カスピ海を船で渡ってバクーに行けない
アゼルバイジャンは今、空路でしか入国できない。陸路や海路(カスピ海を渡る船)では入国できない。この極端とも言える入国制限はしばらく変わる見込みがないという。ただし、出国は陸路も海路も可(つまり「国境閉鎖」は一方向のみ)。カスピ海をゆったりと船で渡って、というロマンチックな旅は少なくともカザフスタンなど東側からはできない、ということだ。
飛行機で入国するのは可能。観光でもビザが必要だが、日本人の場合は空港で無料のアライバルビザが発給される。
因縁のアゼルバイジャン入国
私の場合、2年前にシルクロードを西から来て、トビリシ(ジョージア)まで来て、次のアゼルバイジャンには飛行機でしか入れないと知って、バカらしくなって引き返した。シルクロードを飛行機で飛んでも意味がない。そこで今度は東から、中央アジア方面から来てアゼルバイジャンに入ろうとしている。東からだと、ロシアやイランに入るのは無理で、まあカスピ海を飛行機で渡ってもいいか、と考えた。バクーを経てトビリシまで行けば、私のシルクルード走破がほぼ完結する(太平洋岸から大西洋岸までのユーラシア横断も)。
今回も実は、まずアゼルバイジャンに入ろうと、日本からバクー行きの切符を買ったのだが、ニューデリーからバクーに行くアゼルバイジャン航空便が欠航になり、中央アジアをうろうろしていたわけだ。
空港まで市バス6番、27円
それはともかく、アクタウの街からアクタウ空港への行き方を報告する。アクタウ空港は街から北に24キロ離れた砂漠のど真ん中にある。市バス6番が、市中心部からこの空港正面玄関にまで行っている。料金は片道100テンゲ(約27円)で、私が経験した限り世界で最も安い空港までのバス料金だ。ただし、本数は多くなくかなり待たされる。正確な時刻表は入手できなかったが、30分に1本~1時間1本か。
6番バスの正式な料金や時刻表を調べようとしたが、なぜかウェブページにはこのバスだけ載ってない。他のウェブ情報で3番のバスが空港近くに行くともされているが、これは古いと思われる。今年初めごろに工事のため6番バスは空港までは行かなくなったという情報もあったが、もう工事は終わったのだろう、2025年9月現在、ちゃんと空港国際ターミナル玄関口前まで行っている(乗るときもそこから)。料金はアプリなどで払う乗客がほとどんどだが、私は100テンゲ硬貨を出していた。なぜか運転手がそれを突き返すこともあった(つまりただになった)。中央アジアのどこでもそうだが、バス代支払いは適当な感じがする。乗るとき払ったり(アプリ操作も)、降りるとき払ったり、乗ってる途中で払ったりと様々。ここでは私は一応降りる時に払っていた。アプリ操作をした客も、降りる際にそのスマホ画面を運転手に見せていた。バス料金は、2025年2月段階で70テンゲ(19円)という情報があったが、少なくとも空港までは100テンゲだった。空港に着いて70テンゲ分の硬貨を見せると、運転手は「違う」と言って100テンゲ硬貨を取った。市バス全体が100テンゲに値上げしたのか、空港までだけは100テンゲになのかは未確認。タクシーを使うと、地元民でも3000テンゲは取られるし、8000テンゲ~1万テンゲにぼられることもあるという。
中央アジアでは一般に市バス料金は非常に安い。数十円から最高でも50円程度だろう。したがって市バスで空港に行ける場合は、アクタウだけでなく、どこでも数十円の「エアポーター」利用ができるということになる。









コシカル・アタ湖:放射性物質の廃棄場所
ソ連時代、カザフスタンはソ連のウラン製造の拠点で、ピーク時には全体の3分の1以上を担った。西カザフスタンを中心に30超のウラン鉱山があり、アクタウ(1992年までは「シェフチェンコ」)には軍事用ウラン生産工場があった。そして、そこからの有毒廃棄物がこのコシカル・アタ湖に捨てられていた。1999年にここでのウラン生産は終わったが、放射性物質、有害重金属などの汚染は残り、周辺に汚染をまき散らしている。乾燥で湖が干上がるにつれて、この地域の強い風で汚染物質が飛散する。乾燥を防ぐため、年間550万テンゲ(3万4,000ユーロ)をかけて大量の水が供給されているという。
世界初の高速炉原型炉
これに関連するが、アクタウには世界初の高速炉原型炉があった。ソ連は世界で最も早く高速増殖炉の開発に着手した国で、各種実験炉に次いで1973年に、実用も兼ねた原型炉BN-350を商業ベースで稼働させた(ループ型のナトリウム冷却高速炉、実質出力52MWe)。アクタウ市に電力と、カスピ海の水を淡水化した12万トンの水を供給し、プルトニウムの生産も行っていた。1999年に廃炉となった。

(後日追記)カザフからアゼルへの出入国
9月18日に、格安航空会社FlyArystan(エアアスタナ子会社のLCC)の便でバクーに飛んだ。いくつか注意すべき点があった。
・LCCなので預け荷物なしで、手荷物は5キロに制限されていた。思い切った断捨離の機会になり、荷物が軽くなった。が、チェックインカウンターでは計測もされず、荷物をちらっと見るだけでOKとなった。確かに一般にこういうことが多いが。
・私はオンラインチェックインを怠っていた。このLCCはオンラインチェックインを推奨している。かえって、カウンターでチェックイン手続きをすると高い追加料金が取られる。LCCはこういうことがあるので、注意書きをよく読んでおかないといけない。カウンターで最初、オンラインチェックインしないと1万8000テンゲ(約5000円)払わなければならない、と言われた。しかし、この空港にはネットアクセスがないなど弁解すると、高齢者だったためか、カウンター係員が代わってやってくれた。追加料金なしで済んだ。ありがとう。
・最近の傾向として「帰りの航空券を持っているか」と聞かれることを案じていたが、聞かれなかった。念のため隣国のトビリシから日本行きの切符を買っていたし、もしトビリシに出国する航空券がないぞ、と言われれば、その場で、キャンセルできるバクーからトビリシ行きの航空券をネット購入しようとしていた(トビリシまでの国際バス便はない)。
・その代わりアゼルバイジャンのビザを持っているがチェックされた。私の場合米国籍で事前のeビザ取得(料金約3000円)が必須だったが、「3カ月のeビザ有効期限」が切れる前だったので、要件を満たした。
・バクーでのアゼルバイジャン入国は何の問題もなくスムーズ。空港を出るとすぐのところに、Airport Expressという市内行きの目立つバスが待っていた。料金も約100円だった(交通カードBakiKartの取得が必須)。
現代は鎌倉時代だ
こうして結果オーライだったが、やはりどこでも国境通過というのは大変で、神経を使う。ウズベキスタンのレジストレーション問題もある。アゼルバイジャンの空路のみ入国許可の問題も。源義経さんも関所通過に苦労したらしいが(弁慶に叩かれたりした)、現代世界もまた平安末期か鎌倉時代なのだ、と改めて理解しないわけにはいかなかった。
