アルマトイ 酷暑の過ごし方

大陸気候:夏至で猛暑、立秋で涼しい(こよみ通り)

中央アジアは6月末から7月にかけてが最も暑い。内陸乾燥地帯は、海の影響を受けず、陽光の強さをストレートに反映した気候だ。日が最も高く長い夏至前後が最も暑くなる。日本のような海洋気候だと酷暑が「立秋」の頃(8月初旬)に持ち込まれるが、大陸性気候ではそんなことはない。8月は本当に秋の始まりだ。

なので、カザフスタン7月中旬は夏の真っ盛り。首都アスタナは樺太北部、カムチャッカ半島に相当するが、そこまで北上してもある程度暑かった。こりゃだめだ、と方針を変え、緯度でなく標高の高いところを目指すことに。中央アジア南東部にはキルギスなど天山山脈の高山地帯が広がる。アスタナからカザフスタン南部アルトマトイに行き、そこからさらにキルギスの山岳地帯に入っていくことにした。

朝9時、すでに40度

2025年7月18日午前10時半、アスタナ駅からアルマトイ行きの列車に。24時間かけてアルマトイへ。広大なカザフの国土。首都から最大都市への鉄道が丸一日かかるのだ。

寝台で夜を明かし、翌朝、いつものごとくよい天気。太陽が照りつけ、車内の電光掲示板を見ると朝9時半ですでに外気温は40度だ。アスタナも暑かったがそこからかなり南下している。いよいよ暑さが尋常ではない。車内は冷房が効いて26度だが、これからどうなるのか。

10時26分で43度になった。このまま温度の上昇は止められないのか。ちなみにわざわざ+43℃と出ているところがすごい。この地では冬はマイナス10度~20度になるのだ。数字に+ーを付けないとはっきりしないのだ。

朝9時半、外気はすでに40度。
カザフの原野を列車は24時間かけて南下する。
午前10時26分には43度。このまま上昇して行くのを成すすべくもなく座視する他ないのか。車内なら25度で安全だが、もうすぐアルマトイに着くはずだ。列車から下りなければならならない。

アルマトイ イメージは「清浄の都市」だが

7月19日、アルマトイ(カザフ最大都市、人口220万)に着いた。4000m級の山をバックにたたずむ街。天山山脈支脈のクンゲイ・アラタウ山脈だ。あの向こう側のキルギス領に、「幻の湖」イシク・クル湖がある

アルマトイは、美しい山脈を背景にした「清浄の街」のイメージがある。街中で上記写真のような壁画を見た。

しかし、世界の大都市大気汚染をモニタリングしているIQAirによると、アルマトイが世界最悪にランクされる日も出てきた。旧式車の排気ガス、冬の暖房排出ガス、山に遮られる空気循環など複合的な要因があるという。

駅近くの宿に退避

アルマトイは幸い標高800mだ。カザフ低地の「灼熱地獄」から少しは免れられるようだ。この日(2025年7月19日)は最高39度で、殺人的な気温とまでは言えない。できるだけ外に出るのを避け、着いた駅(アルマトイ1駅)近くで宿を探す。

アスタナで、駅近くにネットに出ていない安宿が結構多いことを知った。以後、「駅近くで自分で探す」戦略をまず第1に取るようになった。アルトマイ1駅でも駅左手1分に安宿(Hotel Zamat)があったので入った。広くて落ち着きのあるホテルで、冷房、専用トイレ・シャワーなど設備も悪くない。

冷房付き市バスは使いやすい

本格的な観光は後日を期すが、アルマトイの市バスはだいたいエアコン付きなので、バスで街を見て回るのは可能だ。料金は200テンゲ(約60円)で、乗車時に現金で払える。

アルマトイ市バスは路線案内図が優れている。市全体の路線図は入手できなかったが、各バス停に、そこを通る路線だけのルート図が出ている。なるほどこれで必要十分。そこからどこに行くには何番のバスに乗ればいい、など簡単にわかる。

例えばこれは空港の市バス停に出ているバス路線図。灰色(3番)、青色(92番)、紺(73番)、紫色(86番)のバスに乗れば市中心部に出られることがわかる(空港から市中心部まで40~50分、料金60円で行ける)。その他例えばアルマトイ1駅は緑(33番)、オレンジ色(36番)、薄緑色(41番)。面白いのは黄茶色(106番)で、アルマトイ1駅近くも通るし、バスターミナル駅にも行くのがわかる、といった具合だ。(ただしこの106番は例外的にエアコンがついてないので真夏は要注意。)

