アンダルシア(スペイン南部)の都市は、大きい順に、セビリア(人口69万)、マラガ(57万)、コルドバ(33万)、グラナダ(23万)など。だが、セビリア、コルドバ、グラナダは知っていても、マラガは聞いたことがない、という人が多いのではないか。他の3都市がいずれも世界遺産を抱えた有名観光地であるのに対して、アンダルシア2位の都市マラガはスペイン南部の金融と経済の中心ではあるが、知名度は低い。
しかし、マラガは2003年にピカソ美術館を開館して以来、観光都市として売り出し中で、やがては他の3都市レベルのメジャースポットになる可能性がある。歴史的観光資源も一定のものがある。
ピカソの生まれた街
そう、マラガはピカソが生まれた街なのだ。彼の芸術活動はパリとバロセルナが中心だったが、生まれてから子ども時代の10年をマラガで過ごした。え、生まれたというだけ? と最初は疑問符を付けたが、何の。生家を博物館にして、遺族が所持していた大量の作品を集めて美術館もつくれば目玉になる。私もマラガに来たからにはピカソだろう、とピカソ生家博物館とピカソ美術館にまずは詣でた。
いや、さすがにピカソさん、自由奔放にユニークな絵を描いてらっしゃる。その姿勢に感服する。楽しませて頂いた。彫刻にまで手を出してやり放題だ。一見デタラメの絵で、こんなのだれにも描けるぞと思いそうだが、描けない。彼の絵には、実は成熟した絵画技術の基本がある。その上でこのような絵を描くことでプロの目に無視できないものになっている。彼の初期の作品は極めて写実的で、絵の技術は本物だ。
マラガはピカソを観光の目玉に売り出したが、それ以外にも一定レベルの観光資源はある。それらの整備にも力を入れていた。陽光の降り注ぐ地中海海岸「コスタ・デル・ソル」の中心に位置することももちろんだが、マラガ大聖堂、古代ローマからイスラム時代の要塞アルカサバ、山城のヒブラルファロ城などなど。旧市街もよく整備され、歩いていて楽しい。今後、アンダルシアの外せない観光都市として台頭してくるだろう。マラガ市経済振興局によると、2017年にマラガは国内諸都市で最も観光業の伸びが大きく、年間130万人が訪れ、客室利用率は79%に達した(国内2位)という。特に外国人観光客は前年比8.2%と大きく伸びた。