きょう(2月10日)夕方、火球を見た。
午後6時頃の夕暮れ時、コンコード(サンフランシスコ郊外)の公園で壁打ちテニスをやっていると、南西の空に、かなり高い角度から、一条の飛行機雲のようなものが走り、中空でめらめらとオレンジ色に燃えたかと思うと、すぐ消えた。無音だった。しばらくその軌道沿いに花火跡のような煙すじが残り、まだ明るい西空からの光(日が伸びたな)に照らされていた。
方向及び距離的にはペニンスラ(サンフランシスコ半島部)からシリコンバレーの上空あたりだろう。前にミルブレに住んでいた友人を思い出した。あの家の上空あたりだ。
遠い宇宙からの侵入
人出の少ない公園だが、気づいたのは私ぐらいだったろう。他にだれも見た様子はなく、何の騒ぎも起こらなかった。どこか他の場所なら見た人があるかも知れないが、たぶんニュースにもならない些細な出来事として忘れ去られるだろう。通常の地球上の出来事でなく、遠い宇宙からの侵入というある意味「超常」的な現象なのだが。
火球、つまり流星は珍しくない。夜、空を1時間ほど見ていれば必ず1個や2個の流れ星が見られる。昼間でも見えるのが火球と言うのだろうが、かなり近くまで落ちてきた隕石ということになる。大きいのは多くの目撃があり、時たまニュースにもなる。特に大きいのは地上まで落ちて、隕石として転がる。さらに大きければ……被害も出ればクレーターもできるだろう。
今回は夕暮れだったが、確かに、昼間見える火球というのはそう多くない。出現しても、皆が皆空をずっと見ているわけではないから見逃すのも相当あるだろう。
北関東の田舎町に落ちた火球
私の経験では、小学校3~4年生の頃、北関東の田舎町で、おそらく100メートル程度先に落ちてきた火球を見た。友だちの家の縁側に一人で居るとき、ふと空を見たら、青白か黄色っぽい火球が右(南西)上空からこちら方向に飛んできて、左手約100メートル先の民家あたりに落ちた。落ちたように見えた。音はいっさいしなかった。すぐその周辺に行ってみたが、何かが地上にぶつかったよう気配はなかった。しかし、硫黄が燃えたような異臭はしていた。地上にぶつかるぎりぎりのところで燃え尽きたのかも知れない。子ども心にも隕石かも知れないと思ったが、直前にだれかのお葬式があったので、人魂(ひとだま)かとも思った。
北関東のさびれた田舎町だ。街中にほとんど人が出ていない。他にだれも見てなかったようで、騒ぐ人も居なかった。私だけが見た。だれにも知られない北関東20世紀半ばの秘密の物語が私の記憶の中だけに刻まれた。
アメリカ流星学会
後でウェブを調べると、おもしろい、こういう火球(fireball)目撃情報を集めて記録しているサイトがあるのだ。アメリカ流星学会という団体もあるらしい。
そこのサイトのPending Reportsというのを見ると、確かに2月10日現地時間18時15分にサンフランシスコ近辺の諸都市で7件の火球目撃情報が記録されていた。私が見たのはこれに違いない。
目撃7件というのは小さい部類の火球なのだろう。100件を越えるくらいでないとニュースにならないようだ。
日本火球ネットワーク
さらに後に、日本にもこうした火球目撃情報を収集しているサイトがあることを知った。ホームページは日本火球ネットワーク。日本流星研究会も。