ニューアーク空港からマンハッタンまで最安4ドル35

ニューヨークの代表的3空港の一つ、ニューアーク空港に安く行く方法がほとんど知られていない。ジョン・F・ケネディ空港については地下鉄とバス利用で5ドル50セント(メトロカード利用で2ドル75)になる「裏ワザ」がある程度知られている。しかし、ニューアーク空港アクセスの節約法はウェブ上でもまず見ない。地元のニューヨークっ子でも知らず、英語情報としてもほとんどない。

ニューアーク空港と背景のマンハッタン・ビル街
ニューアーク空港。背景にマンハッタンのビル街が見える。同空港は、米国初(おそらく世界初)の本格的旅客用空港(1928年開港)で、1939年まで世界最大だった。

だれもが、ニューアーク空港に着いたら、13ドルで、エアトレインとNJトランジット鉄道でニューヨーク市マンハッタンのPenn駅に来るものだと思っている。マンハッタンの南西24キロにあるニューアーク空港は、ジョン・F・ケネディ空港より近い(3分の2程度の距離)。なのに料金は2倍以上、という状態のままでは気分がよくない。そこで、安くニューアーク空港に行く方法をここで紹介する。

結論的には、PATH(パス)鉄道とNJトランジット路線バス62番を使えば計4ドル35でニューアーク空港まで行ける。NJトランジットの鉄道と路線バス(Go Bus 28)でも6ドル85で行ける。

ニューアーク
ニュージャージー州最大の街ニューアーク。実際はニューヨークの郊外都市だ。パサイック川西岸に中高層のビル街が広がる。

1、荷物が少ない場合

(一応、荷物がインチにして22x16x8以下、センチにして55x40x20以下のもの2個以内の場合。空港行きの路線バスに乗るときにそういう制限がかかってくるのだが、後述の通り、実際上は大きな荷物を持っていても乗せてくれる。)

まず、マンハッタンのワールド・トレード・センター(WTC)駅からPATH鉄道に乗ってニューアークのPenn駅まで行く(2ドル75、約25分)。そこから空港方面に行くNJトランジット路線バス62番に乗ると、直接ターミナルまで行ける。エアトレインに乗り換える必要はない。例えばANAがユナイテッド航空と共同運航している成田直行便の出るCターミナルまでも直接行ける。それで1ドル60、約25分。マンハッタンからは計4ドル35となる。乗り換えや待ち時間で20分を見て、計1時間ちょっとで行ける計算だ。

PATH鉄道は約10分おき、市バス62番は約15分おきに出ており、長時間待たされることはあまりない。62歳以上と11歳以下は路線バスが75セントに割引になるので、計3ドル50ですむ。空港まで400円で行けるということだ。(ただし、多くの人はWTC近辺に住んでいないと思われるので、そこまで行くのにニューヨークの地下鉄料金2ドル75がかかってしまう。)

地元民にお勧め、あるいは帰国の際の腕試しに

初めてニューヨークに来た人は、わざわざこんな方法を使わなくてもいいだろう。タクシーやエアポートシャトル、あるいはエアトレイン+NJトランジット鉄道という定番でマンハッタンに来ればいい。13ドルなど、諸君の財布には大した負担ではなかろう。いやそれも節約したいというバックパッカー派、あるいは送迎などで空港に行く地元在住者の片道などに、この節約法を利用すればいい。あるいは少しはニューヨークに慣れてきた観光旅行者が帰りの冒険としてやってみる、というのもあるだろう(むろん、まごついて帰国便に遅れてしまった、となっても自己責任なのであしからず)。そういう思慮もあって、ここでは空港からマンハッタンでなく、マンハッタンから空港への行き方を中心に解説する。

