ニューヨーク市内からJFK空港まで最安300円

  • 「地下鉄+エアトレイン」(7ドル75)が最安ではない。
  • 「地下鉄+路線バス」で計5ドル50、メトロカード利用すれば計2ドル75。
  • 65才以上なら1ドル35。150円で空港まで行ける!
  • やや時間がかかる、わかりにくい、ので地元民向け(送迎時の行き帰りなど?)。

JFK空港
夕暮れのジョン・F・ケネディ空港(NY)。エアトレイン第5ターミナル駅の高架回廊から西方向を望む。直下が道路。線路のかなたにマンハッタンのビル街が見える。左手前方に次の第7ターミナル駅と、その右に、日本からのANAやユナイテッドの便が発着する第7ターミナルがある。道路の右手に路線バスの発着所(飛行機の手前)。路線バスはすべてここから発着する。

ニューヨークのジョン・F・ケネディ(JFK)空港から市内に出るには、空港エアトレインでジャマイカ駅に行き、そこから地下鉄E線に乗るのが最も一般的で、一番安いと思われています。エアトレイン5ドル+地下鉄2ドル75=計7ドル75となります。

(エアトレイン終点の駅名はジャマイカ駅、そこで乗り継ぐ地下鉄の駅名は「サットフィン大通り・アーチャー街・JFK空港駅」。市内から地下鉄E線で上記エアトレイン始点に来る場合、一つ前がジャマイカ・バンウィック駅、次の終点がジャマイカ・センター駅などと紛らわしいので注意。またF線の終点にジャマイカ・179ストリート駅もあるので、これとも間違わないように。)

まあ、初めての旅行者の方はそれでいいのですが、地元民、あるは何度もNYに来る人はさらに安い方法があることを知っておいた方がいいです。空港まで普通の市バス、ローカルバス(以下、路線バス)も行っているのです。これに乗れば地下鉄と路線バスで計5ドル50、メトロカードを持っていれば(2時間以内は乗り換え無料なので)1乗り分2ドル75で済んでしまいます。私のような65才以上の青年はさらにその半額の1ドル35。150円でNY市内どこからでも空港に行けてしまうのですから申し訳ない限りです。

ひょんなきっかけで

これを「発見」したのJFK空港に行くついでにクィーンズ図書館本館に寄ったとき。この図書館はエアトレイン終点があるジャマイカ地区にあるのですが(NY市クィーンズ区内にジャマイカ*という地名の地域がある)、その図書館前にバスターミナルがあり、見たらJFK空港行き(Q3)があるので試しに乗ったのです。住宅街をかなり遠回りして50分ほどかかりましたが、空港第5ターミナルに着きました。(クィーンズ区のバスはQ、ブルックリン区のバスはB、マンハッタン区のバスはMなどと記号が付いている)

このQ3のバスはちょっと遠回りですが、他にもいろいろ空港行きの路線バスがあり、これを利用すればかなりお安く空港まで行けることがわかりました。そうですよ。世界中どこでも、空港へのアクセスには、空港で働いている人などのために安い路線バスが必ずあるもの。それを利用するということです。

*クィーンズ区ジャマイカについて

ニューヨークのJFK空港に着いて、いきなり「ジャマイカ」という地名があって戸惑う人もいるのでちょっと説明。このジャマイカはカリブ海地域のジャマイカ国とは関係がありません。クィーンズ区のジャマイカは、この地の先住民族語、レナペ語で「ビーバー」を意味する言葉を、入植したオランダ人がyemecoと表記したことが起源です(オランダ語でyはjと発音)。これに対し、カリブ海のジャマイカは、現地の先住民アラワク民族の言葉で「木と水の地」を意味する Xaymacaと呼ばれていたのが起源。現在たまたま英語で同じスペルになっていますが、まったく無関係。クィーンズ区ジャマイカにヒスパニック系黒人が多く、ジャマイカ移民の方々も居るので、さらに誤解されますが、もともとこの地はアイルランド系の人々が多い街でした。現在もジャマイカ系の人たちが必ずしも多いわけではなく、むしろブルックリンの方がジャマイカ移民の集住地区となっています。

クィーンズ区ジャマイカの繁華街。
クィーンズ区ジャマイカの繁華街。ジャマイカはロングアイランドで最も古い町で、現在でもクィーンズ区の政治的中心。連邦ビル、郡裁判所などの行政機関があり、区役所も隣接するキューガーデン(元ジャマイカ町域)にある。

