モスクワで乗り換え12時間

モスクワでの飛行機乗り換え待ちが2時間伸びて計14時間になった。いくら遅れてもいい、できれば2日くらい遅れれば、ビザなしでもどこかに滞在させてくれるのではないか。退職老人は気楽で困る。

アエロフロートでモスクワ乗り換え12時間というのを楽しみにしていた。空港内とは言えロシアはロシアだ。何かロシア的な体験ができるかも知れない。

巨大空港

シェレメーチエヴォ空港は巨大で、時間があっても全部見物してみようという気にはならない。AからFまで6つのターミナルがあるという。モスクワにはこの他、同規模のドモジェドヴォ空港やヴヌーコヴォ空港というのがあるというから驚く。いまどき、空港用の土地がいくらでもあるというのはロシアぐらいだろう。

子どもを抱えた若い母親が右往左往して、声を出して泣き始めた。時間が押し迫った上、ゲートがどこだかわからなくて混乱したらしい。空港のスタッフに、あっちだと指示されてそちらに走って行った。まあ、泣きたくなるような時間・場所不明とのたたかいはわからないではないが、実際に泣くまでになってはいけないわな。

空港はグローバルスタンダード空間

空港ほどグローバルスタンダードの場所はないだろう。どこに行っても同じだ。ロシアの空港もその例外ではない。しかし、例えばトイレのわずかな汚さでその国の事情がある程度わかるといったようなことはある。

トイレ入口にかなり目立つように禁煙と書いてある。しかし、それでも中で吸う輩が居るようだ。入った大のトイレが煙臭く、便器に吸い殻が落ちていた。けしからん。吸うやつが多いから厳重な表示をしているのか。さすがに冬のモスクワでは屋外でタバコを吸うわけにはいかないのだろう。だからトイレで喫煙という「需要」が増えるのか。

空港内の喫煙室というのが閉鎖され、からっぽになっていた。これは日本も見習って欲しい。今どき、喫煙室をつくって受動喫煙対策だ、などというのは時代遅れだ。

アエロフロートも普通の体験だった

アエロフロート航空でどんな経験をするかも楽しみにしていたのだが、これも特に変わったことはなかった。飛行機はエアバス機を使っていて、機内設備も「グローバルスタンダード」だった。

「国際線は3時間前に空港に来るように」と言っているのにチェックイン業務が3時間前に始まらないことは不満だったが(40分遅れ)、これはどこの国の航空会社でもよくある。ちゃんと3時間前に始めてくれれば、並ぶ列はあんなに長くならなないのに。

荷物をいちいち中継地モスクワで再チェックするような官僚主義があるか、と案じていたが、簡単に荷物を東京までスルーにしてくれた。モスクワに着いてから乗り換え待ちスペースに入るにも簡単なパスポートチェックで済んだ。

客席乗務員はすべて若い女性でしかも皆相当の美人だった。昔聞いた話と随分違う。採用でかなりスクリーニングされているのだろうか。ポリティカリーコレクトに言えば、中年女性や男性の乗務員も居ることが正しい。先進諸国の客席乗務員はそういう多様性が見られるようになった。アエロフロートの場合、そういう意味では途上国に近いのかも知れない。(ただし、モスクワから東京への便では男性客室乗務員も居た。)

モスクワは吹雪だった

暖かいポルトガルやスペインからモスクワに着くと、何と吹雪だった。気温はマイナス7度。ニューヨークでマイナス10度以下を経験してきたので、大したことはないが、もう3月だよ。溶けるような雪でなく、細かいさらさらの雪が滑走路を舞っている。こんな所で普通に空港機能が回っているのだからただただ恐れ入る。

降機してバスでターミナルに送られる方式だった。ありがたくもマイナス7度の吹雪を体験する機会を与えて下さった。ニューヨークで買ったジャンパーを着てきてよかった。ロシアの乗客たちは機内で収納スペースからゆっくり荷物を降ろし、降機乗客の列がなかなか前に進まない。バスは、みんなが降機して来るまでドアを開けはなしで待つ。マイナス7度の風が入り込む。彼らにとってこんな温度はなんでもないらしい。

吹雪のモスクワ・シェレメーチエヴォ空港。