WTC駅
ニューアーク空港行きはまず、マンハッタンのワールドトレードセンター駅から始まる。羽根の形をした特徴的な建物の下がPATH鉄道のWTC駅だ。
な、何とこれが駅か。2001年の同時多発テロで破壊された跡地に圧倒的な規模の駅
な、何とこれが駅か。2001年の同時多発テロで破壊された跡地に圧倒的な規模の駅をつくった。テロに負けない、というニューヨークの強い意思を明確に感じさせる超モダンな駅だ。
WTC駅改札口
広々とした改札口。飛行機への搭乗どころか、宇宙へのロケットに乗る改札口か、と思うくらいだ。PATH鉄道の料金は、ニューヨーク地下鉄と同じく、どこまで行っても均一の2ドル75。ニューヨーク市地下鉄のレギュラー・メトロカードも使える。ただし、アンリミテッドライド(乗り放題)カード、シニアカードは使えず、市地下鉄との間の無料トランスファーも不可(新たに料金を払う形)。ニューアーク行きはほぼ10分おきに出る。夜は便数が少なくなるが(30分おき程度)、24時間運行している。  
PATH鉄道のプラットフォームへのエスカレーター
この下にPATH鉄道のプラットフォームがある。
WTC駅ホーム
PATH鉄道WTC駅のホーム。PATH(パス)はPort Authority Trans-Hudsonの略。マンハッタンとニュージャージー州東部都市部を結ぶ近郊電車だ。NY州、NJ州、連邦政府の共同事業体ポートオーソリティ(Port Authority of New York and New Jersey)の全額出資子会社。
ミッドタウンの33番ストリート駅
ミッドタウンにも、33番ストリートなどいくつかPATHの駅がある。右手に見える「P」の形をしたPATHロゴマークで駅の所在がわかる。ただし、このミッドタウン路線上の駅からニューアーク方面に行くには途中、ジャーナル・スクエア駅で乗り換えとなる。
PATH33番ストリート駅のホーム。
PATH33番ストリート駅のホーム。こちらの駅は古いまま。
パセイック川の鉄橋。
都市部を出ると電車は地上に出る。おせじにもいいとは言えない景色が広がっている。工場、倉庫、資材置き場、荒れ地などばかり。20分程度でパセイック川を渡るとニューアーク。そこにかかる鉄橋も鉄骨のかたまりといった恐ろしい年代物。
ニューアークPenn駅のアムトラック列車。
ニューアークPenn駅はアムトラックなど長距離列車(写真)も停まる大きな駅だ。しかし、こちらのホームには出ないで、北東側の出口から外に出るとすぐバス発着所がある。この駅でPATH鉄道に乗るときにはPATHの表示を目印に進むこと。
ニューアークPenn駅
ニューアークPenn駅の北東端。今渡ってきた鉄骨橋も見える。この写真右手建物下がバスの発着所。バス停位置図の18835番停留所に相当する。

ニューアークPenn駅バス停

62番の路線バスは3Aの待合所から発着する。小さな待合所なのに冷房が効いているのに感心した。そこで夕涼みしたり昼寝をしている人も。

62番バス。
空港行きの62番バスが来た。ほぼ15分ごとに来る。夜は30分おき程度になるが24時間運行。運転手が「写真、撮るなあ」と手をかざしている。おどけているのだ。
ニューアーク空港Cターミナル
空港は街から近い。20分程度で着いた。A、B、Cの3つのターミナルがあり、ANAとの共同運航成田直行便が出るのはCターミナルだ(着くのはBターミナル)。Cターミナルはユナイテッド航空専用ターミナル。バスは三つのターミナルのうち一番最後にここに止まる。ここで下りないと、空港の遥か北まで連れていかれてしまう。(3ターミナルのどこで下りても、空港内であれば、エアトレインで無料で行き来できる。)
Cターミナル前
Cターミナルを出たところ。道路をはさんで2つ目のベイ(乗り場レーン)に路線バスの発着所がある。タクシーもたくさん停まっている。
ニューアーク空港Cターミナルバス停
Go Bus(後ほど説明)のマークが付いている3番と4番の停留所にNJトランジットの路線バスが発着する。
Cターミナルの中。
Cターミナルの中。
ニューアーク空港の路線バス停車所がベイ右端に。
成田行きANA・ユナイテッド共同運行便が出るのはCターミナルだが、成田からの便が着くのはBターミナル。2階で入国管理を出るので、出発フロアの1階に下り、道路を2つ越えて、3つ目のベイ(車発着プラットフォーム)の右端(写真先)に行く。ターミナル出口から一番遠いところで、人も多くなく寂しい感じ。一般の旅行客はあまり使わないバス停だ。
ニューアーク空港に来る62番のバス。
バス停に62番のバスが来た。大きなトランクを持って乗る人もいる。ここからニューアークのPenn Stationに行き、Path鉄道に乗り換える。

