山火事による大気汚染、「黙示録の世界」

コロナ、落雷の嵐、史上最大規模の山火事、大気汚染、熱波、と来てその次は「核の冬」だった。9日、朝起きたら暗い。あれ、まだ夜だったか、と時計を見るが8時。いつもの起きる時間だ。ウィンドウシェードから外をのぞくと、空が黒ずんだ黄色で、あたりが暗い。山火事からの大気汚染か…と起きる。

外に出ると、きのうまでの熱暑がうそのようにひいやりとした大気だ。道路、車、町全体にススのようなものが付いている。外に出しておいた私の自転車にも降下物が付いていた。町全体が薄暗い。

「黙示録の世界」「黙示録的オレンジ色」などの文字がニュース記事に踊る。「”おはよう地獄”:山火事が荒れる中、カリフォルニアンたちが起きると黙示録の空が」とはガーディアン国際版の見出し。英国系、やるのう。比較的上空の大気汚染で、地上付近はさほどの汚染ではないが、外出を控えよ、ということだ。米西海岸全域で起こっている山火事からの煙が、高空に達しながらまわりまわってベイエリア(サンフランシスコ都市圏)をおおっているらしい。

外が暗いのだから家の中はもっと暗い。不気味だ。雲一つない乾いた「カリフォルニアの青い空」はどこへ行った。日本でこそ、どんよりした曇り空は珍しくないが、この地では異常だ。何かが起こっている、と恐怖を感じる。

「核の冬」という言葉が頭に登った。核戦争の後遺症で地球全体が煤塵に覆われ、陽光が届かず、寒冷化する。今の現実では、無数に起こっている山火事の煙が空を覆い、広域的な寒冷化が…と進むのか。寒冷前線が通ったからではあるが、この日一日中、20度を上回ることがなかった。

このブログは「気象ブログ」ではない。天気のことばかり書きたくない。しかし、こう「天変地異」が立て続けに起こっては、天気・気象の話が多くなってしまう。

こんなときに地震などが起こらないことを願う。日本もコロナ、熱波、大型台風と大変で、その上、地震・火山という天変地異の脅威も米国西海岸と共有している。何でも起こりそうな雰囲気だ。こんな悪いこと続きの時に、さらに悪いことが起こらないで欲しい。真っ暗な空を見て心配になった。

昼、少し汚染が薄らいだので外に出てみた。近場はやや明るくなった。しかし、遠く(左手)からは厚い汚染層が迫っている。日本だったら雷雲が来たと思うだろう。全体的に空が黄色い。写真に色補正はかけていない。
住宅街にどす黒い汚染雲が迫る。車には夜のうちに下降したらしいススのようなものがついている。

8月16日の落雷の嵐以来、米西海岸全域で無数の山火事が発生している。9月~10月が山火事の季節だが、今年は9月上旬ですでにこれまでで最大規模となっている。9月9日までにカリフォルニア州だけで約7000の火災が起こり、119万ヘクタールが焼失したという。日本の首都1都3県の面積に近い。通常、大規模な山火事を消火するのは困難で11月に雨季が始まる頃、やっと消える。

西海岸の山火事からの煙は米大陸全体に影響を与えるとともに、海に出たのが還流するなどして長期にわたり海岸部都市地域にもとどまる。下記に、シエラネバダ山脈で起こっている山火事の煙の流れが示されている。このような煙に取り巻かれたカリフォルニア・セントラルバレー平原地域では、大気汚染の指標PM2.5(直径2.5μm以下の超微小粒子)が500とか700(μg/m3)とか恐ろしいレベルに達している。環境省基準では、1日平均70を超えると「健康に影響が出る」。世界の汚染状況がリアルタイムでわかるサイトを見ると、むろん断トツの世界最悪レベル。中国の空気もきれいに見える。これが時折、我らがベイエリアにも近づいてくるので胆を冷やすわけだ。

9月9日の衛星写真。黒っぽい煙が出ている山火事が多数確認できる。カリフォルニア州だけでなく、オレゴン州でも多数発生。カリフォルニアの海岸都市部、内陸セントラルバレーが煙で覆われている。オレゴン州からの煙は一旦太平洋に出て、そこからカリフォルニア方面に流れてきているのがわかる。風向きのかげんでこうなる。GOES-17 weather satellite image, from Wikipedia Commons.

夕方、汚染度が一時的に下がった頃を見計らって、屋外バスケ場に行った(行くなよな、こんな時に)。市公園のバスケ場はコロナで閉鎖されているが、教会の民間バスケ場はあいていて、時折、近隣住民が一人玉入れをしている。

ボールをつくと、アスファルト面から灰が舞い上がってきた。小麦粉のような灰燼が地表面をおおっていて、ボールが当たると美しい花びらの幾何学模様を描き「小麦粉」が舞い上がる。だめだこりゃ。空気自体の汚染よりこっちが危ない。バスケもテニスもだめで、ランニングも同じところを回っていると咳が出てくる気がする。木の下の柔軟体操だけにとどめる。木の下ならあまり灰も降下していない。ニューヨークで、雪の積もっていない樹木下を選んで体操していたのを思い出す。