地下鉄キューガーデン駅からQ10バスで

安いけど不便な路線バス利用ルートなど、日本人は使わないだろうな、だれも書いていないだろうなと思いながら、一応ウェブをチェックしたら、ありました!お名前は出されていませんが、El Mundoというブログに次の書き込みが。

【NY】 マンハッタンからJFKまでわずか2.75ドルで行く方法  2015.02.04

大したもんです。そう、若者はこれでなくてはいけない。地下鉄キューガーデンズ駅からQ10バスで空港に行く方法を詳しく紹介しています。うむ、確かにこのルートが一番使いやすく分かりやすいでしょう。写真もきれいに撮ってあり、解説として完璧です。あやうくへたな二番煎じ書き込みをするところでした。詳しくはぜひ上記サイトをご覧ください。(よく見たら、『地球の歩き方・ニューヨーク』にも簡単な説明がありました。失礼しました。)

エアトレイン第7ターミナル駅の下にローカルバスの発着場
エアトレイン第5ターミナル駅わきにローカルバスの発着場。このQ10バスは地下鉄キューガーデン駅に向かう。

クィーンズ方面から来る人は地下鉄E、F線でキューガーデンズ

下図はニューヨーク市地下鉄地図から空港周辺を切り抜いたものです。これでわかるように、クィーンズ方面から来る人は地下鉄E、F線でキューガーデンズ駅(楕円印あり)へ来るのがいいでしょう。そこから上記のQ10のバスで空港まで約40分。地下鉄F線終点のジャマイカ駅まで行ってそこでQ3バスに乗り換えてもいいですが、ちょっと遠回りです(Q3はジャマイカのバスターミナル始発ですが、地下鉄ジャマイカ駅で乗り換えた方が便利)。

地下鉄E線は、マンハッタンのワールドトレードセンターからクィーンズ経由で来ています。F線はブルックリンの先、コニーアイランド方面から、ブルックリン中心部、マンハッタン、クィーンズ経由で来ています。どちらも快速電車ですが、E線は週末には各駅停車になります。(ニューヨークの地下鉄は基本的に終日運行。ただし、深夜、週末の運行変更に注意。後ほど詳しく。バスも空港行きに関する限り、終日運行。)

下地図右手、黒太線四角で囲んだところが路線バスの空港発着所です。「エアトレインの第5ターミナル駅から第5ターミナルに向かう途中、高架回廊の下を通る道路沿いにバスが並んでいるところ」というインストラクションで何とかたどり着けないでしょうか。飛行機を降りていきなりここを探し出すのは難しいかもしれません。最初に(ニューヨークに居る時に)、路線バスに乗って終点まで行き、場所を確認するのがよいかも知れません。

路線バス発着所は第7ターミナルにも近く、特にQ10バス停からは第7ターミナルまですぐ歩いて行ける距離です。しかし、ターミナル間の移動はエアトレインで行うよう注意書きがあります。日本からのJAL便が着く第1ターミナル、デルタ航空が着く第3、4ターミナル、アメリカン航空が着く第8ターミナルにもエアトレインで移動します(ターミナル間は無料)。なお、第6ターミナルは撤去されて、ありません(新築計画は出ている)。

NY地下鉄マップ
JFK空港付近の地下鉄、バス路線図。見にくいですが、細く青い点線が空港に行く路線バスです。黄色い太線はエアトレイン、それ以外の色の太線は地下鉄。小さく黄色い飛行機マークが地下鉄と路線バスの乗り換え駅。右手、黒太線四角で囲んだところが路線バスの空港発着所(第5ターミナル近く)。 Official New York City Subway Map by MTA,  obtained in Wikipedia Commons (CC BY 2.0)
JFK空港の路線バス発着所。エアトレイン第5ターミナル駅から第5ターミナルに向かう高架回廊から第7ターミナル方向を見たところ。直下の道路沿いにバス発着所が見える。

ブルックリン方面から来る人は

ブルックリン方面から来る人はキューガーデンの方に行かず、1)地下鉄A線で終点のオゾンパーク駅まで来てQ10バスに乗り換え、2)地下鉄3線で来てニューロッツ街駅でB15バスに乗り換え、3)地下鉄L線で来て別の駅ですがニューロッツ街駅でB15バスに乗り換え、などの方法があります。自分のアパートの場所によって判断すればいいでしょう。