荷物制限について

PATH鉄道には荷物制限は特にないが、路線バス62番には公式には荷物制限がある。時刻表パンフに「乗客一人当たり22インチx16インチx8インチ以下の荷物2個以内」と書いてある。これは飛行機で機内持ち込みが認められる荷物の大きさと同じだ。小さめのトランク、バックパックならOKということだろう。この面からも、バックパッカー、あるいは地元民の送迎用事の片道向けの空港アクセス方法と言える。

しかし、この荷物制限は厳格には施行されていない。運転手はおおむね気さくで細かいことにこだわらない感じ。規則があることを知らない人もいるのではないか。荷物が大きくて乗車拒否されたという人を聞いたことがない。大きなトランクを数個かかえた子連れ若夫婦が乗るのも見た。乗り降りが大仕事となったが、運転手は一向に気にする様子はなく、気長に待っていた。また、他路線(下記108番バス)で、大きなトランクを持った女性がバスから降りる時、運転手が親切にもわざわざ外に出て乗り換え空港バス(62番)の停留所を教えているのも見た。

しかし、込み合っているときなど、乗車拒否される可能性がゼロとは言えないので、荷物が大きい時に使うルートを次に紹介する。

2、荷物が大きい場合

62番の代わりにGo Bus 28番を活用する。これは公式にも荷物制限がない。地元住民の空港アクセスのためのため2009年から始まったサービスだ。ニューアーク郊外のブルームフィールド駅からニューアーク・ブロード駅、ニューアーク中心街を経て、ニューアーク空港各ターミナルまで直接行く快速バス。空港までの料金は(ニューアーク市内で乗った場合)通常の路線バスと同じく1ドル60(62歳以上75セント)。車内に荷物置き場があり、大きな荷物も考慮に入れている。

上記のPATH鉄道でニューアークPenn駅に来て、700メートルくらい歩けばミリタリー公園付近でGo Bus 28に乗れる。だが、大きな荷物抱えて700メートル歩くのはきついので、下記のようにする。

マンハッタンのニューヨークPenn駅からNJトランジット鉄道でニューアークのブロード駅まで行き(5ドル25、62歳以上2ドル45、所要時間約20分)、そこでGo Bus 28に乗り換え、空港に向かう。ブロード駅のすぐそばにGo Bus 28の停留所がある。

この方法での鉄道・バス運行間隔は、上記方法1の場合より開いており、ニューヨークPenn駅からニューアーク・ブロード駅までのNJトランジット鉄道が約15分ごと(深夜1時~6時頃運行なし)、Go Bus 28が30分ごと(深夜2時~4時半頃運行なし)。乗っている時間は上記方法1とほぼ同じだが待ち時間の分だけ遅れる可能性がある。

また、この際の鉄道からバスへの乗り換えは同じNJトランジットだが、トランスファー割引料金は適用されない。別々に鉄道5ドル25(62歳以上2ドル45)、Go Bus1ドル60(62歳以上75セント)の通常料金を払う。州を挟む乗り換えの場合は乗り換え割引が適用されないとのこと。

ニューヨークPenn駅のNJトランジット窓口。
マンハッタンのニューヨークPenn駅のNJトランジット窓口。ニューヨークPenn駅はグランド・セントラル駅と並ぶニューヨーク市を代表する大規模駅。1日600本の列車が発着する。アムトラックの長距離列車、郊外電車のロングアイランド鉄道、NJトランジット鉄道、地下鉄などが乗り入れる。方法1で紹介したPATH鉄道の33番ストリート駅も大きくはこの中に含まれる。NJトランジット鉄道駅は、このPenn駅の最も東側、7番街沿いにある。Penn駅建物はイベント会場マディソン・スクエア・ガーデンと一体化しており、駅機能は主に地下なので、地上からはあまり駅のようには見えない。西隣に壮大な歴史的建造物ファーレイ・ビル(元中央郵便局)があり、これをPenn駅の中心施設として改築する作業が現在進行している。

切符は窓口か券売機で買う。切符には何時発の列車か書いてない。何時発の列車に乗ってもいい。改札はない(車内で検札を受ける)。ホームに行くには、閉まったドアと見間違えるような扉を押して入る。各ホームから出る列車の行き先が表示されているが、「ブロード通り行き」という列車表示はないので注意。各列車について主要停車駅が表示されているので、そこに「Newark Broad Street」という表示があればOK。該当する列車なら大抵2つ目の駅くらい(「Newark Penn Station」と間違わないように)。出発時刻を過ぎていても、遅延している場合も多いので、とにかくホームに入ってみること。

