中央政府機構
マルタ共和国(人口46万人、面積316平方キロ)には大統領(President)と首相(Prime Minister)が居る。任期5年の大統領は「国家元首」で形式的に国を代表する。首相が実質的な政治を担う。
立法府は代議院(House of Representatives)で、一院制、任期5年。代議院が大統領を選出し、代議院第一党党首が大統領により首相に指名される(議院内閣制)。現在の首相は労働党のジョゼフ・ムスカット。
首相、副首相の下に13省がある。
司法制度
司法はいろいろな法制度・文化が交じり合って複雑。上級の各種裁判所(Superior Courts)と下級の各種裁判所(Lower Courts)があり、上級裁判所に判事(Judges)が就く。上級裁判所には憲法裁判所(Constitutional Court)、控訴裁判所(Court of Appeal)、刑事控訴裁判所(Court of Criminal Appeal)、刑事裁判所(Criminal Court)、民事裁判所(Civil Court)がある。最も高位の法廷は憲法裁判所で、裁判長(Chief Justice as President)を含め3人の判事。すべての判事(現時点で23名)は首相の助言で大統領によって任命され、終身任期、給与などが保証されている。
地方自治体制度
市議会(Local Council、市評議会とも訳せる)に統治される68の市(Localities)がある(マルタ島54、ゴゾ島14)。県や州に相当する中間レベル地方機関はない。人口はイムディーナ市の178人からビルキルカラ市の21,858人まで様々。首都バレッタ市は6,300人。
市議会議員は5年ごとの選挙で公選される(以下、詳しくはCommonwealth Local Government Forum, “Local government system in Malta“)。議員数は市の人口により5人から14人。選挙で多数を占めた政党の中の最多得票市議が市長となる。
市は住民投票を実施する権限をもつ。また住民から資金を調達する権限も有する。今のところ市税を課しているところはなく、料金・ライセンス収入のみ。歳入の80%は国から補助金でまかわなれている。2016年の市予算はマルタ全体で38,329,380ユーロ。国予算の0.88%に相当する。
すべての市議会会議は公開で、ネット上でストリーミングされている。
市長の給与は国会議員給与(2016年現在年間21,145ユーロ)の3分の2が上限。その他の市議は年1,200ユーロ。(かなり少ないが、諸外国では市議はフルタイムでないところが多い。)
市議会は、人口2500人に付き一名の市職員を雇う。そのトップである事務長(executive secretary)の雇用は司法・文化・地方政府大臣の許諾が必要。人口1万人前後の市が多いから、市職員は数名から多くても10名以下、ということになる。
広域委員会
2009年の自治体法改正で、新たに広域委員会(Regional Committees)が設置された。ゴゾ、北部、中部、南東部、南部の5つの広域委員会がある。
地区委員会
同法改正でまた、市の下に自然村的に存在していた地区(hamlet)に地区委員会(administrative committees)を設置した。市内で10%以上の人口を有する地区に設置され、現在13市に16の地区委員会がある。各地区委員会には5人の委員がおり、任期5年で公選される。決定は市議会の同意を得て確定する。市議会から一定の予算が付く。