こうして私の「携帯電話」は無料になった(米国内)

まずは月3ドルの携帯電話プラン

サンフランシスコ圏に来ても、まずは、ニューヨークで入っていたと同じ月3ドル(330円)の携帯電話に入った(T-MobileのPay as You Goというプリペイド・プラン)。家ではもちろん、街の至るところでWiFiが使える現状では、どうしても携帯電波を使って電話をかける、ネットを使うというニーズが薄い。スカイプやラインの無料電話を使えるし、そもそも私は電話を(メール的に)留守番電話で受けることが多いので、この月3ドルプランで十分だった。ネット上で留守番電話機能を運用できる(リストアップされた留守電をパソコンの音声再生機能で聞ける)。どうしても携帯電話を使わなかければならない場合も月30分の通話、または30本までのSMSメッセージ送受信までは無料。万一それを越えても1分(1本)10セントだ。

これは、私が見る限り米国最安の携帯プランで、貧乏人にはとてもありがたいサービス。しかし、携帯電話会社にとっては儲からないプランだ。あまり宣伝をしていない。ウェブ上にその紹介はあまりないし、T-Mobileのショップに行っても、そんなプランがあることは普通説明されない。店員も積極的に紹介はしないよう言われているという証言まである。私も店でいろいろ他のプランを勧められたが、いや、月3ドルのプリペイド方式があるだろう、と強く主張してやっとこの月3ドルのSIMカードを買うことができた。

ウェブ情報をよく調べると、かの月3ドル・プランは今では、T-Mobileの関連会社(MVNO事業者)Ultra Mobileを通じてPayGoというプランとして提供されているらしい。上記体験から言うと、T-Mobileのショップでもこれに入れるようだ。

安いが、いろいろハードル

SIMカードを買ったのはいいが、ニューヨークで使っていた中古スマホ(Blackview BV2000、2015年発売)に挿入してもなぜかアクティベイトできない。困り果ててショップに戻り、やってもらうとやはりできない。結局、「この端末は古くなって、今では互換性がなくなってしまった」と言われた。去年の11月までは使えていたのだ、と言っても、毎年変わってくるので仕方ない、と言う。そんなことがあるのか、と半ば半信半疑だったが、あきらめる他なかった。(スマホがT-Mobileと互換性があるかどうかは、このT-Mobileサイトでチェックできる。端末の15桁のIMEI番号を入力して調べる。)

そこで、ネットで安い別の中古スマホ(Alcatel One Touch Evolve 2、2014年発売)を送料込み約40ドルで買った。T-Mobile専用の端末になっている。古い端末でもT-Mobile専用なら大丈夫だろうと踏んだのだが、やはりなかなかアクティベイトできない。サポートに何度も電話をかけて、向こう側で操作してもらう形でやっとアクティベイトできた。

しかし、次は留守番電話が設定できない。解説通りに操作しても、Invalidと指摘されたり、反応がなかったり。サポートに電話しても同じ手順の説明を繰り返されだけ。ショップに行って店員にやってもらっても、やはりできないようだ。ネット上に自分のアカウントはつくれたので、留守番電話さえ機能すれば、上記のニューヨークの時と同じ安い使い方が完成するのだが…。

Google Voiceを見つけてしまった

そんなところで四苦八苦していた時に、Google Voiceを見つけてしまった。なんだ、携帯電話会社に頼らなくても、このアプリで留守番電話が実現できる。それどころか、無料で自分の電話番号がもらえ、同一アプリ間だけでなく、米国・カナダ内の通常電話との通話も無料かけ放題、国際電話も格安など、それ以上の斬新な機能が含まれている。T-Mobileの留守番電話は、もう少しがんばれば設定できたかも知れないが、どうでもよくなってしまった。なぜこのGoogle Voiceにこれまで気が付かなかったのか。全く違う新しい世界が開けたと感じた。

通常の電話番号がもらえる

決してGoogle Voiceの宣伝をするつもりはないが、確かにこれはすごいサービスだ。究極的には電話通信の世界をひっくり返すような衝撃がある。(グーグルはやがて電話会社にも取って代わる、との指摘もある。)

まず、自分の電話番号がただでもらえる。日本で言えば、東京(03)、大阪(06)が付くような通常の電話番号だ。もともとアメリカでは携帯電話にもこうした通常電話番号が使われていたが、それと同様な番号がGoogle Voice用にもらえてしまう。

Google Voiceに加入する際は、自分の携帯の電話番号に送られてくる暗証番号で本人確認をする。ということは、使っている携帯電話の数だけは通常電話番号がもらえるということだ(同じ携帯番号に関連付けて複数のGoogle Voice番号をもらうことはできない)。私は一時的に2つの携帯を持っていたのですぐ2つのGoogle Voice電話番号がつくれた。覚えやすい自分の好きな番号を選べた。地域コード(市外局番)付きだが、どの街の番号でも選べる。

将来、電話番号が足りなくなるのではと危惧される時代に、こんな簡単にただで電話番号をあげてしまっていいのか。現在はGoogle Voice類似の無料サービスがいろいろ出てきている。私はこれらを通じてまた別に電話番号をもらい、結局計5つの新番号をたちどころに新調してしまった。これじゃ、電話番号不足に拍車がかかる。

最初に本人確認用に使った携帯電話はその後やめてしまってもかまわない。とにかく米国内の人(米国内電話を使っている人)かどうかを一度確認できればいいということのようだ。関連付けられた携帯電話をやめると、Google Voiceが唯一の電話になる。そのようなGoogle Voice単独での電話送受信が2018年4月から可能になった

