マニラに着いたら空港バスで最寄り鉄道駅へ、ついでにそこの安宿に

       (岡部一明)

 マニラ空港
(ニノイ・アキノ国際空港)は評判が悪い。空港職員にわいろを要求された、空港からのタクシーにぼられた、などを始め悲惨な体験談がウェブ上に多数載っている。過去には、旅行ウェブサイトの調査で3年連続「世界最悪の空港」の栄誉に服したこともある(2011-13, sleepinginairports.net)。それでなくても不安な空港到着直後の動きについてますます不安になる人が多いだろう。
manila airportマニラ空港(第1ターミナル)
 が、私の独断と偏見で言えば、取るべき手立てはひとつ。タクシーを拒否し、空港バスで一番近い都市鉄道駅まで来ればよい。ついでに、その駅(互いに隣接するLRTエドサ駅・MRTタフト駅)近くで安ホテルに入ってしまえば、こんな楽なことはない。空港バスは20ペソ(約50円)。駅近くで最安のロトンダ・ホテルは昼にチェックインすれば1泊305ペソ(約700円)だった(2016年1月現在。トイレ・水場付き、窓あり、冷房なしで扇風機のみ、WiFiなし)。
 さらに細かいノウハウはいろいろあるが、まず、この基本を押さえれば何も難しいことはない。


airport bus第3ターミナルで空港バスに

 
私は最初、空港バスはないものと思って、第3ターミナルから最寄り駅まで歩き出してしまった。「Airport Loop」と書いてある空港バスを、ターミナル間循環のバスだと思ってしまっていた。第3ターミナルからエドサ、タフト駅まで3キロくらいだが、道路の交通が激しく、工事中のところもあり、途中で前進不能になってしまった。
混雑する道路最寄り鉄道駅まではこの混雑。歩くのは無理。

 正解は、第3ターミナルからAirport Loopと書いてある空港バスに乗る。書いてないバスもあるが、ターミナルの右手に乗り場があるので待っていればわかる。私はインドネシアからセブ航空機で着いたので第3ターミナル着だったが、航空会社によっては第1ターミナルなど別のターミナル発着になる。そしてマニラ空港のターミナルときたら、滑走路の外側に4つのターミナルが大きく分離して配置されている構造。そのためターミナル間が非常に遠く、バスは一般市道を通って隣のターミナルに行く。

 第3ターミナルでは、空港バス乗り場のところからターミナル間移動バスも出ているが、同料金の20ペソをとられて、そりゃないよと思った。しかし、 乗ると、なるほど、ターミナル間バスが、外に行く空港バスと同じくらいの距離を走り続ける。別の空港に行くくらいに思うべきか。


 第3ターミナルからの空港バスはLRTエドサ駅・MRTタフト駅近くのパサイ・バスターミナルに着く。バギオなどにも1時間1本の割でバスが出ている長距離バス停車場だ。LRTとMRTの違いは来たばかりの旅行者にはどうでもいいことだろう。どちらも都市鉄道で、線路は接続していないが、2つの駅が近接している。これに乗れば、安宿街エルミタ地区その他どこにでも行ける。
マニラのLRTLRTは高架のライトレール


ロトンダ・ホテルは1泊700円
 しかし、空港バスの着くこの地域が安宿街であることもお忘れなく。エルミタ地区などは結構値段が上がっており、このエドサ−タフト地区の方が安いのではないかとも思われる。その中でも一番安いのは十字路に面したロトンダ・ホテル(Rotonda Hotel)だ。週日午前8時から午後6時の間にチェックインすれば305ペソ(700円)のプロモ料金(あくまで2016年1月現在のレート)。フィリピンのホテル代は東南アジアでも高めになっており、普通は最低でも600ペソ程度はしていた。305ペソはバカ安。このホテルの夜間・週末チェックイン料金でさえ800ペソだ。

 住所表記がわからなかったが、不要だろう。かえってわかりにくい。下記の写真を見れば一目瞭然。
 これはLRTエドサ駅の方から十字路の南側を見た景色だ。右がLRTの高架線。真ん中の横断歩道陸橋の先、四角いビルの手前に立つやや疲れた4階建てビルがロトンダ・ホテルだ。バスターミナルは左のほうで、ターミナルから来ると、左の赤い派手な「ホテル・ソウゴ」の後ろ側になる。
ロトンダ・ホテル

 このホテル・ソウゴ(Hotel Sogo)もなかなかおしろいホテル。看板にカタカナでも「
ホテル・ソウゴ」とあり、日系と間違えるが、現地のホテルらしい。大きなチェーンで、この赤い建物をあちこちで見る。エドサ−タフト地区にはこれら安めの宿がたくさんあるので、いくつかあたり、入ることを勧める。しかし、ロトンダ・ホテルがダントツの安さ。地方に行ってもこれより安いホテルは見つからなかった。

 また、この地域は全体が市場といった感じで、あらゆるお店があり、何でも手に入る。食事にも困らない。十字路に面した比較的大きなショッピングセンター「メトロポイント」の4階には小規模ながら秋葉原的な電子機器店舗群まであった。市場の喧騒を掻き分けて南西の方角に行くと、ロクサス通り沿いにバクラーレン教会がある。民衆に慕われている教会のようで、毎週水曜日の礼拝には多数の人出でごった返する。浅草のようなところなのかも知れない。

付近には市場的な商店街付近には市場的な商店街
バクラーレン教会バクラーレン教会

 ただし、ご注意。ロトンダ・ホテルの部屋は、水道がこわれ流し台が取り外してある。トイレも水洗装置が機能しない。というか、ない(手桶水で流す方式)。丸い「敷き輪」(というのかな)もないので座れない。シャワーはなく、水桶で行水する(これが東南アジアの安宿では一般的)。その水桶用の水道は出る。「おお、ちゃんと水出るじゃん」とそれで感動するような人でないと、宿泊は難しいかも知れない。私はインドネシアのペルニ船3等(エコノミー)で鍛えられてきたので、これで上等に思えた。逆に言うと、このホテルで鍛えられれば、以後の東南アジア旅行はスムーズになるだろう。

 また、道路側の部屋は、夜通しスピーカーから音楽が流れるなど騒音がひどく、窓も完全には閉まらないので、反対側の部屋を要求した方がよい。ベッドの汚れは・・・着の身着のまま野宿すると思えば、十分に快適と思えるだろう。鍵は常にフロントが保管し、客が部屋に入るたびボーイさんに開けてもらう方式なので比較的安全だ。
 

 
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詳しくは:

書籍「アジア奥の細道」

岡部一明『アジア奥の細道』(Amazon KDP、2017年、2060ページ、写真1380枚、398円



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