NJトランジットの列車。
NJトランジットの列車。
NJトランジットの列車。
2階建ての立派な列車も走っている(ニューアークPenn駅で)。ニューアーク空港アクセスの定番では、マンハッタンのニューヨークPenn駅からニューアークPenn駅経由でニューアーク空港駅に行き、そこでエアトレインに乗り換え、各ターミナルへ行く(計13ドル)。しかし、安く行く方法2では、ニューアークPenn駅でなく、ニューアーク・ブロード駅方向に行く列車に乗る。
NJトランジット列車の内部
列車に乗ると、車掌が検札にやってくる。乗客から切符を受け取ると、細長い乗車票を座席の前に突き立て(写真)、目印にしておく。ブロード駅は近く、すぐ降りてしまうので、この目印を省略しているようだ(何も突き立てない)。
ブロード通り駅
ニューアークのブロード通り駅。南側のオレンジ通りから見た景観。この右手、時計台の右にブロード通りがあり、そこにGo Bus 28などのバス停がある。同じニューアーク市内に、Penn駅(東)とブロード駅(北)があり、離れているし路線も違うので注意が必要。
ニューアーク・ブロード通り駅のホーム。
ニューアーク・ブロード通り駅のホーム。
ブロード通り駅わきのバス停。
ブロード通り駅わきのGo Bus 28などのバス停。バス停位置図の18338番停留所。バス停には停まるバスの番号が標識板に小さく書いてある。ラトガース大学ビジネススクールがすぐ近くにある(写真右手背景)。
街を走るGo Bus 28。
街を走るGo Bus 28。
Go Bus 28の車内。
Go Bus 28の車内。運転席のうしろに大きな荷物置き場がある。

3、その他の空港への行き方

以上、最も有望なルートを2つ紹介したが、他にも可能なルートは様々にある。下記の地図などを参考に検討して欲しい。特にニュージャージー州側に在住の方は、独自の安いルートがいろいろあるはず。ポイントは、単独で乗ると5ドル50かかるエアトレインに乗らず、直接ターミナルに行く安い路線バスを活用することだ。

ポートオーソリティからバス108番で行く方法

最良の選択というわけではないが、特徴あるルートをさらに2つ紹介する。いずれも、鉄道を使わず、バスだけで行く方法。一つ目は、マンハッタンのポートオーソリティ・バスターミナルからNJトランジット108番のバスに乗り、ニューアーク中心部ミリタリー公園まで行き(3ドル50、シニア1ドル55、所要時間35分)、そこで上記Go Bus 28に乗り換える方法。これのメリットは、シニア料金が計2ドル30と最安になること。300円以下で空港まで行ける。一般料金でも計5ドル10とそこそこ安い。欠点はやや時間がかかること、108番バスの運行間隔は昼間で約1時間。深夜帯は運行がなくなる。

上記方法1で使ったPATH鉄道は料金が均一2ドル75と安いが、シニア割引がない(別途申請手続きが必要)。しかし、NJトランジットはバスも鉄道もシニア割引があり料金が半額以下になる。PATH鉄道は乗る際に人のチェックがなく、年齢確認ができないが、NJトランジットは鉄道で車掌の、バスで運転手のチェックが行えるので、簡便なシニア割引が可能になっていると思われる。

ポートオーソリティはマンハッタン(ミッドタウン)にあるニューヨーク最大、恐らく米国最大のバス・ターミナルで、ニュージャージー側を中心にあらゆる方向への中長距離バスが出ている。ここから出るNJトランジット・バス108番は、ハドソン川をくぐり、幹線高速道路ニュージャージー・ターンパイクを南下し、約35分でニューアークに着く。ニューアークPenn駅で降りて上記方法1と同じく62番のバスに乗り換えてもよし。終点のブロード通り駅まで行き、方法2と同じく、Go Bus 28に乗り換えてもよい。

しかし、どうせGo Bus 28に乗り換えるなら、わざわざ終点まで行かず、街の中心ミリタリー公園で下りてみる、というのがこの方法のポイントだ。終点のブロード駅周辺はやや殺伐としているが、ミリタリー公園周辺は環境が良く、乗り換えバス待ちをするのにいい。移動時間も短縮できる。公園に隣接して観光案内所、博物館などがあり、ニュージャージー工科大学やラットガース大学などの大学街も近い。公園でいろいろイベントが開催されることもある。時間のある地元在住者がニューアーク空港に行くついでに、ニューアーク見物をしてくる、などの時に最適だ。