空港近くの宿、という選択肢

空港近くのホテル、など普通入らない。街から遠くだだっぴろいだけの郊外地域。観光に不便な上に、高級ホテルで高い。空港利用の直前直後しか泊まらないだろう。

普通はそんなイメージだ。しかし、アルマトイ空港は違った。第一に市内から市バスで行ける近さ。そして空港ターミナルを歩いて出ると、すぐそこに一般市民の普通の街がひろがっている。年季の入った大型団地があり、一般の人々が住んでいる。レストランやカフェはもちろん、スーパーもある。庶民の生活が空港のすぐ外に展開しているイメージだ。そしてそこに古くからの安ホテルもあった。かつてソ連時代は高級ホテルだった雰囲気。しかし、今はややしょぼい。シングルで3000円、ダブルで5000円程度だ。

駅近くの宿を選ぶメリットにだんだん気づいてきたが、「空港近くの宿」も悪くはない。ターミナルから歩いて出て5分。飛行機が真夜中に着いても困らない。怪しげなタクシーと交渉したり夜の街に出ていくリスクを避けられる。中央アジアの都市中心部は無味乾燥にだだっ広く、巨大建築ばかりであまり面白くない。しかし、空港近くのこのコミュニティは、かえって庶民的で人間的ですらある。カミさんが2週間後アルマトイ空港着でやってくるが、宿をここすることに決めた。毎日片道60円の市バスで中心部観光にでかければよい。普通と逆で、生活の基盤は空港周辺に置いて、市バスで街に繰り出すパターン。

アルマトイ空港。タシケント空港と並ぶ中央アジアの主要空港だが、こちらの方が日本に近く、日本から行く場合も、ここに着くことが多いだろう。
そのターミナル西端あたりから外に向かって歩き出すと、この先がすぐ一般の街並みになる。
500mほど行くと、バス停がある。ここから市バスに乗れば60円、50分で市中心部へ。街路には普通のお店が並び、その一角に安宿も。
普通のお店が多く、その先に市バスのバス停がある(緑のバスが停まっているところ)。そこから40分~50分、60円のバスに乗れば市中心部に出られる。
古式豊かな、しかし庶民的な安宿Favorit Hotel。
すぐ隣がスーパーチェーンのSmallで、便利この上ない。Smallは街でよく見る大規模チェーンなのだがなぜ「スモール」(小さい)なのか、と思ったが、S Mallということなのかも知れない。

中央アジアの詳細地図探し

暑いときは冷房付き屋内施設探索に限る。ということでショッピングモールに行った。中央アジアに着いて以来、この地の詳細な地図を入手する課題を追っている。タシケント、シムケント、アスタナといった大都市で地図は入手できなかった。アルマトイなら何とかあるのではないか。そう期待して、市南西部の「メガセンター」に行った。ここに市内最大規模の書店(Marwin)がある。

大規模ショッピングモール「メガセンター」。
同上、内部。
日本のすし店も出ていた。
市内最大規模の書店Marwin。さすがに多くの書籍がある。しかし、お目当ての地図はなかった。市内地図も中央アジアの地図も。「地図はない。」 武骨な店員の返事に引き下がる他なかった。
ただし、ここでも立派な「マンガ」のコーナーはあった。印刷地図文化滅びて、マンガの時代…か。
続いて、市中心部・伝統的な市場の付近にあるはずの書店へ。ソ連時代の立派な「中央バザール」の建物。この内部か周辺に老舗らしい書店があるはずなのだが、どうしても見つからなかった。こちらは書店自体が消滅の波に洗われたか。
やむを得ない。代わりに中央バザール自体の見学をさせて頂いた。やはり市場というのはどこに行っても活気があり、面白い。
市場近くにゼンコウ正教教会があった。1904年建立の愛らしいキリスト教(ロシア正教会)教会だ。

見つかった地図

地図はほとんどあきらめていたが、意外にも、街の小さな売店(キオスク)に本格的なアルマトイ市街地図があるのを見つけた。何気に売っていたが、かなり貴重だ。すぐ買った。発行TOO<E-Alem>社、2025年2月作成、発行部数500とある。

中央アジア全体の地図はついに見つからなかったが、後にウズベキスタンの観光案内所でCentral Asia Tourist Mapというのが買えた。内容的にはウズベキスタンの地図だが、同国は細長い国で、長方形の図にすると、カザフスタンやトルクメニスタンの一部も含まれ、中央アジアの地図的なものと言えなくもないというもの。作成は国家科学産業事業「Cartographiya」、出版はDavr Nashriyoti社、2016年作成、2024年修正、発行数2000部とある。