東欧に来て、いろんなところで彫刻や壁画などストリートアートにしっとりした芸術性を感じることが多かった。きらきら合理的なものばかり多いアメリカなどに暮らしてきたから人一倍そう感じるのかも知れない。コーカサス地方に来ても同じような感慨は続く。例えば次のようなもの…
小説『アリとニノ』
小説『アリとニノ』は、アゼルバイジャン人とみられるKurban Said(ペンネーム)によるロマンス小説(1937年初版)で、1910年代のバクーを主な舞台に、イスラム教徒でアゼルバイジャン人のアリとキリスト教徒でジョージア人のニノの悲恋を描いている。最終的には、アゼルバイジャンに短期間存在したアゼルバイジャン民主共和国が1920年にソビエト赤軍に打倒される中で、アリが死んでしまう。その後、アゼルバイジャンは他のコーカサス諸国とともにソ連に編入されていくが、それに至る過程の悲劇を民族主義的な立場から描く作品となった。同様な苦しみを味わった「アリとニノ」はたくさん居たとも言われる。アゼルバイジャンの国民的小説とされるが、30か国語以上に翻訳され、100版以上が出版されるなど、この地域を中心に国際的にも広く読まれている。2016年にはイギリスで映画化された(英語、PeaPie Films, IM Global, Celtic Films製作)。小説の内容からしてペンネームでの出版になったが、作者Kurban Saidが本当はだれだったのか今でも議論が続き、はっきりしない。