アメリカの公共図書館では、新聞・雑誌記事データベース、電子書籍(e-book)、映画ストリーミングなど多様な電子情報にアクセスできる。それらを、自宅から図書館カード番号を入力して使える(詳細は「ニューヨーク電子図書館の使い方」「NY図書館:e-book借り方解説」などを参照)。
一定の料金を払えば、州外・国外からのアクセスも可能であることも紹介した。
そこで見逃していたのだが、灯台下暗し。ニューヨーク市内3図書館システムの一つ、クィーンズ区公共図書館でも、年50ドルで州外居住者向けの電子図書館カード(Library eCard)を発行してくれる。外国の住所(国名)を選ぶ欄もあり、50ドルはクレジットカードでも払える。
州外・国外居住者はニューヨークまで来て印刷書籍などを館外借り出しするのは困難だし、そうしようとも思わない。データベース、e-book、ストリーミング映画などだけオンライン利用できればいい。そういう人のためのオンライン限定の図書館カードだ。
2カ月前には気づかなかった。見逃していたのか、それとも最近はじまったサービスか。不明だ。同図書館雑誌Queens Library Magazineにも言及がなく、プレスリリースもなく、したがって地元紙の新聞記事もなく、静かにいつのまにか始まっていた。
ここにQueens Library eCardの紹介があり、12歳以上のニューヨーク州内居住者、企業勤務者、学校通学者、不動産所有者はだれでも無料でeCardがオンラインで取得できますよ、とある。そして一番最後の行に、州外居住者などは年間料金50ドルで取得可能、と書いてある。
そこでさっそくクリックして登録ページに行ってみると、12歳以上ですか、州内居住者などですか、という質問があり、後者にノーと答えると、州外居住者申請書ページに案内される。
「州外」には「国外」も含む。現住所で、国名を世界百数十カ国から選べるようになっている。クレジットカード番号を入力して50ドルのオンライン支払いが可能だ。オンライン電子資料貸出し手続きに使う言語も選べる。日本語を使える。
さすが「全米で最も人種的・民族的に多様な郡」(アラスカ先住民地域などを除く人口10万人以上の郡の中で)を自負する地域の図書館だ。国外からのアクセスを認める米国図書館が現れ始めている中、ここがそういうサービスを始めるのは当然だったかも知れない。
さあ、これで日本に居るあなたも、アメリカの豊穣過ぎる電子図書館の恩恵が受けられる。数千紙誌の新聞雑誌記事データベース(全文テキスト含む)、数十万冊の電子書籍、クラリオン・コレクションを含むKanopy提供3万本映画ストリーミングが使い放題だ。ぜひ、手続きを。
(なお、私の住むブルックリン区のブルックリン公共図書館も、電子資料のみアクセスできるLibrary eCardを発行している。同じく州外居住者に年50ドルでeCard発行を行っているが、こちらには申請ページに国名などを入力する欄がなく、実質的に米国内の州外に限られるようだ。)