暑さとのたたかい


 ハノイは5月からずっと真夏だ。このところはずっと39度の日が続いた。社会主義政権が人心の錯乱を恐れて40度という発表を抑えているのか、などと思った。ありうる、この国では。しかし、昨日は40度になったのでそうではなかったらしい。きょうは夕立が来るという予報があるが、どうか。来れば涼しくなるはず。

 平日は冷房の効いた職場に居るのでさほど感じないが、土日は家または外に居るので暑さをもろに感じる。それにきょうは午前中停電だった。朝どうも暑いので目が覚めたら電気が来ておらず冷房も止まっていた。暑さに耐えられず、外に出る。映画館にでも入っていようかと思ったが、いいのをやってない。パソコンショップで涼んで、若干の買い物をして昼ごろ家に帰るとようやく復旧していた。近場の電気工事だったという。2時間外に出ていただけで、ジュースを1リットルも飲んだ。

 エルニーニョの暑さらしい。こんなのが半年も続くわけだ。土日の生活のすべてが暑さとの闘いにくれている感じ。エアコンというのは「快適さ」をつくりだすもの、と思っていたが、とんでもない。サバイバル機器だ。あれがなかったら死ぬ。広い部屋で小部屋に区切れないし、昔の効率の悪いクーラーだ。温度調節もできず、昼暑すぎたり、夜は寒すぎたり。しかしつけていないと死ぬのでつけている。電気料金はどんどん上がるが(といっても月5000円程度)、生存のためには仕方ない、がんがんつけっぱなしだ。

 ベトナムに適応すること、アジアに適応すること、それは体がこの暑さに適応することだ。毎晩、熱暑の中で10キロ走る。トンニャット公園3周と坂ダッシュ20回。以前は夜10時頃からやっていたが、最近は仕事が終わってすぐ、7時ころからやっている。人が多く、走っている人もいて励みになる。よーし、あいつを追い越してやるぞ。若いのしっかりせい!

 短パン1ちょうで上半身裸。こっちでは男はそういうのが多いので助かる。助かると言えば、池のそばに風が吹くのも助かる。池の広い空間があるからか、水面と陸の温度差の関係か、岸辺は比較的風が強い。そこでじっくりと柔軟体操、腕立て伏せ。夜でも30度だが、風が強いと涼しい。

 しかし、公園を3周するとさすがにくたばる。熱中症一歩手前だ。早い時間に切り替えたので公園内の屋台が開いている。ドリンクを買って飲む。

 きょうは速いのが一人いた。すらっとした体形の黒人青年だった。フォームもしっかりしている。抜かして行きおったので追いかけたが、追いつかなかった。たいしたやつだ。おぬし、できるな。

 でかける時はTシャツを着てるが、帰ってくるときは上半身裸だ。街中もそれで走ってくる。早い時間だから人がいっぱい出てる。路上のカフェで涼んでいる。そこを上半身裸で汗だくの少ない髪を振り乱した苦しい顔のおじいちゃんが走っていく。さすがにベトナムでも目立つようだ。どうだ、まいったか。

 食うものも食ってる。肉と野菜がたっぷり入った焼きうどんを毎日食べる。ヨーグルトとパイナップルとスイカをたくさん食べる。水分はスポーツドリンクでなくて、牛乳とスイカ。ヨーグルトをたくさん食べてると牛乳も飲めるようになるから不思議だ(下痢しない)。液体ばかり飲んでいると腹ががぼがぼになるので、スイカも。スイカは別腹。ドリンクとは別にどんどん食べられて水分補給できる。

 6、7月だけ、近くのトンニャット公園に子供用のバスケ・リングが設置される。乳業ブランドのミロ(ネスレ社)がスポンサーをしている。バスケは先進国を象徴するスポーツなのだろう。最近はそこでバスケの練習をしている。うまいやつらは居ないか探しているのだが、あまり居ない。近くからでもシュートがまるで入らない。フォームもでたらめ、ダブルドリブルばかり。でも、いっしょにあばれられるだけでもいい。
   (ハノイ、2015年6月19日)


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