いや、「学者」は差別用語ではないでしょう。むしろ、敬いの気持ちを込めた尊敬語でしょう。ま、普通は。しかし、どうも私は「学者」という言葉を使うと、尊大であるとか中身がないとか現実を知らないとか自己保身だとか、否定的なことを言いそうになる。学者の好ましい側面を言う場合には「研究者」という言葉を使う。
フリーライター時代は、そうやって安易な学者批判をしていたのではと恐れるが、私も大学で10年以上教鞭をとってしまった。私も、批判する「学者」の一部に含まれるのか。幸いにも中身が伴わないので私は学者とは言えないが、形式的にはその中に含めて間違いという訳でもなくなった。それで「学者」と言いながら悪口を書くと、ちょっと身の置きどころが悪くなる気がするのだろう。(何やら複雑な論理になったが、中身がない形だけの学者なら、昔の論理で言えばまさに学者だということになる。)
とにかく私は今、「学者」という言葉をできる限り使わないことにしている。「学者」と言うと、個々人でなく、そういう人間の集団一般をステレオタイプ化して悪口を並べそうな気がする。何事にもステレオタイプ化はよくない。真摯な姿勢で研究に励む「研究者」をたくさん見てきた。そういう人を一緒くたに悪者扱いする見方は止めたい。