ウクライナには近隣諸国からバスも出ているし、入国禁止になっているわけでもない。しかし、明確な戦場ジャーナリストの覚悟を持って入る以外、私たちは入るべきではないだろう。またロシア系の未承認分離国家トランスニストリアにも入るべきではない。すると、モルドバでウクライナ国境に近づけるのは、北部と南部だけになる。南部のドナウ川沿岸域では、モルドバやルーマニアの国境に近いレニにこの7月24日、ロシアによる攻撃があった。ドナウ川に沿った穀物輸送経路を狙ったものとみられる。
そもそも国境地帯というのは、辺鄙なところが多く、車がなければ行けないし、行ったところでぶらぶら歩いて写真など取っていれば怪しまれるだけだ。そういう意味ではこの北部の観光地ソロカ(後述の通り「ソロカ要塞」が有名)は、安心してウクライナ国内をじっくり見渡せる例外的な場所だ。道路や鉄道の橋、航路があるわけでなく戦略的にも近くに攻撃が来る可能性は低い。見るだけで、自分は何をしているのか、という自責の念にも駆られるが、ウクライナの人々に敬意を示し、外側に居る人間として何ができるのか考えるよすがにはなる。
マイクロバスがキシナウ北ターミナルから出る
ウェブ上でいくら探してもソロカ行きのバスはなかった。結局わかったのは国内交通のマイクロバスはウェブ上に情報を載せてないということ。実際にバスターミナルに行って初めて、午前7時からほぼ1時間ごとにソロカ行きのマイクロバスが出ていることがわかった。所要時間約3時間、料金110レウ(900円)を見ておけばよい。
キシナウには3つの長距離バスターミナルがある(中央、北、南)。ソロカ行きは北ターミナル(Gara de Nord)から出る。中央バスターミナルは街の中心にあるが、北ターミナルはその北方約2キロのやや不便なところにある。そこまで市バスもあるが、歩いて30分もかからないので私は歩いて行った。