗りに出たのが午後4時とはいい度胸している。計画性は必要だが、「思った時が旬」も事実。その時に実行しないと機会を失うことがある。

山頂には2年前に登った。家からずっと歩き往復10時間かかった。このときも家を出たのは午後2時で、帰ったのは夜中の12時。下山時は夜で、星の明かりが頼りだった。コヨーテも出るというのに。(だから普通、私は登山はしないことにしている。身を守る知恵?)

今回は山麓の一周だし、今は夏時間で、かつ5月で日が長い。無謀という訳でもないだろう。近道をすれば距離60キロ程度。標高は最高500mくらい。

(自宅はごまかしてあります。青線は自転車道。)
家の近くのクレイトン通りを南東方向に。交通の多い幹線道路なので歩道を走る。
クレイトン通りの先にクレイトン市がある。山地帯に隠れる裕福な郊外街。ディアブロ登山の起点となる町だ。遠方の山がディアブロ山。
自転車レーンもはじまった。クレイトンを過ぎると車も減ったように感じる。あとは大きな町はない。道路名がクレイトン通りからマーシュ・クリーク通りに変わった。
やがて2車線・中央分離帯なしの地方道になる。路肩も狭い。写真は、車の追い越し待機ゾーンで、来た道を振り返って撮影。周囲は山ばかり。冬の雨季は終わったので草は枯れている。それでも、標高が上がったからだろうか、コンコード付近と比べると樹木が多い。
やがて右折してモーガン・テリトリー道路に入る。1車線のみのさらに田舎道。車がほとんど通らないので、サイクリングは快適。
ここで「古フィンリー・ロード」に入る。何のことはない登山道じゃないか。グーグルマップでは自転車ルートの近道としてこれを表示しているのだが。午後6時頃。
細い山道だった。特に野原では草が繁茂し、自転車を押すと、人は草むらを歩かねばならない。アザミのようなとげのある草が多い。パンクなどされたら大変なので自転車優先、人は二の次だ。写真は平地で、まだ草の茂りが薄い方。急坂の草むらでは、おいおい、グーグルさんよ、これが自転車の道か!とうめきながら自転車を押す。
時たまシカを見た。シカが居るということはその捕食者コヨーテも居るということだろう。座ったり寝そべったりしないようにしなければならない。
標識柱の横あたりから尾根の上に出てきた。比較的広い道があった。カリフォルニアでは山火事などに対処するため、車が通れる道が結構山の中にまで入っている。だからマウンテンバイキングもやりやすいし、はやる訳だ。ただ、この日の自転車行では、マウンテンバイキングをやっている人は一人しか会わなかった。歩いている人(登山者)には一人も会わなかった。
あとはずっと下りのようだ。なんだ、さっきの草むら登りが最難関だった。とすると、この辺が標高500mということか。
確かに標高500mくらいありそうだ。あとはこの古フィンリー・ロードをひたすら下りればいい。
山でも自転車の下りは楽だ。ガソリンの代わりに重力を燃料にして走るオートバイのようなものだ。こがなくてもグングン前に進んでくれる。歩きは下山でも足に負荷がかかるものだが、自転車はそれもない。さっきまでの汗だくはどこへやら、快適な風を全身に受ける。そのうち寒くなって、長ズボンとセーターを着こんだ。我ながら用意周到だった。
「古フィンリー・ロード」の入口ゲート。外側から撮影。ここから今度は通常の道路「フィンリー・ロード」になる。明るいうちに山地帯を抜けることができたのでほっとした。
平野部に降りた。夏時間の午後8時ぐらい。モーガンテリトリーの山々が夕日に映えて美しい。この地域はディアブロ山の裏側(南東側)にあたる。
幹線道路のタサハラ通り(右)に出た。フィンリー・ロードに入るにはここを左折すればよい。最初舗装道で、徐々に山道、最後には登山道になって、尾根向こうのモーガン・テリトリー道路に出られる。
牧場と夕日に染まる山並み。
タサハラ通りは路面も滑らかで広い自転車レーンがあり、走りやすい。あとは最後まで快適な走行条件だった。
だんだん道路が広くなってきた。ブラックホーク・ショッピングセンター付近。地形も平ら(若干下り)。この辺のみ自転車レーンがなかったが、他は完璧な走行環境。びゅんびゅん飛ばした。サンラモン、ブラックホーク、ダンビル、アラモと続くサンラモン平野(バレー)は裕福な地域で、ダンビル市の平均所得は人口4万人以上の都市で全米第2位。ブラックホークにも裕福なゲーテッド・コミュニティー(周りを塀で囲んだ住宅地)が多い。

帰宅は午後10時半

平地に出て、もう行程は終わったも同然、と油断していたが、それから帰宅まで2時間半かかった。それもそうだ。フィンリー・ロードの出口あたりが、ちょうど山一周の中間地点だった。とばしてもそれなりの時間はかかる。完全に暗くなり、三日月も沈んで方向がわからなくなった頃、幸いウォルナットクリークに着いた。ここからはいつも通る勝手知ったるルート。自転車道は暗かったが(自転車ライトが電池切れ寸前)、何とか走行し午後10時半に帰宅した。やはり出発は早くすべきですね。


【おまけ】 近場でのマウンテン・バイキング

今回のマウンテン・バイキングはやや難度が高かったかも知れない。簡単なところからはじめることをお薦めする。カリフォルニアにお住まいなら、だいたい近くに簡単に自転車山登りの雰囲気が体験できるところがあると思う(大平原や広大な都市地帯に住んでいるのでない限り)。例えば私の近くにも徒歩10分でちょっとした丘はあるし、自転車で10分も行けば、本格的なマウンテンバイキングの少なくとも雰囲気は味わえるところがある(Lime Ridge Open Space)。

Lime Ridge Open Spaceの入り口の一つ。こんな「牧場の入口」的なゲートがあればしめたもの。何らかの公共的な公園地域だ。遠慮なく中に入って、ハイキング、マウンテンバイキングが楽しめる。私有地の牧場だと入れない(入って歩いている猛者もいるが)。
山道を自転車で走り、周囲の都市景観を眺める。
アメリカの山には、何とか車も入って行ける山道もある。Fire Roadと表示が出ている。山火事の時に緊急車両が入るための道。
狭い道もある。
急な道もある。