アルマトイからキルギス首都ビシュケクへ

バスで6時間、ビシュケクへ

より涼しい土地を求めて、山国キルギスに行くことにした。アルマトイからキルギス首都ビシュケクまで鉄道は8~9日に1便しかないが、バスなら1日5便ある。しかも鉄道は15時間かかって5000円。バスは6時間で800円こっきり。どちらを選ぶべきか自明だろう。鉄道は、天山山脈の最北部支脈イリ・アラタウ山脈を避け大廻りしてビシュケクに入るかららしい。バス(道路)は、その途中で山を突っ切りビシュケクに抜ける。

ビシュケク行きのバスは、アルマトイ市西部にあるサイラン(Sayran)バスターミナルから出る。中国に向かう国際バスや、各種地方都市に向かうマシュルートカや相乗りタクシーも群がる。
ビシュケク行きのバス乗り場はこのあたりから。ターミナルの西端近くだ。切符はターミナル東端の窓口で。切符窓口はロシア語やカザフ語でカーサ(kacca)というらしく、要するにカーサ、カーサと叫んでいれば窓口にたどり着けるということを学習した。文字で見てもわかりやすい。行先や日時は英語式、数字で書いたメモを渡せばわかってくれる。
アルマトイの街を出る。市の南にイリ・アラタウ山脈がそびえる(最高峰:Talgar山、4,973m)。すでに都市部で山への傾斜が始まっており、高い峰々も遠くはないのだが、夏だとどうしても霞がってしまう(大気汚染?)。あの山を越えていくのか、と思ったが、実際は低くなっているあたりを通る。
アルマトイ・ビシュケク間を走るバス。出発して2時間で約15分のトイレ休憩がある。
アルマトイから走ってきた高速道路。17年前にもこのルートを通ったはずだが、当時は簡素な地方道を走った記憶がある。現在は片側2車線の立派な高速道路だ。
高速道路を左に外れ、いよいよ山脈横断ルートに入る。どんな高山が待っているかドキドキしたが、大したことはなく、すぐ高原地域に出た。
急峻な山々ではなく、すぐに高原が広がる。風力発電の風車がたくさん立っている。風の通り道、峠付近に来たということだ。
約4時間で、コルダイの国境検問所に着いた。ここにトイレもあるので一応ご報告。バスから降りて、カザフ側国境検問所(写真)へ歩く。
出国手続き後、再びバスに乗ってキルギス側国境検問所へ。途中、国境線となるチュイ(チュー)川を渡る(写真、反対側のバス窓が映って見にくい)。チュイ川はキルギス中部山地に発し、一旦東のイシククル湖方向に流れ、その直前でUターンして、今度は西方向へ。ビシュケク付近で国境線を形成した後、カザフスタンの草原に入り、他の多くのこの地域の河川同様、砂漠の中に消える。
キルギスの入国手続きを終え、同国検問所(写真)から出てきた。この辺で再びバスに乗る。ボーとしていて、あやうくバスが出発するところで冷や汗をかいた。この辺からはビシュケク市街も近く、市バス34番他いろんな移動手段があるので、ドライバーも乗客数を確認せず気楽に出発してしまうようだ。

警告:バスは「西ターミナル」までは行かない

私はウェブで古い情報を見ていた。バスはてっきり街中の西ターミナルに着くものだ、と思っていたが、昨年からオープンしている市北部の新ターミナルに着く。これまでの「西バスターミナル」は閉鎖されてしまっている(詳しい事情はこれがよいかも)。この辺は意外と日本人旅行者によるウェブ情報の方が新しく、主要な英語情報ばかり見ていた私は後れをとった。新バスターミナルは市中心部まで結構遠く(約7キロ)、事前に知っていないと混乱する。実際にはターミナル前に停まっている13番の市バスに乗ればいい(乗車時20ソム現金で払える)。バスターミナルからさらに北の国境まで行っている34番の市バスに乗っても市中心部に出られる。

2024年1月に開業した新バスターミナル。街に行く市バス13番はこの写真撮影者の後あたりに停まっている(始発地点)。

ビシュケクのバスターミナル情報、流動的

今後、ビシュケク発着の長距離バスはすべてこの新ターミナルにまとめるという情報もあるが、現状ではいろいろ分かれているようで、よくわからない。少なくとも2025年7月24日現在で、英語が通じない中で辛うじてターミナル・スタッフから聞き出した限りでは、アルマトイやイシククル湖方面のバスは新バスターミナル発着になるが、タラス方面行きは、西ターミナルのさらにずっと西に設置された仮ターミナルから出るとのこと。幸い前記市バス13番がそこまで行っている(終点)。そこに行ってみると、そこからはタシケント行きやオシ行きのバス、マシュルートカなども出ているようだった(後述)。

カザフ語もキルギス語もロシア語もできないと、巨像の一部を手探りしているような歯がゆさがある。アフリカ南半分縦断旅行がきつかったけれど意外とうまく行ったのは、どこでも英語が通じたからだとわかった。なるほどアメリカは北から南まで、少なくとも私の通ったところは英国植民地の歴史があった。ここ中央アジアはロシア・ソ連植民地の歴史があり、私などは苦労するわけだ。そう理解できた。

ビシュケクではCapsule hotel TechnoCaveに泊まった。カプセルホテルというのはおもしろい。しかもテクノ洞穴という名前がクールだ。一泊1500円。写真は内部の様子。日本の「カプセル」より簡素だが、居ごごちは悪くない。