印刷本ではハイパーリンクは使えない
電子書籍を印刷書籍にする場合、ハイパーリンクの処理が面倒だ。電子書籍はネットと連携しやすく、文章中の参照箇所、参考文献などをウェブ上のリンクと同じようにハイパーリンクで埋め込むことができる。しかし、印刷本ではそれは土台無理。参照箇所のURLをカッコで記入するか、脚注での出典表記に変える必要がある。リンクがたくさん入っている場合は大変な作業になる。
そこで操作記録のマクロをつくることにした。マクロを記録する際には、通常のキー操作ができない場合が多く、苦労した。試行錯誤の末、下記のような考え方で操作記録マクロをつくった。これで、まずURLだけを脚注に出す。その後、そのリンクに行き、逐一、著者名や記事名など適切な出典記述を付け加える、という順序だ。
(この最後のすべて書き出す作業では、URLを入力すると自動的に出典を作成してくれる例えばCitefastのようなサイトが役立つ。しかし、ウェブページの正確な出典記述を取得するのはさしものAIでも難しいらしく、人間がかなりの修正を加えなければならない。)
ハイパーリンク先URLを脚注にコピーするマクロ
はじめる前にまず文書中にハイパーリンクが表示されるようにする(全文書指定してAltキー+F9キーを押す)。一般にフィールドコードが表示されるようにする操作だ。リンク部分の文字が{HYPERLINK “http……..}などの表示に置き変わる。文字が削除されたわけではない。マクロの処理が全部おわってから通常表記に戻せるのでご安心を。(マクロを実行する際も、最初にこの操作をする必要がある。)
ハイパーリンク先URLを脚注にコピーする操作登録マクロは、次のように作成する。(Word 2007、後日Word 2019で確認。ただし、なぜかdocファイルだとうまくいかずdocxファイルにして行う必要がある。またまれにURL中に”が含まれる場合、脚注がおかしなところ(URL内)に入ってしまうので後で修正。)
まずは、「開発」―>「マクロの記録」に進み、キー操作をマクロに記録するプロセスを始める。マクロを例えばCtrキー+Qなど適当なキーに登録する。
1、「検索」「ワイルドカードを使用する」で「http*”」と入力し、{….}内のリンク先URLを見つける
2、その部分が範囲指定になっているのでそのままそれをコピーする(URLがコピーされる)。
3、カーソルを右に3つ動かす。すると{…}の外に出て、脚注番号を挿入すべき場所にたどり着く。
4、「参考資料」「脚注挿入」で脚注に移動し、(コピーしていたURLを)貼り付ける。
5、バックスペースで、いっしょにコピーされているURL末の”を削除する。
6、「参考資料」「注の表示」で本文中に戻る。
(最後に、「開発」「記録終了」でマクロの記録を終わりにする。)
これで、次からはマクロを設定したキー(例えばCtrキー+Q)を押していけば、次々にURLが脚注にコピーされていくだろう。
なお、文書最後まで来たら、マクロ実行をやめる。やめないと、また最初から二重のURLコピーを始めてしまうので注意。(そうなったら、まあ「元に戻す」をやっていけば、文書最後の処理のところまで戻れる。)
すべてのリンク先の脚注コピーが終わったら、最後に再びAltキー+F9キーを押すとフィールドコードの表示が通常の文書表示に変わる。リンクのあるところに脚注番号が入り、脚注にURLがコピーされているのがわかるだろう。
このままでよければそれでよいし、文中に埋め込まれているハイパーリンクはもう必要ないというのであれば、文書全体を範囲指定して(Ctrキー+Aキー)、Ctrキー+shiftキー+F9キーを押せばすべてのリンクが消滅する(文書の文字は残る)。
安全策
上記でも大丈夫だが、私の場合、念のため上記プロセス2から始め1で終わるようにマクロを記録している(1の検索で結果として現れる範囲指定の状態から始める)。そうすると、 http…….”が範囲指定されたところでマクロが終わるので、範囲指定を修正する必要があるか、そこで同一処理を続けていいかなど人間の目でチェックしながら次に進める。