このほど、『ウクライナ周辺・探索の旅 2022‐23年』を電子本(アマゾンKDP)と印刷本(同ペーパーバック)で出版しました。リンク先のページからどうぞ。
2022年10月から2023年8月までの10か月間、ルーマニア、モルドバから東欧、バルカン半島、トルコ、コーカサス地方まで「ウクライナ周辺」を旅した記録です。このブログで報告してきたように、2022年2月24日にロシアの侵攻ではじまったウクライナ紛争でいたたまれない気持ちになり旅に出ました。戦争が終わったらウクライナに入るつもりでいましたが、残念ながら終わる気配はなく、「周辺」の探訪に終わりました。しかし、この地域の複雑にからんだ民族事情と侵略・虐殺の繰り返しの歴史から、ウクライナ紛争にも共通する基盤を見たかに思います。
電子本と印刷本では若干内容が異なります。なにしろ、電子書籍というのは節度がない。ありったけのものを詰め込み、A4にして約1000ページ、写真1130枚になりました。そのまま印刷本にはできません。かなり凝縮しました。
各地で社会的問題を学び、思索し「探索の旅」でしたが、同時に、バックパッカーとして安上がりの旅と滞在をするための経験とノウハウもふんだんに盛り込みました(特に電子本の方)。社会的思索をする人には貧乏旅行のノウハウは興味がなく、バックパッカー情報を求める人には小難しい社会事情の言及は余計なものと映るでしょうが、私の旅の報告はこうするのが自然でした。(編集者の友人様、ハイ、承知しております。つまり商業出版としては失敗ということですね。)
1年近くこの地を旅していれば、特に冬の厳寒期は外に避難したくなります。それでギリシャ、エーゲ海、クレタ島、エジプトにまで南下しました。「ウクライナ周辺」とは言い難いですが、この地を継続的に探訪するには選択肢として入ってくるルートと思われるので、電子本の方には含めました。
実際に現地に行き、その空間に立つことで何かを学ぼうとする、あなたのような方のため出版しました。よろしく。
前回の東欧・地中海西部の旅(『ヨーロッパ周辺の旅』KDP電子版、2019年、同MyISBN印刷版)に続いて、このところヨーロッパの周辺、もしくは辺境地域ばかりを旅しています。これを続けるうち新しい感覚が生まれてきました。ヨーロッパは、東欧からトルコ、コーカサスを含めて、こうした「周辺」地域こそが本体でなかったのか、と。英仏独など北西部のヨーロッパ主要部は、近代以降、あるいは大航海時代以降、異常な発展を遂げた特異地域で、むしろ「辺境」にこそ普通のヨーロッパがあり、その本来の姿があるのではないか。