シンガポール国立図書館
2010年12月31日、都市問題視察に行ったシンガポールで、その国立図書館に非常に感動した。まずその建築。16階建ての明るくモダンな建物。リゾート施設としか思えず、図書館だとは気づかなかった。だれでも自由に入れる。身分証明書の掲示や入館証への書き込みは必要ない。内部も明るく広々として自由に動き回れる。
本がぎっしり詰まるイメージはない。「まったく新しい図書館のイメージをつくる」という強い意志を随所に感じる。中央に10階以上続く吹流し。上階にテラスのように緑の公園が作ってあり、勉強する人が息抜きをできる環境。イベント会場などもあり、スタッフ用のスポーツジムまであったのには驚いた。
特に11階以上の東南アジア文献収集は徹底しており、3階分くらいのその天井の高さとも合間って「ここを東南アジアの知の集積場に」という意気込みを感じた。これら自由で明るい図書館づくりの動きは90年代にアメリカで始まったのだが、香港でも確認できた。シンガポール国立図書館はその流れの中で2005年にオープンした。日本にこれほど開放的な新しい図書館はあるだろうか。
香港中央図書館
2006年1月、香港のNPO事情を視察に行った際、香港中央図書館の館長・陳悍華氏にインタビューした。2002年に開館したばかりの同図書館は11階建てで、ゆったりとした読書空間をもつ斬新な設計。若い人がデートで訪れそうな施設だった。インターネット端末600台を配置し、デジタル技術の導入に力を入れていた。アメリカの最新型公共図書館に負けない立派な施設がアジアにあることに感動した。
サンフランシスコ中央図書館
アジアに広がる新しい形の図書館の元祖となったのは、おそらく米カリフォルニア州のサンフランシスコ中央図書館だろう。1996年にオープンし、当時、全米最大の電子図書館と言われた。この図書館がきっかけとなって、全米に新しい形の図書館が増えていった。
周囲の景観と合わせるため外観は古めかしいが、中はモダンで広々としており、図書館という感じがしない。オープニングの時点で、館内にインターネット公共端末が300台あった。市内26分館にも計300台の端末があり、市民は自宅でパソコンやインターネット接続がなくとも、図書館に行けばインターネットが無料で使えた。1996年のことだ。
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