注意!タシケント北のウズベク・カザフ国境、まだ閉鎖中(Gisht-Kuprik/Zhibek Zholy)。2025年2月から7月7日現在も。西10キロの別の検問所利用を。

タシケントは国境の町

ウズベキスタンの首都タシケントは実は「国境の町」で、北隣カザフスタンとの国境まで市バスで行ける。カザフスタン第3の都市シムケントとは130キロくらいしか離れていないので、この国境検問(ウズベク側 ギシュト・クプリクGisht-Kuprik、カザフ側ジベクジョリZhibek Zholy、かつてはChernyaevkaとも)は最もよく利用される両国間国境だ。タシケントから簡単にカザフスタン訪問ができるので、ウェブ上にも日英語ともに多くの国境通過紀行が出ている。

タシケントに滞在していた私もこれらを読んで、楽勝だな、と思いながら、さらに念には念を入れて前日には市バスで国境まで出向いて行き方を確認し、(2025年)7月7日(月)本番にトライした。国境行きのバスが出ているShahriston地下鉄駅は私が泊まっていた宿の最寄駅だったのでますます楽勝。停まっていた169番市バスに乗り40分で国境の集落、ギシュト・クプリクGisht-Kuprik(タシケント都市圏タシケント区内のGʻishtkoʻprik村)に着ける。市バス運賃は約20円。自分のクレジットカードを機械にかざすだけで払えるので旅行者でも苦労しない。

国境行きの市バスは、Shahriston地下鉄駅が始発。地上に上がってくると、169番のバスが停まっている。写真では見えにくいが「169」が電光掲示されている。約12分おきに出る。郊外に行くバスだからか、冷房がないのがきつい。

検問所の大規模改修工事で今年2月5日から国境閉鎖

ところが、バックパックを背負って乗り込んだこの日(2025年7月7日)、169番市バス運転手は、国境は渡れないぞ、と言う。英語を話さないが、手の平の上で指をとことこ歩くジェスチャーをし、だめだめと手を振る。え、そんなことがあるか。驚きながらも、とにかくバスに乗った。

うむ、確かに昨日、国境下調べの際、検問所に至る道路にほとんど交通がなかった。車も人も。そんなものなのか、と思って見届けてきただけなのだが、私の目が節穴だったのかも知れない。昨日は手ぶらで来たので、運転手も国境を越えようとする外国人だとは思わなかったのだろう。何も言わなかった。ウズベキスタンでは(カザフスタンではさらにそうだが)、東アジア系の顔立ち(つまりモンゴロイド系)でもあまりよそ者と思われない。

ギシュト・クプリク集落でバスを降りると、運転手に再び「だめだよ、だめだよ」のジェスチャーをされるが、とにかく検問所に向かった。集落から検問所は見えないが、カーブ道を数百メートル歩くと、すぐ検問所。なるほど、検問所建物は閑散としている。まわりに人もほとんど居ない。後述の通り、大規模改修で今年2月日から4ヵ月間の閉鎖になったというが(後で調べてわかった)、工事で働いている人もほとんどいない。このところタシケント地方は40度を超える熱暑で、屋外で働くのも困難だろう。道路はアスファルトがはがされたまま。4ヵ月というと6月には工事終了のはずだが、まだまだかかるのではないか。

何しろ国境検問所だ。閑散とした不気味な雰囲気。オンラインゲームの冒険をしているようだ。写真は撮れない。こそこそ動くと兵士に撃たれるのでは、などと思いながら道路の真ん中を歩いていると、案の定、木陰に隠れていた(休んでいた?)兵士に呼び止められた。やはり英語を話さない。だめだめと言っているようだ。じゃあ、どうしたらいいんだ、と聞くが無駄なこと。

困った。タシケントに帰り、鉄道など他の国境通過手段を模索する以外ないか。

ウズベキスタンとカザフスタンの国境は、この辺では、シムダリア川の支流テミクディック(Temirqudyk)川にほぼ沿って引かれている。写真は国境の集落Gisht-Kuprikを流れるテミクディック川。川向うの柵やフェンスのあたりからカザフスン領がはじまる。橋の上から撮影しているが、この橋を渡った右側もまだウズベキスタン領で、同国検問所がこの右約200mのところに置かれている。検問所本体の写真がないのはご容赦。

代わりに西10キロの別の国境検問所へ

再びバス停に戻ると、小型車に乗った男が近づいてきて、乗れ乗れと言う。やはり英語を話さない。「マネー、マネー」と言って15万スム(約1700円)を提示する。どこか別の検問所に連れて行くというのか、それともタシケントのしかるべき役所かバス発着所にでも連れて行くというのか。よくわからないが、とにかく賭けた。

前者だった。タシケントの方角でなく、やや西の方にハンドルを切ったのでそれとわかった。ならいい。15万スムはぼられたかも知れないが、この際どうでもいい。20分ほど走って(地図で見ると約10キロ)、ナボイ・カプランベク国境検問所に着いた。(ウズベク側Navoi、カザフ側Kaplanbek)

ウズベク側のナボイ国境検問所はごったがえしていた。これくらいでないと国境検問所ではない。昨日、閑散としたギシュト・クプリク検問所の道路を見て、何も気づかなかったというのは落第だ。写真の裏手には、飲食店、物品店その他があり、さらに混雑している。ただし、検問所に入れば比較的スムーズで、カザフ側入国まで30分かからなかった。

大規模修理のため2月から「4ヵ月閉鎖」の予定だったようだ

シムケントの宿に着いてから詳しく調べると、ナボイ国境検問所は2年間閉鎖して改修が行われ今年1月末に新装オープンした。それと交代して今度はメインのギシュト・クプリク検問所の大規模改修がはじまったということらしい。同検問所は今年2月5日に閉鎖され、4ヵ月で工事が終わるとされていたが、7月7日現在、依然として工事中というわけだ。この主要検問所の長期閉鎖は影響が大きく、両国間国境通過に大変な混雑を招いているという。特にトラック便の渋滞が激しいようだ。40度を超えるこの炎天下、トイレや食糧事情のよくない中で10時間以上待たされるのはきつだろう(少なくとも私が通過した日には歩行者は比較的スムーズだった)。両国政府もこの問題を真剣に討議している、という。

いつもの国境が通れず愕然とする私のような失敗が繰り返されないよう、ここで急遽報告しておくことにした。国境状況について下調べが不十分だったことを認めざるを得ない。しかし、普通、旅の進め方を調べるのに「国境閉鎖」「border closure」などのキーワードで調べない。「タシケントからシムケントへ、バスで」などと調べるだろう。そうすると、通常の楽勝の通過指南しか出てこない。後でよく調べると、英語ではもちろん、日本語でもいくつか「国境が閉鎖されているぞ」という警告は出ていた。「たびさき」ご夫婦のブログ、など。カザフ側から来る場合はamber_htnさんのブログが役立つだろう。

カザフ側からは、タシケントに行きたいと言えば、乗り合いバスでもタクシーでも現地の運転手が正しい国境に連れて行ってくれるだろうが、ウズベク側からだと、市バスで簡単に国境に行けるだけに、自分で勝手に行って国境閉鎖に愕然、となりやすい。