トシとのたたかい、怪我とのたたかい(その2、71歳)

約5年前(2017年1月)、「トシとのたたかい、怪我とのたたかい ―足首痛、膝痛、鼠径部痛、腰痛、肉離れ、突き指の対策」という記事を書いた。67歳のときだが、このたたかいは今でも続いている。71歳の続編。70代に入ってからのたたかいはさらに困難になっている。

この夏、カリフォルニアでテニスをしていて膝を痛めた。米西海岸はニューヨークと違い、バスケットボールよりテニスの方が盛んだ。公園にバスケコートよりテニスコートの方が多い。しかもだいたい無料だ。まわりにテニスをする人が多く、私もつられてこれを始めた。少しはまともに打てるようになってきたかな、と思うようになった今年5月と6月に立て続けに膝痛。特に2回目の膝痛は今(10月)でも全快せず、全力走ができない。

関節が擦り切れるような膝痛は、5年前、66才の頃から出るようになっていた。しかし今回はそれとは違う。強引な姿勢でバックハンド打ちをしたときに膝がグキッと。「擦り切れる」のではなくて「損傷」。うまく説明できないが、膝を包んでいる袋(腱?)の一部に亀裂が入ったような感覚だ。金属疲労ではなく事故損傷。たまたまならしょうがないとあきらめるが、1回目が治ってすぐ2回目とあっては本格的に向き合わなければならない。これからも再発する可能性がある。

「トシなんだから無理すんなよ」と医者を含めまわりは言うに決まっている。しかし、抗う。執念で復帰に向けてたたかう。これまで何度も絶望的なケガを克服してきた。これだってあきらめずにがんばれば何とかなるはず。セオリーに従い、最初安静、直りかけでリハビリ。特に関節の柔軟運動と付近の筋肉を鍛える。前回記事でも書いたが、膝をグリグリまわしたり、足を前にあげたり、膝を横につぼめたり。

いろいろやっているうち、走法変更が有効そうな感触を得た。私のこれまでの走り方は、ももをできるだけ上げ(前に出し)て、短足にもかかわらず大股で走るものだった。専門用語ではロングストライド走法という。小股でピッチ早く走るのをピッチ走法というが、私は大股走法。太ももの筋肉を最大限使って走る感覚だ。

強調しておくが、これは正しい。人間は大きな筋肉を最大限使って運動することで最も効率的に動ける。人体で最も大きな筋肉は大腿四頭筋だ。これを最大限使って走れは最も速く強くかつ楽に走れる。50代でフルマラソン3時間40分、1万メートル42分で走ってきた。根拠なく言っているわけではない。プロの走者のビデオを見ても、中距離はもちろん、長距離でもももを前に出して力強く走っている。

若い人なら、あるいは本格的に走りたい人なら、そのような走法を身に着けることが絶対必要だ。しかし、歳をとって膝を痛めるようになったら考え直す必要がある。大股走法は太ももの筋肉は大いに使うが、膝から下はさほど力を入れない。膝と膝下は「付いてくる」感じだ。だから必ずしも鍛えられない。しかし、負担はかかっている。大股で進むので特に膝への負担は大きい。若いうちは体のどこでも丈夫なので、問題ない。しかし、歳をとってくるとこの辺にほころびが出る。走り方を変えなければならない。

膝をかばいながら走っているうちに自然に気がついた。ももをあまり前に出さない。足を真下でつくようにする感じ(実際には少し前でついているが)。ユーチューブなどでは「足の前(フォアフット)で着く」などという提言がやたら多いが、これは根拠がない。自然に走れば人間の走りでは前足はかかとから着くのがあたりまえだ。これを踏ん張り過ぎて「つっかえ棒」にしないことが大切で、滑らかに後ろに流していく走法を心がければよい。

ももをあまり使わないと膝と膝下に力が入り、鍛えられる。膝は固定される感覚で、周辺の腱や筋肉が強くなる感じだ。膝から下の筋肉は小さい。だからこれを中心に進むようにすると、大腿筋走法より、推進力が出ず遅いし、その割には疲れる(大股で走った方が返って疲れないのだ)。しかし、それがどうした。高齢者の膝痛克服のためにこの走法をとる必要がある。

そうだ、これだったのだ、これまで私は膝から下が鍛えられる走法をしていなかった。別に早く走る必要はない。競走に勝つ必要はない。膝から下を故障しない走りができればいい。遅いし疲れるが、この走法で鍛えていけばある程度は有効な走りを獲得していけるだろう。

ということで、特訓リハビリ中。やがてバスケ、テニスに復帰するぞ。80歳までは「部活はやっていない20代と対等にたたかう」を依然として目標にしている。