携帯電話使わなくても電話番号だけは欲しい

余談になるが、とにかく普通の電話番号が無料でもらえることのメリットは大きい。正式な書類にもこの番号が書ける。日本でもそうだが、アメリカではなおさら、本人確認のために自分の携帯番号にテキスト(SMSメッセージ)が送られてきてそこにある暗証番号を入力するという手続きが、何についても多い。いろんなネットサービスに加入するにも、アプリをインストールするにも、パスワードの再設定をするにも、銀行手続きで本人確認をするにも。カラオケ店に入るのにだって、アメリカでは携帯電話番号の入力が求められる。携帯電話を使うつもりはないのだが、この本人確認のためだけにもGoogle Voiceの電話番号が欲しい、という状況も大いにある。

メルアドは、無料メールでいくらでもつくれるので、あまり本人確認用には向かない。携帯番号なら大丈夫、ということなのだろうが、それもこんな簡単につくれてしまうのでは信頼性がなくなるというものだ。最近はさらに、1日だけ、3日だけ使える電話番号などというのを簡単にくれるサービスも出てきている(その草分けはBurner)。

米国・カナダ国内通話が無料

Google Voiceではアメリカ・カナダ国内への固定電話、携帯電話への通話、SMSメッセージ送受信が無料だ。スカイプやラインなどでも無料電話はできるが、あくまで同一アプリ間の通信が無料になるだけで、「外」の一般電話に電話するには料金がかかる。Google Voiceではこれも無料になってしまうということだ。他にも類似サービスで米国内電話を無料にしているところもあるが、だいたいコマーシャルや広告を入れて無料にしている。Google Voiceでは、そういうものが入らない。

日本へは1分3セント

国際電話の場合は料金がかかるが、格安だ。日本への通話は1分3セント(約3円)。10分話して33円ということで、いくら貧乏しているといっても、これなら私も気楽に日本に電話できる。(むろん、家族など、頻繁に長電話する相手にはSkypeやLineといったアプリを使って無料電話にした方がいい。)

その応用編の話になるが、私が日本に行ったときも、米国への国際電話は米国内電話と同じことになり無料。日本国内にかける場合は「米国からの国際電話料金」扱いで1分3円ですむということだ。どんな(日本国内)長距離電話も1分3円。固定電話の市内料金(3分10円)で日本国中どこにでも電話できるということだ。

来年、オリンピックで米国人もたくさん日本に来ると思うが、彼らは、米国内の会社、家族、友人にGoogle Voiceなどの無料電話をかけ、日本の国際電話会社はまったくもうからないことになるし、日本国内の電話もまわりの日本人より安くかけることになる。

留守番電話、転送機能他

その他、留守電機能、留守電音声のテキスト化サービス、迷惑電話ブロック、転送機能など多機能電話のサービスはほとんんど装備している。自分で留守電を入れてみたが、私のへぼい英語でもCan you hear me? (聞こえる?)などとちゃんとテキスト化されメールのように読めたのには驚いた。(もちろん、音声で聞くこともできる。)

転送機能について言えば、そもそも、Google Voiceの本来の売りは、新しくもらったGoogle Voice電話番号に電話すれば、それに関連付けられた自宅や会社の固定電話、自分の携帯電話などに自動転送され、それらでも受けることができるということだった。一つの電話番号さえ教えておけば、関連付けられた電話機(複数可)が自動的に鳴り、そちらで話すことができる。自宅や携帯の番号を変えても、その新番号に新しく関連付ければいいだけで、引っ越しその他でいちいち番号変更を皆に知らせる必要がない。

月3ドルのNYでの携帯生活との対比

試みに、ニューヨークで私が月3ドルで使っていたT-mobileプリペイド携帯電話(Pay As You Go)の時と比べてみる。まず、加入料金。月3ドルより無料の方が安い。

国内通話は、T-Mobile月3ドル(Go As You Go)は30分までが無料だったが、Google Voiceはいくらかけても無料。SMSメッセージも同様。T-Mobile(Go As You Go)では国際電話はかけられなかったが、Google Voiceは格安でかけられる。留守電機能は両方ともあり、ネット上でチェックできる。

T-Mobile(Go As You Go)は携帯通信なので、WiFiがないところでも使えるが、Google VoiceはWiFiのあるとこでしか使えない(別途データ通信に入ってないという前提)。しかし、日本もそうだが、アメリカでも街の至る所に無料WiFi電波が飛んでいる時代になった。茶店、レストラン、駅、空港、デパート、公園、コミュニティセンター、図書館、そしてニューヨークやサンフランシスコでは大通りの街頭でも。少なくとも、かつての公衆電話と同じくらいのアクセス性でWiFiが使え、Google Voiceの無料電話が使えるということだ。逆に遮蔽物などの関係で携帯は使えないがWiFiは使える所もある。(ただしT-Mobileはこうした状況に対応するためWiFi Callingという機能を無料で提供している。)

「携帯電話」ではないが…

表題に「私の『携帯電話』は無料になった」と書いたが、厳密に言えば、これは携帯電話ではないだろう。しかし、一方は携帯の電波、他方はWiFiの電波だ。ともに持ち歩くスマホで携帯電話のように使える。また、私の場合、外で携帯電話を使うことはほとんどなく、留守電で対応している。なので、私にとっては実際上の利用形態はどちらでもほとんど変わらない。

WiFi電波の方が守備範囲は狭いが、逆にGoogle Voiceの方には国内電話無料、国際電話も格安という特典がある。厳しく言って五分五分、冷静に見ればGoogle Voiceの方に軍配が上がるのではないか。

T-Mobileの月3ドルというのも格安だから、これに入っていても惜しくはない。そうすればいざというとき携帯電波での電話もかけられ、WiFi電話の限界をカバーできる。