歌詞付き音楽動画、カラオケ動画づくりの秘訣

コロナ禍で、家でカラオケを楽しむことが多くなった。Youtubeなど動画サイトに多くの方がカラオケ動画を上げてくれていて非常にありがたい。

しかし、そういう歌詞付き動画、カラオケ動画の多くに共通して見られる欠陥がある。歌詞が出て来るのが遅いのだ。いや、「間違い」レベルで遅いわけでない。それどころか、歌っている個所の歌詞をむしろ正確に出していると言っていいくらいだ。だが、カラオケでは、歌詞は若干早く出て来なければならないのだ。歌い手は歌詞を覚えていない。覚えていてもすぐに出て来ない。だから歌詞は、その箇所がはじまるちょっと前、おそらく0.5秒くらい前に出ている必要がある。

凝った映像、丁寧な伴奏音楽、本当に素晴らしいと思うカラオケ動画作品がたくさんある。しかし、この欠陥のためその多くを避けざるを得なくなる。実に惜しい。次の歌詞がスムーズに出て来ず、歌うほどストレスが溜まるカラオケになってしまう。

動画サイト上にはJoysoundなどカラオケ店と同様のカラオケ動画も出ている。これと比較するとよくわかる。さすがプロのカラオケ映像は、歌詞が早く出て非常にスムーズに歌える。カラオケ店に行って歌ってみればこの辺の事情は確認できるだろう。長年つちかった経験から、さすが重要なキモをきちんと押さえていらっしゃる。

自主制作された方のカラオケ作品は、おそらく8割がこの基本が押さえられていない。これでせっかくの作品が台無しになり避けられてしまう。あまり指摘されていないので気づかないのだろうが、こうした作品をつくるには決定的に重要なキモ、秘訣なので強調しておきたい。

「カラオケ」と銘打っていなくとも、歌詞が出て来る歌動画は、ネット上にたくさんある。これらのほとんどで同じ欠陥が目に付く。何のための歌詞出しなのか。歌われている歌の言葉を正確に確認したいから、ということで人は歌詞を見るのだろうか。あまりそれはないと思う。カラオケとまでは行かなくとも、歌い手に沿って自分もちょっと口ずさんでみたい、というときに歌詞付き動画は重宝するし、そういうときのために歌詞が付けられるのではないか。だから、そこでも歌詞を若干早く出すというコツは重要だ。

出るのが遅い歌詞(というより単に正確なタイミングで出してくる歌詞)に対しては、むろん視聴者側で対応することもできる。私はブラウザーにYouTube Audio/Video Syncという拡張機能をインストールして、わざわざ音声が遅れる(映像=歌詞が早く出る)ようにしている。こうした拡張機能(エクステンション)は、動画に音声が合わない不具合を修正するソフトなのだが、私の場合、敢えて音声をずらすために使っているというわけだ。0.5秒ほど音(歌)を遅らせると、カラオケにはちょうどいい歌詞の出具合になる。

しかし、こんな拡張機能でわざわざ音をずらさなくとも、元から、スムーズに歌が歌える動画であった方が好ましい。