A線はマンハッタンの北端、207番ストリート駅からマンハッタン中心部を縦断し、ロウアーマンハッタン、ブルックリン中心部を経由して来ています。地下鉄3線は、ハーレム地区から同じくマンハッタンを縦断し、ブルックリン中心部を経由して来ています。L線はマンハッタンの西側、チェルシー付近からブルックリンのウィリアムズバーグ付近を経由して来ています。

(なお、地下鉄は24時間運行ですが、深夜12時~6時と週末は運行形態が変わる場合があるので要注意です。例えば1)のA線は深夜はユークリッド街駅までとなり、その先はシャトルバスに。2)の3線は、深夜と週末はブルックリンまで行かず、代わりに4線がニューロッツ街駅まで行きます。その他にも工事などで頻繁にスケジュール変更があるので、駅に貼りだされる膨大な運行変更情報で少なくとも関連路線の変更について確認しておいきましょう。またB15のバス(24時間運行)についての注意ですが、空港まで行くバスと途中までしか行かないバスがあるので、必ず行き先(JFK)を確認して乗りましょう。)

マンハッタン、ブロンクス方面から来る人は

上記でわかるように、関連地下鉄線すべてがマンハッタンを経由してきます。自分のアパートから一番便利な駅・地下鉄線を適当に見繕って乗ってくればいいでしょう。一般的に言えることですが、ニューヨーク市地下鉄地図に自分のアパートの場所を落とし、よーく眺めているうちに、おのずと最も効率的な行き方がわかってくるものです。試みてみましょう。

バス便だけでJFKに行くと2時間10分かかった

私も地下鉄地図、そして市バス地図をよーく眺めているうちに、そうだバス便だけの乗り継ぎもアリだな、ということに気づきました。バス乗り継ぎも(2時間以内なら)2ドル35で済みます。そして、ブルックリンのちょっと奥、サンセットパーク付近に住んでいる私は、直行地下鉄がなく、どうしても乗り換え(バス乗り換え含めて計2回)になります。しかし、バス便なら、B35とQ15の1回乗り換えだけで行ける。これまで、クィーンズの奥、ジャマイカ地区のサットフィン大通り・アーチャー街・JFK空港駅(エアトレイン始点「ジャマイカ駅」への乗換地下鉄駅)までマンハッタンを大まわりして行っていましたが、バス便乗り継ぎなら近道だしもしかしたら速いかも知れない。さっそく試してみました。

結局、所要2時間10分。やはり地下鉄利用の方が速かった。しかし、マンハッタン、クィーンズまわりの時の1.5倍程度です。これなら、たまには外を走るバスに乗ってみるのもオツなもの。

街と人々を見ながらゆっくり空港へ

B35のバスは、まずブルックリン中華街近くで中国系の人たちをたくさん乗せ、次いでユダヤ人街で黒服を来た人たちをたくさん見て、やがてベッドフォード・スタイベサント南端からブラウンズビルの黒人地域に入ってきます。地下鉄は闇ばかりで何も見えません。バスは地上を走り、いろんな街の様子を見られてすばらしい。

なるほど、ニューヨークは、こうやっていろんな民族・人種がコミュニティーをつくって暮らしているんだな。いやあ、皆むっつりして歩いている表情がいい。あの子どもたちは何が楽しいのかな。あその中古品店はいろいろ安いものがそろいそうだな。おお、あの保険会社はここにも支店があったか。道路工事のショベルカーはロボットみたいだな。黒人街にチャイニーズ・レストランがポツリとある。中国系移民の人たちのバイタリティはすごい。カリビアン・レストランというのもあるな。カリブ海諸国からの移民の人たちも多いのか。おお、桜が満開だ。黒人街に意外と桜の街路樹が多かった。

イーストニューヨーク地区あたりで空港行きのQ15バスに乗リ換えました。満員だった。今度は立ったままだったのでよくわかったが、乗っている人がすべて黒人でした。1人の例外もない。アジア人どころか、非黒人は私だけ。これだけ完璧に黒人の人ばかりだと、なぜだか何だかすごく感動しました。

空港に近づくにつれて高速道路が多くなり、思ったより早く着きました。着くころには、黒人の人たちはほとんど居なくなっていました。

以上、空港行きには多様な方法があること、路線バス便だけの乗り換えの方法さえあるんだ、ということのご報告でした。