コヨーテの居る風景・その2

昨年12月2日に続いて、この2月4日にまたコヨーテを見た。例によって友人とテニスをしに往復7時間をサイクリングする復路途上、午後4時頃、牧場の中に2匹のコヨーテが居るを見た。場所はこの前と同じ、サンフランシスコ郊外イーストベイ山中、アルハンブラバレー・ロードの、オリンダ方面に抜けるベアクリーク・ロードとの交差地点近く。

牧場に現れた2匹のコヨーテ。200メートルほど先。画面中央やや右。ほとんど見えない(下に拡大写真)。左手の木のある沢の方に向かっている。木の左にいるのは牧場の牛。画面には映ってないが、この左ではさらに多くの牛が草をはんでいた。
2匹のコヨーテの拡大写真。スマホ・カメラではこの辺が限界だった。

2匹のコヨーテは夫婦のように見えた。右手の方から現れて左の木のある沢の方に向かい、窪地の中で消えた。その間およそ5分くらい。スマホカメラでたくさん写真を撮ったが、後で見るとよく映っていない。老眼にもかかわらず遠目はよく見える私。かなりはっきり彼らの表情まで見えたが、写真だとだめだった。コヨーテたちはレンズを向ける私に気づいて、立ち止まって様子をうかがったりもしていた。「あのじいちゃん、変な機器かざして何しているのかな」といぶかるように。

木の下のくぼ地には小さな川が流れている。水飲みにでも来たのだろうか。牧場の中だ。写真にも牛が1頭見えるが、その左手にはさらにたくさん牛がのんびりと草をはんでいた。逃げる様子はない。コヨーテにとって牛は大きすぎるので襲わないのだろう。ヒツジは襲うらしい。牛が襲われるのなら、牧場主も懸命にコヨーテ駆除に向かうはず。その形跡はなく、コヨーテたちも安心して住み着いているように見える。モグラや野ネズミなどを食べているのかも知れない。

冬に緑になる野山

カリフォルニアは地中海式気候で、夏に雨がほとんど降らず、冬、雨が降る。このため夏の野山は枯れ切っているが(夏の終わりから秋にかけて大規模な山火事が発生する)、冬になると野山が湿り、緑になる。新緑のようでもあり、雨上がりの澄んだ空気が秋のようでもあり、何か妙な気分だ。

冬に野山が緑になる。こんなイーストベイの山地帯を越えて家に帰る。いったいお前はどんな田舎に住んでいるんだ? いや、この辺は位置的にはサンフランシスコ大都市圏(ベイエリア、人口777万)の真ん中ですよ。この山の向こうにコンコードからアンティオックに至る別の都市地帯が続く。自動車社会は地形を越えた都市の拡大を促す。高速道路が縦横に走るが、ここは自転車走行にいい在来型道路だ。
周囲はほとんどが牧場。平らな水田が広がるアジアの稲作地帯景観と異なる「西洋的」景観だ。山のてっぺんまで草地になっている。生態系的には好ましくないだろう。幸い全体として雨が少ないので土壌浸食はそれほど進まない。
牧場の牛たち。いつも見て思うのだが、いったい彼らは何を考えているのだろう。のどかに暮らせて幸せなのだろうか。やがては食肉になる運命なのだが。何も知らずそうなるまでのんびり暮らせるのだから、それはそれで幸せなのか。
ワイン造りのためのブドウ畑もある。
最近買った私の家とエステート。(断る必要はないだろうが、冗談ですよ。)
実際、この辺には山の上の家が多い。眺めはいいのだろう。自動車社会だから可能になる暮らし方、風景だ。
山越え道の最頂部。あの一本杉?が目印になる。これを越せばあとは下り坂だ、と安堵できる場所。
登ってきた道を振り返る。山に隠れてサンフランシスコ湾岸の都市地帯は見えない。毎回通るこうした自然地帯だが、毎度のことなので特に感動しなくなっている。しかし、改めて考えれば、何と素晴らしいサイクリング道路を走行しているのか。気づいてないが、こうした経験が慣れっこになる中で、私の精神的衛生には絶大なる影響が刻まれているだろう。