ニューアークは「暑い夏」と言われた1967年の黒人暴動頻発年に、東部諸都市中最大の「反乱」があった街だ(死者26人)。決して治安のよい街とは言えない。しかし、混雑したマンハッタンから来ると、街がゆったりとして人々も人なつこく、のんびりした雰囲気を感じ取ることができるだろう。特にミリタリー公園周辺は雰囲気が良い。

ニューアーク中心部にあるミリタリー公園
ニューアーク中心部にあるミリタリー公園。市民の憩いの場になっている。
マンハッタンから来た108番のバスはここに停まる。ミリタリー公園の東側、バス停位置図の18832番停留所。マンハッタンに帰るバスは、この先のT字路左、18886番停留所から乗る。
ミリタリー公園の西側
空港に行く際は、ミリタリー公園の西側のブロード通りのこの停留所で空港行きのGo Bus 28に乗り換える。バス停位置図の18345番停留所。そう、Go Bus 28は、ブロード駅の方からブロード通りをずっと南下して空港に向かっている。
Go Busの表示板
空港から来る場合は、Go Bus 28はブロード通りのここに停まる。ミリタリー公園の西端。バス停位置図の18330番停留所。Go Bus 28の停留所は、普通はこのようにロゴ入り標識板が立っているのだが、立っていない停留所も多い。

裏技:バス107番で行く方法

これはかなりの裏技で、英語の旅行ディスカッション・フォラムに出ていた方法。ただし、裏技にしてはメリットが薄いので私はまだ使っていない。

マンハッタンのポートオーソリティ・バス・ターミナルからはニューアーク行きNJトランジット108番バスだけでなく、ニューアーク空港付近にも行く107番バスも出ている(終点はかなり西方のサウス・オレンジ村)。しかも、これは快速バスで空港付近までほとんど停まらない。さらに夜間は空港の3ターミナルにも寄ってくれる。空港付近まで料金は6ドル(62歳以上2ドル70)。乗り換えなしで行ける願ってもない空港アクセス手段と思えるのだが、ところが、どっこい。ここでNJトランジットが意地悪する。マンハッタンから乗った乗客は空港で降ろさない(空港から先に行く乗客を乗せるだけ)、逆方向でも、空港で、マンハッタンに行く乗客は乗せない(空港の先から来た乗客を降ろすだけ)と規制している。107番バス時刻表にそう明記してある。つまり、空港の先に住むニュージャージー州民の空港アクセスのためのバス便であって、ニューヨーク州側から空港に来る人には使わせないということだ。観光客は通常の高い空港アクセス手段を使いなさい、ということでもある。

そこでこの裏技が登場する。空港ターミナルで降りられないなら、空港の外で降りてしまえばいい、特に長期駐車場(P6)のバス停なら、その駐車場から各ターミナルに無料シャトルバスが出ているので、そこで下りましょ、という方法だ。長期格安駐車場(Long Term Economy Parking Lot, P6)は空港ターミナルの北3キロにあり、無料シャトルが24時間、ターミナルとの間を往復している。107番バスの停留所(Newark Airport North Area)はその外側のPort Streetにあり、30メートルくらい歩くと同駐車場入り口があり、そこの入ったところで待っていればターミナル行きの無料シャトルが来る、というわけだ。

なかなか感心する裏技だが、料金が6ドルかかる。上記方法1、2よりも割高だ。107番が快速バスだといっても運行間隔は1時間。そこまで苦労して試みる価値があるだろうか。

エコノミー駐車場からの無料シャトル
長期格安駐車場からの無料シャトルがCターミナルにも来ていた。NJトランジットの路線バス停留所のすぐ後ろ。

ドル箱の空港アクセス路線で収益を確保

NJトランジットは今赤字で苦しんでいる。そういう時に、観光客向けにニューアーク空港への安いアクセス法を教えるなど言語道断であろう。安く行ける方法はなるべく宣伝せず、できるだけ多くの観光客をドル箱の「空港エアトレイン+NJトランジット鉄道=13ドル」の方に流し込みたい。そういう思惑が痛いほど伝わってきて、本編を書くのはつらかった(?)。

余裕ある日本からの旅行者は、NJトランジット支援のためにも、このようなケチな節約術は無視し、推奨される既定交通ルートに迷いなく向かうと信じる。