ヨーロッパまでの航空券を買った。110ドルだった。ニューヨークからアイルランド首都ダブリンまでの片道。昨年夏から、格安航空会社のノルウェイ・エアシャトル(Norwegian Air Shuttle)がニューヨーク北方のスチュワート空港からアイルランド、北アイルランド、スコットランドなど4都市に安便を飛ばしている。最安で96ドル(10,800円)だったが、これはダブリン深夜着なので初訪問者には不向き。朝着の110ドル便にした。
(キャンペーン料金ではなく、オフシーズンの通常料金。キャンペーン料金では昨年65ドルのがあった。今回は事情で、ついでにフィンランドのヘルシンキにも行くことにしたのだが、ダブリン・ヘルシンキ間も同じくノルウェー・エアシャトル機で67ドルと格安だった。絞めて合計177ドル。約2万円。)
1万800円というと、私の日本の居住地・名古屋から東京までの新幹線料金だ。その15倍の距離、大西洋を越えて行って同料金なのだ。「終わった…」と思った。高額料金の日本の交通機関体系が終わった、と思ったか、それとも高額交通料金の一時代が「終わった」と思ったか。たぶん後者だろう。地球上をあちこち動く際に、貧乏人にはその料金がやはり最大の壁。そういう時代が終わった。終わりが始まった、ということだ。(ということはやはり高額交通機関は消滅に向かうだろう、ということでもあるが)。
格安航空会社であるからにはそれなりの制限がある。荷物は機内持ち込みの10キロまで。それを越えたり、別にチェックイン荷物があったりすると追加料金を取られる。食事は有料。それとニューヨーク発着のスチュワート空港がかなりの遠隔地だ。マンハッタンの北100キロ。シャトルバスが出ているが、片道20ドルだから、大西洋横断96ドルと比べてばかにならない。公共交通機関(メトロノース鉄道と路線バス)を利用して約10ドル(65歳以上は半額)だ。グランドセントラル駅からでも2時間、自宅からでは3時間を見ておく必要がある。
しかし、大西洋を96ドルで渡れるなら、そんな制限は何でもない。安全上は特に問題なく、当然だが普通のイスに座れる。冷暖房がないわけではなく、ゴミが散らかり悪臭がたちこめているわけでもない。途上国の格安ホテルはピンからキリまであるが、格安航空機は安くても品質が極端に悪くなるようなことはない。
とにかくこれで私にとってのヨーロッパはかなり近くなった。「ちょっと東京に遊びに」のノリでかの地に行ける。ただ、ヨーロッパは宿代を始め物価が高い。1日のホテル代で大西洋横断運賃が飛んでしまいかねない。ユースホステルかAirbnbで行くことにしよう。