スチャバからブラショフへ カルパチア山脈越え

恐ろしい。恐ろしいものを見た。バスが出発5分前、午前6時45分に出発した。

私は30分前にバスターミナルに来て、10分前にはブラショフ行きバスが居るのを確認して乗り込んだので大丈夫だった。しかし、乗り込んですぐバスが出発したのだ。あれ、早いな、と思って時計を見たら6時45分だった。いいのかよ、ぎりぎりに来る人だっているだろう。私なんていつもそうだ。

恐らく、予約した人はすべてそろったので出発した、ということなのだろう。予約なしで直接ターミナルに来たのは私ぐらいだったのか。

5分前というのは初めてだが、確かに今回の旅で(ギリシャから、ブカレスト、スチャバまで)、バスも鉄道もほぼ定時に発車していたように思う。だいたい5分か10分、時に30分や1時間遅れるのは普通だと思っていた。ところがどうもこの辺は違うらしい。市内バスなど、それで遅れたこともあった。時間通りに発車するなんて日本くらいだ、という思っていたが、訂正しなければならないかも知れない。

バスは南下。左手に徐々にカルパチア山脈が見えてきた。ルーマニア内では最高で2500メートル程度だ。ピアトラニアムツからビカズ方面に向かうルートを行くようだ。山脈と言うより、平原が盛り上がったような山地帯だな、などと見ていたが、

次第に山が高くなってきて、

おお、何だこれは。すごい岩山だな。やはりカルパチア山脈は本格的な産地だ。ユーラシア大陸全体を俯瞰すれば、中央アジアン(新疆ウイグル自治区)の天山山脈から西では初めて現れる本格的山地なのだ。

(参考)天山山脈西山麓に横たわるアルマティの街

カルパチア山脈に戻る。急峻な岩山がビカズ川によって深く浸食された谷。そこの道路をバスが縫うように進む。

ビカズ渓谷周囲の急峻な岩山。今にも倒れてきそうだ。

そして実際、January 23, 1838年1月23日のM6.9地震で山が崩れ、ビカズ川がせき止められた。そしてできたのがこのロッシュ湖(Lacul Roșu、ラクロス、「赤い湖」の意味)だ。面積1万1500ヘクタール、標高983メートル。

その手前の村で休憩になったが、雪かと思うほど霜が降りていた。

この辺を頂点として、道路は下り坂になっていく。ほどなくして広大な平原地帯に出る。ブラショフなどトランシルバニアの町々はムレシュ川やオルト川などにつくられた盆地の中にあるようだ。(この二河川もそうだが、この辺の川はだいたい最終的にはドナウ川に注いでいる。)

以後、写真がない。バスの乗客の中に英語を話すルーマニア人が居て、共産主義時代の見方、現代のルーマニアについて有意義な話を聞くことができた。これについては後で書く予定。1時間くらいしゃべっていて、気づいたらブラショフに着いていた。