ビシュケクからタラスへ 東キルギス・アラタウ山脈越え

タシケント、オシュ、タラスなどへは西ターミナルのさらにずっと西の仮バスターミナルから

標高800mのビシュケク(キルギス首都)はまだ暑いので、同国西部、標高1300mのタラスに向かうことにする。前述の通り、西部へのバスが出ていた西バス・ターミナルは閉鎖された。アルマトイからの国際バスもここではなく市の北にできた新ターミナルに着いた。そこで聞く限り、タラスなど西部に行くバスは西ターミナルのさらに西にある仮設ターミナルから出るという。東のイシク・クル湖方面のバスはその新ターミナル発着とのこと。

え、西の仮設ターミナル?どう行けばいいのか。簡単だった。新ターミナル始発の市バス13番(ビシュケク中心部に行く際乗ったバス)に終点まで乗って行けばいい。このバスは、閉鎖された西ターミナルを経てさらにずっと西に進む。1時間ほど乗ったろうか。いったいどこまで行くのだ、市街が切れ周りが田園地帯になってきたぞ、おいおい、このままタラスまで行ってしまうのではないだろうな、と心配になった頃、やっと終点。たいした建物もない野原の駐車場といった風情。バス、マシュルートカ、乗り合いタクシーがたくさん停まっている。仮設のお店も多い。

ビシュケクの西20キロの田園地帯にある仮設バスターミナル。西方面へのバス、マシュルートカ、乗り合いタクシーが出る。まっすぐ行った突き当りの建物でバスの切符を売っている。
仮設ターミナルの中から入口方向(南)を見る。ここを終点とする13番の市バスが停まっている。
バス(大型バス)の発車時刻表。タラス行きは日に3便あるものの、すべて夜行バスだった。景色を見るため朝の便に乗ろうと行ったのに、これでは使えない。マシュルートカにする他ない。また、タシケント行き夜行バスなどもここから出るようだ。キルギス南部のオシュ行きはないが、マシュルートカでオシュ行きと書いたのがあった。
ちょうど、満員直前のマシュルートカがあったので乗った。タラスまで500ソム。約300キロ、6時間の山道を850円だから安いと思う。最初はビシュケク周辺の平野が広がる(写真)。その南にそびえるのが、4000m級の東キルギス・アラタウ山脈。
山道に入る。
しだいに山が険しくなる。アルマトイからビシュケクへのイリ・アラタウ山脈越えも大したことなかったので、今度もなだらかなところを越えるのだろう、と思っていたら、本格的に険しい。中国・雲南奥地の絶壁の上を疾走するような道を思い出し、怖くなってきた。私は決して高所恐怖症ではなかったが、あの雲南の体験以降。絶壁道路が怖くなった。いろいろ対策をとる。なるべく下は見ない。バスの左側に座る。ここは車右側通行だから、左に座っている限り、道路右直下の崖下をみることはない。左側に崖がある場合でも、センターラインの向こう側だから崖下をのぞき込むことはない。
だが、このキルギスの山岳道路は、それほど恐ろしい崖を通るわけではなかった。中国の道路は「革命的労働者」がつくるだけあって、切り立った崖の上に道路を通す。柵も充分につくらないようだ。しかし、ここでは、崖側に頑丈なコンクリートの柵がある。そして、写真のように日光「いろは坂」的なヘアピン・カーブ連続の箇所が多いので助かる。これなら、崖下に真一文字に落ちていくという恐怖感は薄らぐ。(落ちればいずれにせよ転がっていくだろうが。)
この辺が東キリギス・アラタウ山脈を越える最頂部(峠)のはず。グーグルアースで調べると標高3500mは越えている。
峠を越えると前方に平原が見えてきた。高山に囲まれたスーサミール盆地(Suusamyr Valley)だ。夏は緑の平原、冬は雪質のよいスキー行楽地として人気があるようだ。ここを流れるスーサミール川は流出先がなく、盆地内で消滅してしまう。
遊牧民の馬、牛などの放牧が行われている。伝統的なテント式住居ユルトも見られる。ユルトはチュルク系の語で、モンゴル語ではゲル、中国語ではパオなどと呼ばれる。
平原に降りたところで、トイレ休憩となった。乗ってきたマシュルートカの前面には「525番 タラス行き」と書いてある。
スーサミール盆地の南側にそびえるスーサミール山脈。予期した以上の素晴らしい景観が続く。上高地が100個つづいているようなものだ。こんなところを800円でドライブしてもらっているのだから申し訳ない。
北側は東キルギス・アラタウ山脈。連続して東タラス山脈になっていくようだ。
バスはさらに西進。
スーサミール川沿いに道路が続いている。
キルギスの「民家」というのはこういうものなのだろう。伝統的なユルトと現代的?な建材による住宅。キルギス国旗を掲げているのをよく見る。水の入った樽やポリ缶は重要なのだろう。写真には写っていないが、マイカーも停まっている。大草原の中では必需品と思われる。
ビシュケクからの山岳道路は、スーサミール山脈を越えてトクト・グル湖、さらにオシュやフェルガナ盆地に出るのが主要道のようで、タラス行きのバスは、スーサミール盆地西部で右(北西方向)に枝分かれして行った。再び山を登る。交通量も少ない。
さほど険しい道ではなく、すぐ東タラス・タラタウ山脈の峠を越えた。写真は峠を越えて振り返ったところ。峠に3300何がしmという表示が出ていた。
すぐにタラス川の渓谷盆地に入る。
タラス川渓谷盆地の風景。背景(南)は3000m級の東タラス・タラタウ山脈。
タラスの街に着いた。人口3万の小さな町だが、やはりソ連型街づくりでだだっぴろく広い。どこで降りるのか聞かれる。ターミナルまで乗っていると中心部まで遠くて大変なことになるという注意を聞いていた。「マーケット! バザール! センター!」を繰り返し続け、バザール近くで降りるらしい若者といっしょに降ろしてもらった。写真は来た方向(東)の写真だが、この幹線道路を右手に入っていくとにぎやかな市場地域に出られる。