ポートランド州立大学NPOマネジメント研究所(INPM)http://www.inpm.pdx.edu/

 ポートランド州立大学はオレゴン州にある8つの州立大学のひとつ。学生数約2万人、5学部をもつ総合大学で、ポートランド市(人口53万、都市圏全体で150万)の中心に立地する都市型大学である。都市公共学部(College of Urban & Public Affairs)行政準学部(Mark O. Hartfield School of Government)公共行政学科(Division of Public Administration)の中に、ジョンソン氏の所属するNPOマネジメント研究所(INPM、Institute for Nonprofit Management)がある。公共行政学科の教育・研究をこの研究所が行うという位置付け。1988年年設立。11人の研究スタッフが中心となり、地域連携型のカリキュラムを組み、授業を行う。中心は修士、博士課程の教育で、それぞれ公共行政修士(MPA)、行政政策博士(Ph.D. in Public Administration and Policy)の学位がとれる。特にMPAの場合は、地域で実際にNPO活動をする人が本格的なマネジメント教育を受けるという性格が強い。地域や大学内他部門の教員もリクルートして教育、研究活動を行う。地域NPOとの関係が強まる中で、地域NPOセンター的存在になった。日本では経営修士(MBA)ばかりが有名だが、アメリカではNPOや行政のマネジメント・プロを養成するMPAコースもあることが特筆される。
 
地域を基礎にした学習
 学生が地域活動により、実際的なアプローチで学習を行なう教育手法。アメリカにおける大学改革の主要な柱とされ、「貢献学習」(Service Learning)、「地域に基礎をおく学習」(Community-Based Learning)などと呼ばれる。全米3700の大学など高等教育機関のうち、こうした地域密着型教育に力を入れる639大学が「キャンパス・コンパクト」という連合を形成している。同連合に加盟する大学についての調査(1999年)では、全体で計11,876の地域研修型科目が設置されていた(各大学平均19科目)。76%が地域連携のセクションをもち、64%が「地域サービス・ディレクター」を有していた。連邦政府も、1990年全米地域サービス法、93年全米地域サービス法信託法などにより同制度の整備を図る。特に全米地域サービス公社(Corporation for National and Community Service, CNS)の中の「アメリカに学び貢献」(Learn and Serve America)プログラムが中心となり、幼稚園から大学まで毎年約100万人へのボランティア活動支援助成が行われている。CNS助成は96年度に6億ドルだったものが、2002年度予算には7億3300万ドル(「アメリカに学び貢献」プログラム4300万ドル)にまで増加した。

 「今日の教育、産業、地域のリーダーの多くは、学校だけでは若者を生産的な社会人には育てられなくなっているといことに気づいてきた。教室での学習と地域での広範な体験学習と結びつける新しいアプローチを試みはじめている。そして大人たちの思惑よりさらに重要なのは、若者たちの自分自身や大学に対する見方である。学生たちはしばしば、授業が教室外で起こっていることと関係がなく無意味になっているとの訴えるようになった。・・・・端的に言って、教育に変革が必要だとの懸念が強まっている。何が教えられるべきかだけでなく、どこでどのように教えられるべきかについても変革が求められている。」(Thomas R. Owens & Chanughua Wang, "Community-based Learning: A Foundation for Meaningful Educational Reform" School Improvement Research Series, Topical Synthesis #8)

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